コンテナ採用、新課金モデルの動きも
超速で進化するハイパーコンバージド(HCI)技術、次は脱ハイパーバイザー(2/2 ページ)
クラウド型の支払いモデル
従量課金制モデルを後押しするもう1つのアプローチを採用しているのはDell EMCの「Cloud Flex for HCI」制度だ。この制度では、クラウドのような分かりやすい月額制の消費型モデルをユーザーが採用できるようにしている。この制度は、長く使うほど価格が下がる仕組みになっている。
この制度の対象となるHCIには、Dell EMCの「VxRail」アプライアンスや「XC」シリーズがある。この制度は高額な先行投資が不要になるように設計されている。小規模IT部門では、高額な先行投資がハイパーコンバージドシステムを導入する上での大きな障害となっている。
こうした制度を導入することは、Dellのような大手ハードウェアサプライヤーにとって賢明な動きだと一部のアナリストは考えている。中小企業の財務状況を助けるだけでなく、サーバハードウェアの販売台数を伸ばす機会も増えることになる。
「そのため、こうした企業がターゲットにしているのは、先行設備投資の資金がなく、このような制度なければ全く手が出ないであろうユーザーだ。この制度はクラウドベースのような消費モデルでもあるため、自社所有のインフラは引き続き保有できる。何も処分する必要がない」とステファニー・ロング氏は語る。同氏は、Technology Business Researchでリサーチアナリストを務める。
「Dellはまた、Cloud Flex for HCIを策定するに当たって、Cloud Flexの契約ごとにビジネスパートナーに仲介手数料を支払うとしている。IT部門との契約が長期間継続されれば、それに伴いパートナーが受ける金銭的メリットも大きくなる。ただし、これはハードウェアで収入を得る機会をパートナーから奪うことにもなる」(ロング氏)
Pund-ITのキング氏によると、Cloud Flex for HCIの月額制と1年後に義務なしで解約できる仕組みにより、HCIを導入する際の財政面の不安が軽減されるという。HCIの中には最低価格が25万ドルというものもあるのだ。
「HCIにこれだけの資金を投じることを考えた場合、興味深さは感じられても、求める結果を得られるかどうかは分からない。そのため企業は二の足を踏む。だが、こうした制度を利用すれば財政的負担は減り、戦略的リスクも解消される」(キング氏)
米国バージニア州レストンに拠点を置くスタートアップ企業Cloudisticsは、同社がスーパーコンバージドプラットフォームと呼ぶ「Ignite」を2016年にリリースした。同社の役員によると、Igniteは競合するHCIと同じ機能が備わっているという。ただし、Igniteはマイクロセグメンテーションテクノロジーを採用することにより、「分離型スケーリング」機能を追加している。この機能により、IT部門はストレージ、コンピューティング、ネットワークの容量を互いに独立して追加できる。この3つを全て同時にアップグレードする必要がなくなれば、IT部門は時間とコストを節約できるだろう。
ただし、自社製品の説明における「スーパーコンバージド」という表現を「コンポーザブルクラウドプラットフォーム」に変更したCloudisticsは、この1年間で従量課金制アプローチを重視するようになっている。従来型のハイパーコンバージドベンダーに対抗するためだ。2017年6月上旬、同社は「Cloudistics ReadyCloud」という利用量ベースの新規サービスを導入した。このサービスは、同社の新しいマネージドサービスプロバイダー向けのプログラムと密接に連携する。これにより、もう1つの新規プログラム「Cloudistics StarterCloud」とも連携することになる。
Cloudisticsでマーケティング部門のシニアディレクター、マーク・モンバーケット氏は次のように語る。「StarterCloudはエントリーレベルのサービスとして機能し、よりコスト効率の高い方法でCloudisticsテクノロジーに慣れてもらうことを目的としている。その後、独自のビジネスを構築するようになったら、ReadyCloudに切り替えることで、必要に応じてストレージ、コンピューティング、ネットワークをさらに追加できる。その後、1カ月間使用しなければ何も請求されなくなる」
Cloudisticsは、IT部門でパブリッククラウドの導入が増えていることから、「Amazon Web Services」(AWS)のクラウドモデルを忠実に模倣しようとしていることをあっさりと認める。
Cloudisticsでチーフサイエンティストを務めるジャイ・メノン氏は次のように話す。「CloudisticsではAWSを手本にモデルを構築している。AWSと同じ拡張性、セルフサービス、従量課金制をユーザーに提供することで、AWSのエクスペリエンスをオンプレミスで実現しようと考えている。ワークロードとアプリケーションについても同様だ。基本的に、できるだけインフラを意識させないようにすることが狙いだ」
従量課金制のライセンスやコンテナに重点を置いた戦略に関連するものではないが、2017年5月にIBMとNutanixが提携を発表した。これにより、HCIの商談は拡大すると見込まれている。また、競合するスタートアップ企業に包囲網を敷かれるIBMとNutanixにとって、新たな収入の機会を見つけるチャンスにもなる。IBMは、今回の提携により、初めてHCI事業に進出したことになる。
この複数年契約では、両企業が最終的にIBM独自の「IBM Power Systems」サーバをベースにしたHCIを提供することが求められている。両企業の幹部は、HCI導入に豊富な機会がもたらされることになるだろうと述べている。その目標は、クラウドネイティブなワークロードと共に、データベースなどのクリティカルなアプリケーションが属する新たなワークロードの実現を後押しすることにある。この提携は、人工知能や機械学習に関する多様なサービスを実現するコグニティブワークロードの環境作りにもなる。
「IBMのPower Systemsは、Intelの『Xeon』プロセッサ搭載製品を筆頭に、強力な競合製品からプレッシャーを受けている。今回の提携によって、IBMは新しい市場で競争するためのパートナーを得たことになる。NutanixはHCI市場で非常にうまく立ち回ってきた。しかし、HPE、Cisco、Dellという3大ベンダーが、Nutanixと直接対抗する社内ソリューションを提供するようになっている。IBMとの今回の提携はNutanixにとって理にかなったものだ」(キング氏)
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