クラウド普及と共通する点も
今まさにビジネスを変えている「VR/AR」、すぐに手を付けるべきは?(2/2 ページ)
“かさばるヘッドセット”の課題
VR/AR向けのヘッドセットも課題の1つだ。ユーザーインタフェースを劇的に変えるという意味でも、VR/ARにヘッドセットは重要な役割を果たす。特定のコンテンツを容易に操作でき、かつ装着感も快適なヘッドセットの設計は必須だろう。「使いやすく、かつ持ち運びも容易なヘッドセットの実現に、ベンダーは苦労しています」と、フン氏は語る。今ある製品の大半は、単純に言って、かさばって使いにくいのだ。
「現在のヘッドセットは、周囲の視界の一部を提供するだけにとどまり、人の視界全体をカバーしたものではない」と、PTCのARおよびIoTソリューション担当バイスプレジデント、ヴィクター・ガーデス氏は語る。その理由の一部は、バッテリーを含む部品のサイズや寿命、重量、充電機能、CPUおよびGPUの性能、ソフトウェアなどの要因の制約を受けてしまう点にある。
こうした課題について、AppleやFacebook、Google、Samsung Electronicsなどのベンダーが最初に注目したのが消費者だ。IDCが2017年4月に発表した調査結果によれば、2016年に売り上げた923万台のVR/AR向けヘッドセットのうち、8割が一般消費者向けだったという。DaqriやEpson、Intel、Meta、Microsoft、ODGなど、さまざまな企業が商業用AR/VRシステムを開発中だ。
Rockwell Automationの先進技術責任者のデイブ・ヴァスコ氏は「AR/VRシステムの現在の価格は高過ぎる」と言う。ただし、企業による量産が進み、開発費を多数の顧客に分散することが可能になれば、価格も徐々に低下する可能性がある。
VR/AR用インフラ構築の必要性
IoTと同様、VR/AR技術を導入する企業は、ヘッドセットやネットワークオプション、とりわけ重要な部分であるソフトウェアの動作を支えるアプリケーション開発インフラを必要とする。現在のところ、企業はこうした全ての要素を自社で連携させる必要がある。長い期間と資金、労力を必要とする作業だ。
同様の問題に対処するため、ベンダーはサードパーティーと組んでVR/AR向けのエコシステムを構築し、ターンキー方式のサービスを提供している。サプライヤーがVR/AR技術をIoTデバイスや企業のデータベース、営業部門のアプリケーションや経営管理システムに連携させることを可能にするには、APIの開発および公開、保守管理が必要だ。
将来、AR/VR規格が世に出れば、こうしたプロセスは加速するだろう。「今は、明確なVR規格およびAR規格はないと見ています」とForrester Researchの上級アナリスト、ミシェル・ペリノ氏は語る。
今企業にできる導入準備とは
IoT市場と似た点だが、VR/ARの市場は群雄割拠の状況で、多種多様なサプライヤーが注目を集めようと躍起になっている。ヘッドセット開発を手掛けるサプライヤーも多い上、General ElectricやIBM、Intel、Microsoft、PTC、Rockwell Automation、Siemens、Upskillを含む数百の企業が、アプリケーションインフラを構築している。最終的には、こうした企業は今後数を減らし、ターンキー方式の製品が現れるだろう。企業は、VR/AR技術の長期的な将来性や可能性もさることながら、短期的な盛り上がりで終わりかねない部分も見極めようとしている。
では、現行VR/ARを取り巻くシステムがより成熟するまでに、組織は自社でどのような用意をすれば良いだろうか。Gartnerのフン氏は、「初めに、こうしたシステムにある程度慣れ親しむための概念実証プログラムを作成し、新たなシステムの実用化に備えるべきだ」と語る。
AR/VR/MRの違いについて
VRやARは、“現実に触れることのできる世界”とそうでない世界を組み合わせることで、両者の境界線を越えることを可能にした技術の一種だ。同様の技術はまだ数えられる程度の種類に限られるが、優れた結果を残している。
VRは、時には物理空間や投影環境とヘッドセットを組み合わせ、画像や音声を通して想像上の環境に現実的な感覚を生成する。同技術は、企業向けの訓練やゲームなどの一般消費者向けアプリケーションに活用が進む。
ARは、物理的な世界の映像を中継しつつ、コンピュータが生成した音声や映像、グラフィックス、GPSデータなどの要素を付け加えることで、現実を“拡張”する。ARは通常、リアルタイムのデータを反映し、システム修理や製品デザインなどの作業に適している。
MR(Mixed Reality、複合現実)は、ヘッドセットの映像などを通して、現実世界と仮想世界とを限りなく融合させた体験を提供する技術だ。ユーザーはハンズフリーディスプレイを介して、目の前の現実に関連したデジタルの情報を閲覧できる。MRが表示するコンテンツは次元ではなく、テキストや画像、図などの2次元情報だ。ARと異なり、MRのコンテンツは、現実世界の物体に結び付いてはいない。
こうした一連の技術がクラウドと似ているのは、多様な導入形式を選べる点だ。結果として複数の市場が出現し、AR/VR/MR市場の正確な境界は不明確になりつつある。
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