価値は手間に見合っていたか
IT導入補助金で経費管理システムを導入した中小企業の実感(2/2 ページ)
5年間の報告義務も
補助金が下りれば一件落着、というわけではない。システムを導入した後は「事業完了報告書」(注1)をIT導入補助金の事務局に提出する必要がある。さらにIT導入補助金制度では、導入後5年間にわたって毎年、ITツール導入の効果を報告する「事業実施効果報告書」の提出が義務付けられている。この報告が負担にはならないのだろうか。
注1:IT導入補助金制度における「事業完了」とは、「契約・発注」「納品」「支払い」を全て完了した時点を指す。
事業完了報告書の提出の際にも、IT導入支援事業者であるコンカーが支援した。必要な書類の準備から記入方法まで詳細なサポートを受けることができたという。「不明な点も都度問い合わせ、素早い回答をいただきました。とてもスムーズに手続きを進めることができました」と志田氏は語る。事業実施効果報告書の提出に関しては、同社の場合は2018年3月となるため、まだ具体的なことは決めていないという。ただし志田氏は社内で稟議(りんぎ)を通すために、導入前にコストの試算や導入効果のシミュレーションを作成しており「導入効果の報告義務については、この試算通りになったかどうか後追い調査して、確認していけばいいのではないかと考えています」と話す。経理関係書類の保管に関する社内運用ルールも、システム導入前後で特に変更していないという。
シミュレーションの際は、経費精算に関する作業を洗い出し、1人当たりの作業時間を割り出した。さらに作業に要する時間を「従業員の時給」で換算して、コストを試算・比較したそうだ。従来の経費精算のやり方では、従業員が増えるほどコストが上がっていく。しかしITツールを導入すれば削減できる作業があり、その分コストも下がる計算になった。志田氏の試算によると、100人分の経費精算業務においてConcur Expense Standardを導入した場合は、年間のコスト削減効果が約50万円近くになったという。
IT部門の手を煩わせずにシステム導入
武蔵コーポレーションにおけるConcur Expense Standardの導入は、経理部門が関わったのみで、IT部門はほとんど関与しなかったという。吉田氏によると、IT部門はミーティングに同席した程度。Concur Expense Standardはクラウドサービスのため、運用保守は全てコンカーが担当し、自社内でメンテナンスが必要となることもない。
Concur Expense Standardは、従業員が交通系ICカードの利用履歴を読み取り端末にかざすだけで自動的にデータをクラウドへ送信する。読み取ったデータから移動経路と金額を自動入力するため、従業員自身が手作業で交通費を入力したり計算したりする手間を軽減でき、入力ミスも減少する。これにより同社では、入力ミスを確認するためのチェック作業を省略することができた。
吉田氏はツール導入の効果について次のように述べる。「Concur Expense Standardを導入することで、“従業員の経費入力作業の時間”というコストが削減できることはもちろん、経理担当者の作業時間が軽減されることに期待しています」(吉田氏)
将来的には、電子帳簿保存法により、電子データによる国税関係帳簿書類の保存が進むことが見込まれる。武蔵コーポレーションが導入したConcur Expense Standardについては電子帳簿保存法の要件に対応していないが、コンカーは2018年以降をめどに対応するという。志田氏は、「電子帳簿保存法に対応したシステムならば、スマートフォンで領収書を撮影した経費精算ができ、ペーパーレスにつながります。経理業務のさらなる効率化に期待しています」と述べる。
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