うまく使えばコンプライアンス問題も解決?
「開発しやすい」だけではNG 管理者にこそ知ってほしいモバイル開発環境7基準(2/2 ページ)
基準4:バックエンドサービス
MADPの主要ベンダー各社は、スケーラブル(拡張可能)なバックエンド(画面表示されない計算やデータのやりとりを処理する)サービスを用意して、アプリの開発と管理をサポートしている。これらのサービスは実装こそ異なるが、多くの機能は共通している。
例えば、ほとんどのベンダーはフロントエンド(画面表示、描画に関連する機能)開発環境をバックエンドサービスから切り離し、それぞれ単独で使用できるようにしている。また、Konyの「Fabric」、Progressの「Kinvey」、Salesforce.comの「Heroku」など、バックエンドサービスを個別の製品として提供するベンダーもある。Oracleは自社のモバイルクラウドサービス(MCS)をサービスとしてのモバイルバックエンドとして提供する。Microsoftも「Visual Studio Mobile Center」を用意してOracleと同じ方針を採っている。
一方、MendixやOutSystemsなどはバックエンドサービスについて特に言及せず、全コンポーネントを統一開発基盤として扱うベンダーもある。ただし、ベンダーが個別扱いをしたとしても、開発ツールはバックエンドのコンポーネントにしっかりと統合されており、導入のワークフローと継続的インテグレーション(改善のための更新処理)のサポートを可能にしている。
どのアプローチを採用しているにしても、MADP製品のバックエンドサービスは、アプリの作成、テスト、配布、監視などのタスクを含む、アプリのライフサイクル全体をサポートする必要がある。
基準5:統合
MADPの効果を考える場合、他のシステムやテクノロジーと統合できるかどうかが重要になる。
例えば、KonyのFabricは、REST(Representational State Transfer)、SOAP(Simple Object Access Protocol)、XML(extensible markup language)、JSON(JavaScript Object Notation)などのオープンソースの標準規約を使用して、Microsoftの「Azure Active Directory」、Salesforce.com、SAPが提供する同名サービスなどに接続できるようになっている。一方、OutSystemsの開発起案は、SalesforceやSAPなどのサービスに加えて、Microsoftの「Microsoft SQL Server」、Oracleの「MySQL」、IBMの「IBM Db2」などのデータベースシステムとのコネクター(接続用の機能)が事前に作成され組み込まれている。
Mendixは他社とはやや異なるアプローチをとっている。同社の開発基盤は、オープンソースのPaaSである「Cloud Foundry」をベースにする。その結果、高い相互運用性と広範な拡張性をサポートする、完全にオープンで、プラグイン可能なアーキテクチャ(機能設計)を実現している。
MicrosoftやOracleなど、他の自社製品の多くとの緊密な統合を提供するベンダーもある。例えば、MicrosoftのVisual Studio Mobile Centerは、「Azure Active Directory」などのAzureのサービスと緊密に統合され、OracleのMCSは同社の「Oracle Applications」に初めから統合されている。
基準6:セキュリティ
MADPのセキュリティ機能を評価する場合、標準規約への準拠、データ暗号化技術、システム監視機能などの要素を検討することになる。
例えばKonyは、フレームワーク内でバイナリ保護機能を提供し、クレジットカード業界の定めた標準、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)、FIPS(連邦情報処理標準)に準拠する。同社はさらに、暗号メッセージ作成のための鍵付きハッシングメッセージ認証符号、データ暗号化のためのTDEA(Triple Data Encryption Algorithm)、暗号化キー保護のためのPBKDF2(Password-Based Key Derivation Function 2)もサポートする。
Microsoft、Oracle、Salesforce.comなどの大手ベンダー社は全て、標準規約に準拠し、高度なレベルのセキュリティ機能を複数提供する。
OutSystemsの開発基盤は、アプリケーションのプログラム(コード)内のセキュリティを確保し、アプリのセキュリティチェックを実行する。同開発基盤は、組み込みのID管理と認証、あらかじめ設定する役割単位のアクセス管理とシングルサインオン(SSO)、データ暗号化、システムとユーザーアクセスを監視するための監査機能も備えている。
企業は、導入予定の全てのMADPを徹底的に調査し、セキュリティとコンプライアンスの要件を確実に満たせるかどうかを確認すべきだ。こうした評価プロセスの一環として、開発基盤とサードパーティー製のセキュリティシステムや管理システムとの統合を計画する場合は、起こりうる問題の特定を試みる必要がある。
基準7:ライフサイクル管理
主要MADPは全て、モバイルアプリの作成、テスト、導入、管理、監視のプロセスを統一するライフサイクル管理に何らかのかたちで対応している。ただし、多種多様な製品やサービスをサポートするベンダーの開発基盤は操作が難しいと感じる顧客もいる。特に、そのベンダーがMADP分野で後発の場合にその傾向がある。
例えば、OracleとMicrosoftの両社はMADP分野への参入が遅れた。その上、多種多様な分野に対応しており、MADPサービスは単なる1分野にすぎない。同時に、両社は圧倒的なクラウドインフラを携えてMADP市場に参入し、膨大なリソースをMADPツールに投入している。
一方、MendixやOutSystemsなどのベンダーは、モバイルアプリの開発と導入に主力を注いでいるため、統一性が高く、操作がシンプルである。
最終的には、MADPのライフサイクル管理を個別に調べて、どのように評価するかを考える必要がある。最善の方法は、アプリの作成、導入、管理に必要な手順を全て実行し、環境自体をテストしてみることだ。それだけで、ライフサイクルタスクの統合度合いや、アプリの導入に必要な統一的操作を行える環境かどうかを確認できる。
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