一押しは「Windows Story Remix」
「Windows 10 Fall Creators Update」を徹底レビュー、「ペイント3D」よりわくわくする機能は?(2/2 ページ)
Windows Story Remix
繰り返しになるが、今回のアップデートは生産性に関するものだけではない。最も面白い新機能は、Microsoftが画像ビュワー「フォト」に追加したWindows Story Remixだ。エンドユーザーは写真と動画を組み合わせて、スライドショーやショートムービーを作成できる。編集ツールも数多く組み込んでおり、ビデオクリップをトリミングして長さを調整したり、静止画に見えないように画像を動かしたりできる。バックグラウンドミュージック(BGM)を追加することも可能だ。
画期的な変更ではないが、Windows Story Remixでビデオを作成してソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に投稿すれば、ただ撮った写真をシェアするよりも楽しめるだろう。
My People
Win10FCUは、タスクバーに3つまでの連絡先をピン留めできるようにする「My People」という機能を追加した。エンドユーザーがピン留めした連絡先の1つをクリックすると、その連絡先と交換した全てのメールや連絡先の詳細、タイムライン、Microsoftの通話・チャットサービス「Skype」の通話などを表示したウィンドウが現れる。3つを超える連絡先がある場合、タスクバーにピン留めされた「People」のウィンドウにアイコンを追加できる。連絡先のアイコンには、新しいメールやメッセージなどの数を示す小さな数字を表示するようにした。
家族や上司とのメール交換を簡略化できるため、この機能は非常に便利だといえる。唯一の欠点は、既に混雑しているタスクバーに、さらに一連のアイコンが加わることだ。
「ペイント3D」と「Mixed Reality Viewer」
Win10FCUという名前を非常によく表しているのが、「ペイント3D」「Mixed Reality Viewer」の組み合わせだ。
ペイントツール「ペイント」の新しいバージョンであるペイント3Dでは、以前のバージョンで2Dオブジェクトを作成していたのと同じ方法で3Dオブジェクトを作成できるようになる。非常に基本的なツールだが、使い勝手が良い。この点も以前のバージョンのペイントと似ている。
Mixed Reality Viewerを利用すれば、作成した3Dオブジェクトを現実の世界に配置しているかのように表示できる(画面4)。この機能を利用するには、現実的にはアウトカメラを搭載したタブレットが必要になる。カメラのライブビューに仮想オブジェクトを組み込んで表示するためだ。
これらは非常に楽しめる3Dツールだが、現段階では実用性はないだろう。どちらかといえばWindows Story Remixの方が役に立つ。最善の見通しでは、今後数年間で、拡張現実(AR)が広く導入される可能性がある。現時点でARを利用しておけば、ARに親しみやすくなるだろう。
ペイント3Dの「マジック選択」ツール
ペイント3Dは3D機能だけでなく、従来の2D画像も編集できる。さらに重要なのは、写真の編集時に多くのエンドユーザーが興味を持ちそうな機能を組み込んでいる点だ。
専門的なグラフィックスアプリケーションは、画像から特定のアイテムだけを切り抜き、自動的に背景を埋めるツールを用意している(画面5)。Win10FCUはマジック選択という名前で、この機能をペイント3Dに追加した。
この類のツールを使用するアーティストは、いつも機能がやや頼りないと感じている。そのことはペイント3Dに追加されたツールでも同じだ。マジック選択ツールは、選択したオブジェクトの背景が非常に不規則でも、ベストを尽くそうとする。うまくいかない場合、マジック選択ツールは背景をどのように埋めるか理解するのに苦労し、ぼんやりとした画像を残すことが少なくない。
電話とPCをリンクする
Microsoftでさえ、ついにWindowsベースのスマートフォンを成功させることはできないと認め、Googleの「Android」やAppleの「iOS」と、Windows搭載PCとの連携を強化する戦略に切り替えている。Win10FCUではこの戦略が大きく前進している。
Appleのスマートフォン「iPhone」やAndroidスマートフォンユーザーは、Microsoftが提供する専用アプリケーションをダウンロードすることで、スマートフォンからWindowsデバイスへWebページを送信できる。エンドユーザーは、どのWindowsデバイスへリンクを送信するかを選択。次にWebページをすぐに開くか、Microsoftの通知機能「アクションセンター」へリマインダーを送るかを選ぶ。iPhoneバージョンを試したところ、完璧に機能した。iPhoneやAppleのタブレット「iPad」で同じタスクを処理する方法と比べて、こちらの方に利点がある。
Androidスマートフォン/iPhoneユーザーは、Microsoftの音声アシスタント「Cortana」をインストールできる。Androidでは、スマートフォンへの着信、メールの受信、バッテリー残量の低下などの通知をクライアントPCへ送信できる。エンドユーザーはスマートフォンを使って音声でリマインダーを作成し、クライアントPCにもそのリマインダーを表示できる。iPhoneバージョンのCortanaの機能は大きく制限され、リマインダーを有効にすることしかできない。AndroidとiPhoneバージョンのCortanaには他にも多くの機能があるが、今回のアップデートに関連した機能はこれだけだ。
誤解のないように言っておくと、こうしたクロスデバイス機能を利用するには、クライアントPCでWin10FCを実行している必要がある。
その他の強化点
シンプルだが重要な変更も幾つかある。Microsoft Edgeへの全画面表示モードの追加はその一例だ。F11キーを押すとこの機能を有効/無効にできる。
Win10FCUは、どこからでも簡単に音声入力を利用できるようにする。WindowsキーとHキーを同時に押すとポップアップが現れる。音声入力を試してみたところ、まずまずの出来だった。認識精度は70%程度であり、入力の代用に限定するのがお勧めだ。完全にキーボードやマウスの代わりに用いるのには、まだ十分ではない。
アクションセンターの外見にも変更が加わった。大きな変化ではないが、多少見た目が良くなった。
結論
数年前なら、今回のような大規模アップデートは「Windows 11」と呼ばれていただろう。Windows 10 Fall Creators Updateという名前にだまされてはいけない。実際にはクリエイティブな作業をするエンドユーザーだけでなく、さまざまなタイプのエンドユーザーに多くの機能を提供する。
ビジネスプロフェッショナルなら、特にOneDrive Files On-Demandを高く評価するだろう。大半のエンドユーザーは、バッテリー持続時間の向上、My People、ランサムウェアからの保護機能を気に入るだろう。新しいスタイラスペン関連機能は、2-in-1デバイスの売り上げが好調な時代に歓迎される。
とはいえクリエイティブなエンドユーザー向けの機能があることも確かだ。中でもWindows Story Remixが一番の目玉となる。このAR機能は、実用性はないとしても非常に興味深い。
今回のアップデートに魅力を感じなかったとしても、悲観するには及ばない。Microsoftは2018年にリリース予定の次回アップデートに既に取り組んでいる。
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