IT部門の“クラウドベンダー化”にも貢献
バックアップ用途だからこそフラッシュストレージが輝く理由(2/2 ページ)
「オンライン型」がもたらすメリット
オンライン型のセカンダリーストレージシステムへ移行すれば、データを素早く見つけて復元できるようになる。ちょうどAppleの「Mac」が搭載するバックアップ機能「Time Machine」のようなものだ。企業はオンライン型のセカンダリーストレージシステムを活用することで、分析、機械学習、詳細履歴検索など、古くてアクセス頻度が低いビッグデータから、価値ある洞察を得ることが可能になる。
これはバックアップとアーカイブの見事な融合といえる。障害からの回復(リカバリー)を目的としてデータを保護するバックアップと、長期的なデータ保持を目的としたアーカイブとの違いは、ますますなくなっている。
オンライン型のセカンダリーストレージシステムでは、バックアップはファイルの変更点や増分スナップショット(前回取得時から変更・追加した内容のスナップショット)など、変化したデータのバージョンをプライマリーストレージシステムからオンライン型セカンダリーストレージシステムへコピーすることを指すことになる。そしてリカバリーは、エンドユーザーが意識することなく管理されているストレージ内容の履歴の中から、目的のバージョンの完全な仮想イメージを、オンラインでインタラクティブに、かつ瞬時にコピーすることだといえる。
データ消失に備えて復元のための冗長性を持たせた「消失訂正符号」(イレージャーコーディング)といったデータ保護アルゴリズムを利用して、十分な復元力を備えているストレージであれば、信頼性の高い方法でアーカイブすることが可能だ。こうしたアーカイブデータは、フラッシュストレージに保持したデータほどは高いパフォーマンスを発揮しないが、いつでも瞬時にオンラインで利用できる。
プライマリーフラッシュストレージシステム大手にとって、オンライン型セカンダリーストレージシステムは、フラッシュストレージ容量の大幅な節約につながる。企業がオンライン型で保持する総データ領域は事実上、プライマリーストレージシステムとセカンダリーストレージシステムの容量の合計になる。
トップクラスのセカンダリーストレージシステム
Cohesity、Hedvig、Igneous Systems、Qumulo、Rubrik、Scalityなど、自社のスケーラブルな大容量ストレージシステムを、データセンター用の新しい種類のセカンダリーストレージシステムと位置付けているベンダーが幾つかある。こうしたベンダーの製品の中には、当初はWebアプリケーションやビッグデータ分析などの用途向けに設計されたものもある。だが複雑で機能が限られた旧式のデータ保護スタック(インフラ要素)に飽き飽きしたユーザー企業には、どの製品にも大きなチャンスがある。
こうした最近のセカンダリーストレージシステムベンダーは、プライマリーストレージシステムを置き換えたり、フラッシュストレージシステムのパフォーマンスと直接競争したりしようとは考えていない。実際には、パブリッククラウドベンダーがバックエンドで使用することを推奨している。例えばCleversafeの製品は、同社を買収したIBMのオブジェクトストレージサービス「IBM Cloud Object Storage」のベースになっている。従来、プライマリーストレージシステムが担っていたファイル関連処理(ファイルサービス)などのワークロード(システム処理)を、セカンダリーストレージシステムへオフロードするケースも幾つかある。
こうした新しいセカンダリーストレージシステムには「ソフトウェア定義」(Software Defined)型の製品もあれば、ハードウェアを最適に設計したアプライアンスとして販売される製品もある。
クラウドプロバイダーの視点
フラッシュストレージシステムへの投資を最大限に生かすだけでは不十分ならば、これを機会に、IT部門がクラウドベンダーを目指すことを考えてはどうだろうか。IT部門には、コストセンターとしてビジネスニーズに応えるだけでなく、社内のサービスプロバイダーになるよう考えを変えることをお勧めする。「セカンダリー」と名付けられてはいるが、こうした新しいストレージシステムの設計は、実際のところデータセンターにクラウドのようなストレージサービスをもたらす。こうしたストレージシステムを「セカンダリー」と呼ぶのは、やや失礼だろう。
フラッシュストレージを使ってプライマリーストレージシステムの速度を高めれば、例えば「ストレージシステムのパフォーマンスが低下した」といったサポートの呼び出しが減る可能性がある。ただしプライマリーフラッシュストレージシステム自体は、エンドユーザーとIT部門の関係を変えることはない。一方でセカンダリーストレージシステムの新しい設計は、IT部門をビジネスの主役に変える。エンドユーザーがストレージシステムと関わる方法が変わり、より多くの業務データがオンラインで利用できるようになり、フラッシュストレージシステムへの投資効果が最大限に高まるからだ。
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