重要なのはユーザーとデータの「橋渡し」
Intelがこっそり教える「データサイエンティストに必要な素質」とは
ビジネスで扱うデータは増加し続けており、機械学習などデータ分析の機会も増えた。分析担当者には高いスキルが求められるが、本当に必要なスキル、素質とは何なのだろうか。Intel担当者に聞いた。
Intelのチーフサイエンティストのボブ・ロジャーズ氏は、米国のハーバード大学で講演し、データサイエンティストを採用する際に何を重視するかについて説明した。ビジネスインテリジェンスのエキスパートに求められる要件は熟知しているが、データサイエンティストのことはよく分からないという企業の最高情報責任者(CIO)には本記事が参考になるだろう。
「優れたデータサイエンティストの要件について考えるとき、私はデータサイエンティストの定義から入り、3、4年前のアナリストとの比較することから始める」とロジャーズ氏はアナリティクス分野の急速な変化を指摘した。
かつて、アナリストは花形職業ともてはやされていた。「前四半期に販売した製品の数量の報告書を作成せよ」といった経営者あるいは上司の指示通りにデータのクエリ(照会)を行い、報告書を作成するのが彼らの仕事だ。「これは特定の報告書を作成するといった、目的が非常に明確な作業だ」とロジャーズ氏は語る。
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同氏によると、これに対してデータサイエンスは、アナリティクスのユーザー、彼らが求めるデータ、そしてアナリティクスを作成するのに必要な技術との間の「会話」だという。
「優れたデータサイエンティストはアルゴリズムの限界を理解し、少なくとも直感レベルで統計学を理解している。それだけでなく、これらの結果を利用するステークホルダー(利害関係者)とコミュニケーションを取ることもできる」と同氏は話す。
ロジャーズ氏は金融業界および医療分野のアナリストという輝かしい経歴を背景に、2年半前にIntelに入社した。
データサイエンティストとステークホルダー(ロジャーズ氏の世界ではビジネス部門のリーダーを意味する)との間の会話は、具体的かつ簡潔であるべきだ。例えば、素晴らしいデータレイク(企業のデータを分類や整理せずにそのまま格納できる倉庫)があったとしても、洞察が「勝手に浮き上がってくるわけではない」(同氏)という。
「優秀なデータサイエンティストとは、ステークホルダーと対話ができ、企業の目標を、アルゴリズムとデータの組み合わせによって解決可能な具体的な問題に落とし込める人だ」とロジャーズ氏は説明する。
データサイエンティストの採用はデータの価値を生み出す仕事の一部
ハーバード大学の教官と学生を対象としたロジャーズ氏の講演「Adventures in Analytics」(アナリティクスの冒険)は、Intel幹部の同氏にとって帰省のようなものだった。同氏が博士号取得候補者および博士研究員としてアナリティクスに本格的に取り組み、計算モデルによって天体物理学の問題を解決する研究をしたのはハーバード大学だった。同氏はそこで、現在は「ディープラーニング」と呼ばれている技術の原型であるニューラルネットワークに興味を持った。
ニューラルネットワークに関するロジャーズ氏のサイドプロジェクトの1つが、地図上で画像を回転させるといった内容の夏の研究課題に疲れてうんざりしている研究室の友人を手伝うことだった。ロジャーズ氏は、機械学習モデルと友人がまとめた2週間分のトレーニングデータを使ってニューラルネットワークを作成し、友人の夏の課題を8時間で一気に完了した。この研究は学術論文として発表され、これがウォール街のトレーダーたちの注目を集めた。2011年にノーベル物理学賞を受賞した研究仲間で、ロジャーズ氏の生涯の友人となったアダム・リース氏も論文に関心を示した1人だった。
ロジャーズ氏はIntelでデータサイエンティストの採用を担当するだけでなく、同社のエバンジェリストおよび新規事業の開拓という役割も果たしている。
「私の役割の1つは、現実世界の人々がやろうとしていることを理解し、それに対してIntelのハードウェアで何ができるかを明らかにすることだ。1つの例としては、演算処理のオーバーヘッド(作業負荷)をほとんど伴わずに、ハードウェアで瞬時にデータを暗号化できることがある。これはほとんど知られていない」とロジャーズ氏は語る。
さらに同氏はIntelという枠組みにとらわれることなく、次に登場する技術の探索に乗り出している。また、基礎研究を行っている科学者など、最先端の仕事に取り組んでいる人々が直面している課題を明らかにしようとしている。「将来的な問題への対策をIntelのデザインに組み込むことができれば、次世代のチップはこうした課題に効果的に対応できるだろう」(同氏)
次に登場する技術としては、自動運転車やドローン、各種の次世代コンピュータなどがあり、これらはハードウェアの部品(コンポーネント)と「強力なエコシステム」を必要とする。ロジャーズ氏によると、これはIntelにチーフデータサイエンティストというポジションが存在する大きな理由だという。「要するに、私は当社の最高経営責任者(CEO)のこうしたアイデアのおかげで採用されたようなものだ」と同氏は語り、しばしば引用される「データは新たなオイル(原動力)である」とういブライアン・クルザニッチCEOの見解を示したスライドをクリックした。
だがオイルと同様、データも価値を引き出すには精製する必要がある。だからこそ、PC中心主義からデータ中心主義への移行を目指すIntelにとって、データサイエンティストを採用する際に何を重視するかを明確にすることが重要なのだ。「オイルを採掘すれば終わりというわけでない。それを価値のあるものに変える必要があるのだ」(ロジャーズ氏)
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