ストレージベンダーの群雄割拠が加速
データストレージ2018年のトレンド:話題を独占する5つのテクノロジーとは(2/3 ページ)
ランサムウェアに対する保護
ランサムウェアはここ数年大きなニュースになっている。2017年5月の「WannaCry」、同年6月の「Petya」と「NotPetya」など、世界規模の攻撃は広い範囲に影響を及ぼす。だが、小規模なランサムウェアでも被害者にとっては致命的になる。身代金を支払う企業はほとんどないが、ダウンタイムはこうした身代金よりも高くつく。幸い、バックアップとリカバリーのベンダーではランサムウェアに対する保護が、データストレージの2018年注目のテクノロジーになっている。
ランサムウェアは、データを暗号化し、その暗号を解除するキーに身代金を支払うよう求める身代金要求型のマルウェアだ。ランサムウェアの多くは、このマルウェアに感染したメール添付ファイルやWebサイトを通じてシステムに侵入する。身代金を統計したデータには大きな違いがあるが、数百ドルを要求されるのが一般的だ。攻撃者は中小企業から大企業まであらゆる規模のビジネスを標的にする。結果として、全ての企業がランサムウェアに対する保護と攻撃からの回復方法を検討しなければならなくなる。
保護にはさまざまな強度と範囲がある。ランサムウェア対策の1つが包括的バックアップだ。企業はマルウェア検出機能を統合するデータ保護ベンダーを探すべきだと話すのはジェイソン・バフィントン氏だ。同氏は市場調査や企業への指導をしているEnterprise Strategy Groupで主席アナリストを務める。企業がランサムウェア保護から回復できるように製品が支援するというのも、森林火災やサーバ障害から回復できるというのも同じことだとバフィントン氏は述べている。
ここ数年間で数社のバックアップとリカバリーベンダーがランサムウェア保護機能を備えた製品をリリースしている。幾つか例を紹介しよう。
- データバックアップソフトウェアを提供するAcronisでは、同名のソフトウェアで機械学習を使用して、ランサムウェアウイルスによるデータの破損を防ぐ。同ソフトウェアは、ファイルが損傷する前にアプリケーションの不審な動作の検出を試みる。
- エンタープライズ向け統合データ保護を提供するDruvaはランサムウェアの監視と検出のツールを同社の「InSync」エンドポイントデータ保護ソフトウェアに組み込んでいる。
- データリカバリー製品を販売するQuorumの「onQ Ransomware Edition」は攻撃からの回復を具体的な目標として設計した製品で、サーバのスナップショットを取得し、サーバ単位の回復を提供する。
- バックアップサービスを提供するUnitrendsの製品は予測分析を使用して、サーバ、ワークステーション、デスクトップでランサムウェアが動作している可能性を判断する。ランサムウェアが検出されたらアラートが送られるため、正規の復旧ポイントから即座に復元できる。また、それ自体は注目のテクノロジーではないが、テープバックアップもランサムウェアに対する安全な保護手段になる。ランサムウェアはオフラインデータには感染できない。教育もランサムウェア保護の重要な手段になる。バックアップとリカバリーのベンダーもこのアプローチを採用して対応している。
- データバックアップの大手であるArcserveの「Ransomware Watch」とデータバックアップやデータ保護サービスを提供するCarboniteの「Fight Ransomware」はニュースやアドバイスコンテンツを集めたWebサイトだ。
- 企業向け災害復旧サービスを提供するInfrascaleはクライアントを教育し、感染したシステムを迅速に復旧してダウンタイムを最小限に抑えることを支援する「Ransomware Antidote Program」を発表した。活動の一環として企業が自社の脆弱(ぜいじゃく)性を把握するためのオンラインリスク分析クイズを提供している。
ランサムウェアの検出と保護は、これをまだ提供していないバックアップとリカバリーベンダーにとっては最優先事項になるだろう。今後数カ月以内にランサムウェア固有の機能を追加する製品が増えると考えられる。
コンバージドセカンダリーストレージ
ハイパーコンバージェンス、つまりストレージと処理、ネットワークを1つのシステムに統合するITフレームワークは、新たな段階としてセカンダリーストレージへと拡大するのが自然の流れだ。セカンダリーストレージは頻繁にデータの読み書きが発生する主記憶(プライマリー)と違い、頻度は少ないが重要なデータを扱うバックアップやアーカイブを指す。セカンダリーストレージは徐々に増加し始めているが、これに注目しているベンダーはまだ少ない。2018年にはコンバージドセカンダリーストレージの採用が広がり、さらに盛り上がると予想される。
企業の多くは、プライマリーストレージではまかないきれない容量を何とかするために、セカンダリーストレージを重視している。セカンダリーストレージはプライマリーストレージの容量を空けるだけではなく、アーカイブ専用ストレージよりもデータへのアクセスが容易だ。セカンダリーストレージを利用すれば、過去のデータやそれほど業務影響が発生しないデータから引き続き価値を得ることもできる。
コンバージドセカンダリーストレージでは、セカンダリーストレージにバックアップした全てのデータ、オブジェクト、ファイルを1つの管理基盤に統合する。ハイパーコンバージドストレージ共通のメリット(効率性、使いやすさ、拡張性、生産性)は、コンバージドセカンダリーストレージにも当てはまる。さらに、セカンダリーストレージのデータを利用しやすくするために、ベンダーは効率性や拡張性が高く、パブリッククラウドと統合できるコンバージドセカンダリーストレージを提供し始めている。
コンバージドストレージは、ベンダーがひしめくデータ保護とデータ管理の市場への新規参入を可能にした。例えば、セカンダリーストレージ製品を扱うCohesityはセカンダリーストレージに重点を置いた「DataPlatform」を2015年にリリースした。同社は自社製品を拡張し、セカンダリーストレージを必要とする最新の開発状況に対応している。
2016年、Cohesityはクラウドをセカンダリーストレージ層として確立する動きを利用して、「DataPlatform Cloud Edition」をリリースした。2017年初頭にリリースされた同社のDataProtectソフトウェアの「Orion」リリースでは、NAS、ハイパーバイザー、Amazon Simple Storage Service(S3)向けのグローバル重複排除などの機能を追加している。
Taneja Groupの創立者アルン・タニジャ氏はCohesityの「DataPlatform Virtual Edition」を次のように称している。「Cohesityは、セカンダリー関連システム全般についてハイパーコンバージドの原理をセカンダリーストレージに適用している。これは非常に特徴的なアプローチだ」
Cohesityと競合する企業の大半はデータ保護に従来型のアプローチを採用している。だが、この市場に参入するベンダーの中には異なるアプローチをとるベンダーもある。例えば、ストレージ製品を扱うRubrikは同社の「Cloud Data Management Platform」を使ってCohesityと同様のアプローチをとり、拡張性を持たせたセカンダリーストレージにソフトウェアをバンドルした物理製品として販売する。ベンチャー企業のIgneous Systemsは、単一のセカンダリーストレージ層のバックアップとアーカイブを同社の「Igneous Hybrid Storage Cloud」に統合する。
データ保護、監視、分析のサービスと製品を提供するCommvaultも2017年はセカンダリーストレージを優先し始め、10月には「Commvault HyperScale」をリリースした。HyperScaleはCommvault初のデータ保護用の拡張型統合ハードウェア製品だ。これはCohesityやRubrikのような企業と競合する動きであることは明らかだ。次に来るのはコンバージドセカンダリーストレージだろうか。
多くのベンダーが参入し、かつてよりもセカンダリーストレージに注目している。そのため、2018年のデータストレージの主要トレンドとしてコンバージドセカンダリーストレージが大きく盛り上がるだろう。
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