主要な9大用途を紹介
いまさら聞けない、「ビッグデータ分析」と“普通の分析”との違いとは(2/2 ページ)
ビッグデータ分析への投資を正当化するユースケース
データの種類はさまざまだ。それを念頭に置いた上で、企業で次のようなユースケースを検討しているなら、ビッグデータ分析ソフトウェアは合理的な投資になる可能性がある。
- 顧客分析
- 顧客層や顧客の動き、特徴などを分析する。顧客を分類し、顧客離れを予測し、顧客に最善の提案をするための分析モデルを構築して、顧客維持を後押しする
- 販売分析とマーケティング分析
- マーケティングのユースケースは2種類ある。1つ目は分析モデルを使用して、顧客向けアプリケーションで顧客に直接推奨する方法を改善するケースだ。例えば関連商品や上位商品を販売する適切な機会を特定したり、購入のキャンセルを減らしたりする。また組み込みの商品推奨エンジンの精度を全体的に改善する。2つ目はもっと内省的なものだ。営業グループによるプロセスやキャンペーンのパフォーマンスを示し、そうしたパフォーマンスを最適化する方法を提案することが目的になる。例えば特定の集団や層のニーズに適したキャンペーンと、そのキャンペーンが顧客の行動へとつながった成功率を分析するケースがある
- ソーシャルメディア分析
- ソーシャルメディアでやりとりされているコンテンツから、顧客の意見を分析する機会はたくさんある。企業の製品/サービスについて否定的な情報が広まっている場合は、ブランドのリスクを見極める大きな機会にもなる
- サイバーセキュリティ
- 小売り大手のTarget、ソニー、医療保険のAnthemなど、企業に対する大規模なサイバーセキュリティ攻撃が発生している。この事実は、サイバーセキュリティ攻撃が実行されたときに、それを迅速に認識する必要性が高まっていることを意味する。潜在的な攻撃を突き止めるには、分析モデルを構築する必要がある。ネットワーク活動と、それに付随するアクセス動作を反映した大量のデータを監視するためだ。それを通じて攻撃の恐れのある疑わしきパターンを識別する
- 工場と設備の管理
- インターネットに接続するデバイスの増加に伴い、企業はこうしたデバイスが出力するストリーミングデータを収集して分析するようになってきた。こうしたデータは、電力使用量、温度、湿度、微量の汚染物質などに関する継続的な測定値を示す。変化する可能性のある値は、他にも無数に存在する。設備の障害を予測したり、予防的なメンテナンスをスケジューリングしたりするための分析モデルを作成できる。これにより設備の正常動作を継続的に維持できる
- パイプライン管理
- エネルギーのパイプラインにセンサーや通信機能を取り付ける動きが広がっている。これにより継続的にセンサーデータをストリーミングできるようになる。こうしたデータを分析することで、監視やメンテナンスの必要な問題を探すことができる
- サプライチェーンとチャネルの分析
- トラック輸送や鉄道輸送、海上輸送などの各チャネルについて、倉庫の在庫、POSのトランザクション、出荷に関する分析をすることで、先回りした消耗品の補充や在庫管理、物流管理、経路最適化を後押しする可能性がある。物流の遅延によってタイムリーな配送ができなくなりそうな場合の通知にも役立つ
- 価格の最適化
- 製品販売の利益を最大化しようとする小売業者は、各種データを組み合わせた分析モデルを構築することで、製品価格を動的に調整できる。組み合わせるデータには、競合業者の製品価格、多くの地域における売買取引(需要の確認が目的)、サプライチェーンに関する情報(供給量を監視するため)などがある。供給量が減っていたり、需要が高まっていたり、競合業者が提供できない場合は価格を上げる。需要が変わり、在庫を一掃する必要がある場合は価格を下げる
- 詐欺の検出
- 詐欺行為や詐欺取引が広がる中、金融機関は膨大な数の取引を分析して、詐欺行為のパターンを識別している。詐欺取引が発生している恐れがある場合に、顧客に向けてアラートを発することもできる
これらはいずれも同じ特徴を共有する。まず構造化データと非構造化データの両方が分析対象になる。次にデータのアクセス元または流入元となるソースが多様だ。そしてデータ量が膨大になる可能性がある。そこから分析の成果である分析モデルを使用して、データソースから即座にパターンを識別する。
下がっている導入のハードル
前述の通り、ビッグデータ分析ソフトウェアが提供する機能は新しいものではない。以下に示す3つの重要な要素が、ビッグデータ分析ソフトウェアの導入ハードルを押し下げており、さまざまな規模や分野の企業が導入を検討できるようになってきた。
- コスト
- 初期のビッグデータ分析ソフトウェアは価格が高く、導入やシステム連携のためのアフターサービスも高額だった。現在は経済的に無理のない価格帯で利用できるようになってきた
- シンプルさ
- ビッグデータ分析ソフトウェアベンダーの間では、専門家以外のエンドユーザーを想定して製品を設計する動きが広がってきた。初期のビッグデータ分析ソフトウェアは、統計の専門家や数学者が採用していた。こうした専門家は分析モデルを構築するだけでなく、分析の仕組みの細部まで理解している。最近のビッグデータ分析ソフトウェアは、高度な数学関連の知識を備えていないエンドユーザーでも扱うことができ、作成した分析モデルからビジネス上のメリットを得られるようになってきた
- パフォーマンス
- スケーラブルなインフラを利用すれば、ビッグデータ分析に必要なデータ量や処理能力を状況に応じて調整できる。最近では汎用(はんよう)ハードウェアに導入し、大規模な並列処理を可能にするオープンソースの分散ストレージソフトウェアがある。汎用ハードウェアのコストパフォーマンスは、以前よりも桁違いに優れている
ビッグデータ分析ソフトウェアの企業の導入
ビッグデータ分析ソフトウェアを採用するハードルが低くなり、企業はすぐに社内で試したり、導入したりできるようになった。いち早くビッグデータ分析ソフトウェアを導入した企業には、次のような共通する特徴がある。
- データ主導かつ分析主導の企業文化(情報には企業価値を生み出す可能性があることを企業幹部が認識済み)
- 分析プロセスに寄与する可能性がある多様なデータソース(静的データまたはストリームデータ)の存在を、主な関係者が意識している環境
- テクノロジーの導入を決断する俊敏性が備わっており、概念実証(PoC)をしやすい環境
企業にこうした特徴の一部または全てが備わっているなら、その企業はビッグデータ分析ソフトウェアを導入する態勢が整っているといえるだろう。
自社がビッグデータ分析ソフトウェアからメリットを得られると判断したら、次にすべきは社内の具体的なニーズを把握することだ。選定条件に優先順位を付け、それを用いて厳選した製品を評価する。
その後、これらのニーズを各ビッグデータ分析ソフトウェアの特徴に関連付ける。これらを情報提供依頼書(RFI)または提案依頼書(RFP)の評価要素に使用して、ベンダーと共有する。RFIやRFPの返答に応じて、ベンダーの選定候補を絞り込むことができる。その返答はビッグデータ分析ソフトウェア選びにも影響するだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー