通説を検証する
IoTについて誤解をしている5つのこと(2/2 ページ)
通説3:IoTでは、大量のデバイスを接続することが肝心であり、接続台数が多いほど良い
事実:IoTで肝心なのは、分析することでより良い意思決定を促進できる、行動につながるデータを生成することである。
IoTに接続されたジューサーのような有名な失敗例から分かるように、単にできるだけ多くの“モノ”を接続しようとすると、IoTが失敗する原因になる。確かに、こうした接続はIoTの土台だが、IoTの真価は、そうした接続されたデバイスによって生成され、分析によって、行動につながるビジネス洞察を引き出せる、リアルタイムまたはリアルタイムに近いデータストリームから生まれる。
例えば、鉱業・資源会社のRio Tintoは、自社の車両の状態を監視するIoTセンサーを使って予測メンテナンスを実現し、重大化する前に問題に対処している。現在、故障を回避することで1日当たり最大200万ドルを節約している。
通説4:IoT自体が変革をもたらす
事実:IoTによって長期にわたって幅広い効果を得るには、人工知能(AI)や機械学習、ブロックチェーン、フォグコンピューティングといった技術と組み合わせる必要がある。
企業がIoTの変革力を活用するには、IoTを他の画期的な技術と統合しなければならない。特に、IoTとAI、機械学習、ブロックチェーン、フォグコンピューティングの組み合わせは、セキュリティやコスト、複雑さ、スピードといったIoTの主要な導入課題の克服にも役立つ。
例えば、AIと機械学習は、リアルタイムIoTデータストリームの深い分析を可能にすることで、堅実な意思決定を促進する。また、フォグコンピューティングは、ネットワークのエッジでレイテンシ、帯域幅、信頼性の問題解決にIoTデータを利用できるようにする。ブロックチェーンは、安全な監査レベルのトランザクションを確保し、通信を行うデバイス同士を中央で集中的に仲介する必要はない。
これらの技術を連携させることで、非常に強力な機能が実現する。ドローンを考えてみよう。IoTとAIの利用により、自律型ドローンは操縦型ドローンより効率的に動作し、悪天候や樹木などの障害を安全に回避できる。そのため、こうしたデバイスを使って、油田サービス会社が石油掘削装置(リグ)を点検したり、測量技師が荒涼とした遠隔地を簡単に図面化したりすることが可能になる。
通説5:IoTは決してセキュリティを確保できない
事実:IoTはセキュリティを確保して安全に利用できる。
Wi-Fiシステムに対する攻撃から悪名高いランサムウェア「WannaCry」まで、サイバーセキュリティインシデントのニュースが日常的に報じられている。企業も消費者も、膨大なIoTデバイスのセキュリティやプライバシーについて、たくさんの不安を抱えている。IoT関連の技術革新や技術導入のペースの速さから、新しいセキュリティアプローチが必要とされていることは間違いない。
幸いなことに、セキュリティベンダーや企業、スタートアップ(新興企業)、さらにはデバイスメーカーも、今やIoTセキュリティを優先課題と位置付けるようになった。中でも企業は、セキュリティ投資のリスクと見返り、負担の許容範囲に関する理解を深めており、多くの企業がセキュリティ対策の強化について、成長にプラスに働くとの認識から力を入れている。
現在、多くの企業が従来の“Security by Obscurity(隠すことによるセキュリティ確保)”の手法に代えて、エンドツーエンドの包括的なポリシーベースのアーキテクチャアプローチでIoTセキュリティに取り組んでいる。同時に、業種別および業種横断型の標準化団体が、コネクテッドデバイスとIoTシステムの安全性確保を目指し、IoTセキュリティのフレームワーク、規格、方法論を積極的に開発している。政府もIoTセキュリティ対策を後押ししており、例えば、米連邦取引委員会(FTC)は、メーカーが顧客にデバイスセキュリティに関する情報提供を行う方法のガイドラインを打ち出している。最後に、IoTセキュリティについてまとめると、次のようになる。「IoTセキュリティは全ての人に責任がある。スタートアップからサービスプロバイダー、企業のエンドユーザー、業界団体、政府機関の全ての人がこれまで以上に、IoTを全ての人にとってより安全なものにするためのベストプラクティスを実践し、シェアしなければならない」
誇大宣伝されている他の技術と同様に、IoTについて語られていることの中で、何が事実で重要な意味を持つか、何が単なる通説であり誤解であるかを見分けるのは難しい。IoTは全ての企業に変革をもたらす可能性があるだけに、IoTの取り組みを始めるに当たっては、事実と作り話を区別しておくことが欠かせない。
そのため、実装に乗り出す前に一歩引いて、IoTを真に理解する必要がある。つまり、企業におけるIoTの役割と、IoTを適切かつ安全に導入した場合に、IoTが実現できる価値を理解する必要がある。IoTに関する最も一般的な通説を排除することで、あなたの会社がIoTの取り組みを成功させる準備が整うことを願っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー