インダストリー4.0が本格化
IoTが製造業界にもたらす5つの変革
製造業における古い生産モデルは、新たに出現したインダストリー4.0やスマートマニュファクチャリングなどのアプローチに姿を変えている。本稿では、製造業のビジネスに起こる変革を5つ紹介する。
IoT(モノのインターネット)革命がビジネスに変革を巻き起こしている。世界中の企業では、かつてないほどスマートな働き方と優れた業績を実現している。その最も顕著な例は工業分野だ。製造業では、センサーからデータを収集し、分析、機械学習、人工知能を使って洞察を蓄積できるようになった。こうして集めた洞察によって効率を上げ、運用を最適化して、新たなビジネスチャンスを見いだしている。古い生産モデルは、新たに出現したインダストリー4.0やスマートマニュファクチャリングなどのアプローチに姿を変えている。どちらのアプローチもデジタル化の能力を生かして、製造業者がこれまで以上に安全かつ効率的に製品やサービスを生産できるようにすることを重視する。
この傾向がすぐに変わるとは思えない。調査会社BI Intelligenceは、2015年には2億3700万台だった製造環境のコネクテッドマシンの数が、2020年には9億2300万台にまで膨れ上がると予想する。結果として、IIoT(産業用IoT)はIoTを取り巻く状況において他に例を見ない現象となっている。IIoTソリューションを実装する工場が続々と増え、製造業を絶えず良い方向へと導いていくことは確かだ。本稿では、こうした変革を5つ紹介する。
運用効率
IoTを活用しなければ、サプライチェーンのプロセスには透明性がほぼ得られない。あらゆることに時間がかかる。例えば、必要な数量を満たして納期を守れるように各製品の品質と効率を高めるために工程をチェックすることになる。だが、IoTが生み出すデータをリアルタイムに分析すれば、工場はさらにスマートに稼働する。情報を視覚化するツールを使用すると、作業員の効率など、製造プロセスの透明性が高まり、施設全体や製造スケジュールがどの程度適切に機能しているかを全体的に見通せる。また、資産の監視体制を強化し、機械の障害を予期して防ぐことで、運用上の重大な問題や生産の遅れを回避できる。
デジタルツイン
「デジタルツイン」とは、物理資産やシステムのデジタル表現で、現在の市場で有能な働きを見せるあらゆるIIoTプラットフォームの中核となる機能だ。筆者の所属するHitachiではこれを「アセットアバター」と呼んでいる。呼び方はどうであれ、デジタルツインが製造業者にとてつもないメリットを提供するのは確かだ。
デジタルツインは完全なレプリカを表し、工場に無限の可能性をもたらす。例えば、物理資産の寿命をテストするためにシミュレーションを使ったり、より優れたバージョンの製品を開発する方法を見つけたり、効率を改善できる場所を探したりすることが可能になる。工場はデジタルツインによって物理資産の問題を予測できるため、製品ラインに障害が起きるのを、手をこまねいて待つ必要はもはやない。今日レプリカが作成されている物理資産は、飛行機のエンジンから風力タービンまで多岐にわたる。こうしたレプリカがあれば、統制された安全な環境において、あらゆるサイズや種類の機械を設計、分析することが可能になる。工場の管理者が、製品の欠陥や障害を事前に回避して、工場が効率よく機能するよう維持すれば、納期を確実に順守できる。また、生産量を適切に予測できるようになる。
品質管理のための早期発見
TechRepublicによると、インドのTata Powerはガスタービンに関する早期警告システムを設置しているという。ある事例では、低圧加熱器のバイパス弁の1つが完全に閉まっておらず部分的に開いていることを従業員が把握できたおかげで約30万ドルの節約につながったという。このような早期警告を可能にする唯一の方法は、IoTを活用してリアルタイムに監視を行うことだ。こうすると、システムが毎日毎秒どのように機能しているかについて、工場の監督官がはっきり把握できる。Tata Powerの場合、ガスタービンが情報を直ちに報告したため、素早く調整できた。さもなければ問題が大きくなってから発見される羽目になっただろう。このようにIoTは予知保全の保証を可能にしている。
これまでは問題が発生したら機器や壊れた製品を廃棄しなければならなかった製造業者にとって、これは驚くべき変化だ。今やIoTセンサーと高度な分析によって、どんな小さな誤りや不備も生産中に検出できるようになっている。製造業者は生産高をさらに細かく制御して、生産目標全体をより簡単に実現することが可能になる。
自主的な自己回復システム
運用上の問題や機器の障害に対応するのはそれが発生してから、というのが大半の製造業者の現状だ。だがこれには時間もお金も、スキルも必要になる。それがIoTと機械学習のおかげで、システムを自動化でき、人間の介入を必要としないで、システム自体が問題をインテリジェントに特定して解決できるようになっている。Internet of Businessによれば、米フロリダ州の電力会社Duke Energyは、家庭での停電時に自らを自動再構成する自己回復送電線網を開発したという。製造業で自己回復テクノロジーを利用すれば、機械の多くは自力で問題を解決するようになる。これにより従業員は別のミッションクリティカルな問題に時間を割くと同時に、不要なコストを節約することが可能になる。
安全性の向上
いかなるときも「安全性」は最大の懸案事項である。これは製造業に携わる全ての人の共通認識だ。製造業者は安全性を向上する方法を常に探っている。IoTセンサーとコネクテッドデバイスがあれば正常に動作していないシステムを早期発見できるため、従業員は状況を把握して、事故を防ぐことができる。IoTは、ビデオ分析などによって企業によるリアルタイム監視を可能にする。また、監視のために従業員にセンサーを着用させることもある。こうしたセンサーはさまざまな測定値を提供し、異常が発生した直後に検出して警告を行う。例えばオーストラリアのある建設会社は、うだるように暑い砂漠で作業する従業員にスマートヘルメットの着用を義務付けている。これにより各従業員の体温、心拍数、湿度などのデータを監視して熱中症対策を行っている。なぜなら「症状を感じる頃には既に熱中症にかかっている」ためだ。IoTは、雇用主が従業員を守れるだけでなく、工場現場からオーストラリアの奥地まで、ほぼどのような状況においても従業員の安全対策とセキュリティを強化する。
以上、今日の製造業がどのようにIoTの影響を受け、業績アップを実現しているかについて、ほんの一部を紹介した。IIoT革命はまだ始まったばかりだが、これから世界をどのように進化させていくかは大変興味深いところだ。
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