従業員の健康管理は重要な経営課題
次に来そうな健康増進テクノロジー7選 チャットbotやIoTは「健康経営」に効果あり(1/2 ページ)
少子高齢化の時代、従業員の健康管理は企業の重要課題といえよう。チャットbotやウェアラブルデバイス、DNA検査キットなど、テクノロジー主導の健康増進プログラムについて、次に来そうなトレンドを紹介する。
企業主導の健康増進プログラムの主なトレンドはテクノロジーがけん引しており、中には少々斬新なものもある。2018年以降、企業はルームセンサーやチャットbotなどの新しいテクノロジーを導入するようになると予測する専門家もいる。導入の目的は、従業員の健康、雇用、生産性、忠誠心を維持することだ。
本稿では、近い将来、企業が実施するとみられるテクノロジー主導の健康増進プログラムのトレンドを7つ紹介する。
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1.企業主導の健康増進プログラムは総合が進む
企業が実施する健康増進プログラムのトレンドという観点では、その範囲の拡大が主なテーマになっている。
SAPで福利厚生プログラム「North America Total Rewards」の責任者を務めるジェイソン・ラッセル氏は、次のように語っている。「長期的に見ると、運動量を記録するウェアラブルデバイスを従業員に配布するだけでは十分とはいえない。SAPが実施する歩数追跡プログラムへの参加率は2016年にピークを迎えており、当時は米国従業員の3分の1が参加していた。だが、現在は約4分の1に減少している」
2018年には、より多くの企業が健康増進プログラムを重視して刷新し、より総合的なプログラムへと拡張することが予想される――というのがラッセル氏の見解だ。例えば最近SAPは、モバイルコーチングアプリ「Kurbo」を使用して従業員に健康と食生活に関するアプリベースのコーチングサービスの提供を開始している。また、がんと診断された従業員には、最善の治療法を特定する分子医学とビッグデータを使用したプログラムを提供している。
2.一般消費者向けテクノロジーは、企業主導の健康増進プログラムに影響し続ける
他の全ての分野についてもいえることだが、企業が実施する健康増進プログラムのトレンドは、一般消費者市場の動向に大きく左右される状況が続くだろう。
Forresterでヘルスケアのデジタルビジネス戦略のシニアアナリストを務めるケイト・マッカーシー氏は、次のように話している。「ウェアラブルテクノロジーと一般消費者向けテクノロジーは、2018年に企業が実施する健康増進プログラムでも引き続き採用されるだろう。例えば、シーダーズ・サイナイ医療センター(Cedars-Sinai Medical Center)が最近発表した研究結果によると、仮想現実(VR)を利用したセラピーに入院患者の痛みを緩和する効果があることが明らかになっている」
「最近、Cisco Systemsをはじめとする一部の企業は、従業員のストレス軽減を目的にVR用ポッドを導入している。だが、VRは、依然として高価で、広く採用されるほど成熟しているとは言い難いのが実情だ」(マッカーシー氏)
3.従業員の満足度維持を目的とした、企業主導の健康増進プログラム
2007~2009年にサブプライム住宅ローン危機に端を発した世界的金融不況を境に、米国では職を得ることが困難になった。そのため、エンプロイーエクスペリエンス(従業員が企業や組織の中で獲得する体験の価値)の差別化を図ることに、企業はそれほど関心を示していなかったとマッカーシー氏は指摘する。
米国労働統計局によると、2009年10月の時点で10%だった米国の失業率は、2017年10月の時点で4.1%まで回復しているという。現在の切迫した労働市場では、優秀な人材を採用して雇用するために、より多くの企業が有意義なエンプロイーエクスペリエンスの提供に注力するだろう。
社風、技術環境、物理的な作業環境は、どれもエンプロイーエクスペリエンスを形作るものだ。つまり、エンプロイーエクスペリエンスは、企業が実施する健康増進プログラムのトレンドにも影響する。事実、Deloitte Insightsが実施した調査「Employee experience: Culture, engagement and beyond(エンプロイーエクスペリエンス:社風やエンゲージメントなど)」によると、健康増進アプリやフィットネスアプリなどのテクノロジーは、エンプロイーエクスペリエンス全般に寄与することが判明している。
とは言うものの、多くの企業がエンプロイーエクスペリエンスの最前線に達していないのが実情だ。前述のDeloitte Insightsの調査に参加した企業幹部の約80%は、エンプロイーエクスペリエンスが「非常に重要」または「重要」と回答している。ただし、エンプロイーエクスペリエンスの他社との差別化について自社を高く評価していたのは22%にすぎなかった。
「優秀な人材を雇用するニーズの増大により、2018年には、企業の関心は変化すると予想される。従業員がストレスを感じることを理解して、その問題を解消するためのアイデアを聞きだすことへの関心が高まるだろう」(マッカーシー氏)
4.DNA検査キットを提供する企業の増加
DNA検査キットは一般的にも興味深い時期を迎えている。そして、企業が実施する健康増進プログラムのトレンドにもなっている。雑誌『TIME』では、2017年のホリデーリストに含まれるものとしてDNAキットを取り上げた。また、米国で有名なテレビ司会者のオプラ・ウィンフリー氏は、2017年に良かったものの1つとしてDNA検査サービスの「23andMe」を挙げている。
企業に健康分析ソフトウェアを提供するSpringbukの設立者兼CEOのロッド・リーゼン氏は、次のように話している。「DNA検査への関心の高まりから、2018年には、より多くの企業が、補助金で割引が行われるDNAキットを従業員に提供するようになるだろう。だが、企業は他の新しい健康増進イニシアチブと同様に、企業の補助金を利用したDNA検査サービスに従業員が関心を持ち、不快感を覚えないようにしなければならない」
SAPは、このようなDNA検査サービスを従業員に提供している企業の1つだ。2017年、SAPはColorの遺伝子検査キットを、多額の補助金で割引した上で、米国で働く1万5000人の従業員に提供した。このキットには、遺伝によるがん検査も含まれている。このプログラムを実施した理由の1つは、従業員が病気になる前に治療を始められるようにすることだった。2018年1月の時点で、SAPは約4900個の遺伝子検査キットを購入しており、このプログラムは2018年にカナダでも実施されることになっている。
このプログラムをSAPが開始する際、検査キットで収集したデータが保険会社やSAPには一切公開されないことを従業員に強調した。
「自由意志のプログラムだったため、従業員は、このプログラムを受け入れて活用した。従業員からはプライバシーを懸念する声も上がっていない」(ラッセル氏)
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