肉眼だけでは見えない疾患を見つける技術
これからの「個別化医療」は画像診断とウェアラブル技術の組み合わせが鍵に
Philips Healthcareの専門家によると、データ分析、機械学習、人工知能を搭載した画像診断システムは、医療機関が患者に最適な医療サービスを提供する一助になるという。
ジェロエン・タス(Jeroen Tas)氏は、Philips HealthcareでConnected Care and InformaticsのCEOを務めている(取材当時。2017年2月よりChief Innovation & Strategy Officer)。米国シカゴで2016年11月に開催した北米放射線学会(RSNA 2016)で、画像診断の進化と、個別化医療サービスの進化についてインタビューを実施した。
――RSNAでは「人工知能(AI)と機械学習ソフトウェアが放射線科医と神経科医の役に立つ」と講演されていましたが、以前は医療とウェアラブルテクノロジーのコンシューマライゼーションにも興味を示しておられました。画像診断の進化は、医療およびモバイルテクノロジーのパーソナライズな側面と、どのように関わっていると考えていますか。
タス氏:私たちは、この2つが一体になってきていると考えている。というのも、患者についての知識が増えるにつれて、患者への理解が深まる。さらに重要なことだが、患者に対する診断の精度が上がれば、より適切な治療を施せるようになる。突き詰めると、治療とは非常に個人的なものでなければならない。
ウェアラブルデバイスとIoMT(Internet of Medical Things)は、私たちの日常生活のサポートを目的としている。それから、慢性疾患に起因する急性事象も含めると、医療費の多くが慢性疾患のために使われている。
日常生活で慢性疾患をより適切に管理できるツールがあれば、必要な情報の多くは、このツールを経由して提供することになる。具体的には、歩数や活動に関する情報をキャプチャーするだけでなく、心拍数のモニタリングもできるヘルスケアウォッチなどが考えられる。私たちは特に心臓のリズム(調律)に関心を寄せている。心拍の乱れは、問題が起こっていることの指標となるからだ。体重や血圧にも関心はある。ただし、関心があるのは、体重と血圧が患者にどのような意味があるかということだ。
画像診断の進化について例えを挙げるなら、あなたが心臓疾患になっていて、胸に痛みを感じ、呼吸が不規則になっているとしよう。かかりつけ医のところに行くと、医師が当社のポータブル超音波診断装置「Lumify」を使用して、心臓の超音波検査をして、その場で診断を下すことができたとしたら、どんなに素晴らしいことだろうか。これが現実になれば、個人に最適化した治療につながる可能性がある。例えば、投薬治療に変化をもたらすかもしれない。もしくはもっと切り込んだ言い方で「心臓の弁に問題が見られるため、病院で治療を受けることをお勧めします」と、患者に伝えられるようになるかもしれない。
――画像診断技術は、病気の早期発見にどのように役立つでしょうか。
タス氏:神経疾患に関しては、画像診断の進化により、早期アルツハイマー病を発見することが可能になっている。これは、脳に見られるごくわずかな変化から特定できる。私たちの身体機能は加齢によって衰えていく。身体機能の衰えは、基本的に脳の萎縮だ。これは全ての人に起きることで、脳の萎縮自体に問題はない。問題になるのは、一般的な脳の萎縮とは違う現象が見られる場合だ。
人間の目では見えないがソフトウェアなら識別できる小さな兆候を捉えられるようになれば、神経放射線科医は、早期段階から脳の機能の退化を特定できるようになるだろう。
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