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タブレット問診票とウェアラブル血圧計は、医療現場のペーパーレスを後押しする?
問診票や、日々計測した血圧や血糖を記録する手帳は、紙ベースのフォーマットが長年利用されていました。しかし近年ではこれらもデジタル化が進んでいます。
前回の「クリニック経営を『見える化』するツール『PMS(Practice Management System)』とは?」では、医療機関が電子カルテやレセプトコンピュータ(以下、レセコン)などに蓄積したデータの活用するための手段として、「PMS」(Practice Management System:病院向け経営支援システム)を紹介しました。今回は、問診システムや血圧計などのウェアラブル端末と電子カルテの連携について考えてみます。
なぜ、問診票は紙なのか
「問診票」は患者の受診理由や現在の症状、発症時期などを自己申告してもらうための書類です。問診票に書かれた患者の症状を基に、医師は診察や検査をしていきます。電子カルテの普及が進んでいますが、いまのところ問診票は紙で運用している医療機関が少なくありません。
なぜ、これまで電子カルテを導入しても、問診表は紙だったのでしょうか。それは患者のITリテラシーと大きな関係があります。クライアントPCなどの情報端末は誰でも操作できる訳ではありません。そのため、誰でも操作可能な紙が長く使われていました。
問診票が紙であるデメリット
問診票が紙の場合、手書きで読みにくいだけでなく、誰かが手書きの問診票の内容を電子カルテに打ち直さなくてはならないというデメリットがあります。医療機関にとっては、電子カルテ導入によって新たに生まれた負担(手間)といえるでしょう。
患者ごとに記載にばらつきがあることもデメリットです。例えば「今日はどうされましたか」という質問事項に対して「風邪」と答える患者が多くいます。この回答では医師は、風邪に対して詳細な症状をさらに掘り下げる必要が出てきます。一方で「のどが痛い、熱がある、寒気がする」など、症状を答える患者もいます。質問の捉え方は患者によって違うのです。
タブレット問診、Web問診の普及が始まる
手書きの問診票をなくす試みとして、最近ではタブレット問診やWeb問診といった試みが始まっています。タブレット問診は、来院した患者にタブレットを貸し出し、患者自らタブレットに問診内容を入力する仕組みです。Web問診は、患者がPCやスマートフォンを用いて、Webサイトから予約した際に事前に問診を入力する仕組みです。これらの問診システムは、スマートデバイスやインターネットの普及、患者のITリテラシーの向上を受けて、比較的若い患者を診る診療科を中心に導入が始まっています。
タブレット問診やWeb問診は、問診内容を電子カルテに入力する作業を軽減することを目的に開発されたのですが、問診データを解析したいという医師側の要望も背景にあります。問診情報のデジタル化がもたらす可能性を感じて、さまざまなITベンダーが参入しています。
| 企業名 | 製品名(リンク先は製品説明のWebサイト) |
|---|---|
| エンパワーヘルスケア | MyClinic問診票 |
| 福島コンピューターシステム | Dr.TAP |
| 高志インテック | Smart-問診 |
| パルソフトウェアサービス | BEAR-D |
| flixy | メルプ |
| アイ・ティ・エス | i mon |
| DKSG | WEB問診票 |
手帳と電子カルテ
医師は例えば生活習慣病の患者に対して、日々の生活状況を把握するために血圧手帳や糖尿病手帳を渡して、家庭で計測した血圧や血糖などの値を記載してもらいます。これらについても、手帳の内容を電子カルテに転記する必要があり、その手間を減らすために手帳をデジタル化する動きも見られます。手帳だけではなく、血圧計や血糖計、運動量計などのデバイスと連携させる試みも始まっています。特に活動量計についてはさまざまなウェラブル端末が登場しており、これらの情報を蓄積して生かしたいという動きが見られます。
このように患者側で蓄積した情報管理については「PHR」(Personal Healthcare Record)と呼びます。電子カルテやレセコン、医用画像管理システム(PACS)など、病院側で情報管理しているシステムを「EMR」(Electronical Medical Record)と呼ぶことに対応した呼称です。EMRとPHRを組み合わせて患者の記録を一元化する動きは、国内でも始まりつつあります。
次回は「電子お薬手帳」と「電子処方箋」について考えてみます。
著者紹介
大西大輔(おおにし・だいすけ)MICTコンサルティング
一橋大学大学院MBAコース修了。医療コンサルティング大手に入社。2002年に医療IT機器の常設展示場「MEDiPlaza」を立ち上げ、企画運営、スタッフ指導、拠点管理などを担当。2016年10月に医療ICT専門コンサルタントとして独立し、MICTコンサルティングを設立。医療機関向けシステムの開発アドバイス、導入アドバイス、医療IT人材の育成などを行う。過去2000件を超える医療機関へのシステム導入の実績から、公的団体を中心に講演を多数実施している。
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