注意すべきは「データ受信用インフラ」
農業IoT、成功と失敗を分けるのは何?
農業の現場で取得できるデータには、農業業界が必要とする情報、生産効率を上げる方法など、さまざまな情報が含まれている。その中には、モノのインターネット(IoT)市場を築く方法についての情報もある。
農業は、一般的にIoTを活用することで多くのメリットが得られる業界だといわれている。かつては「産業用IoT初の巨大市場」になるかもしれない、といわれたものだ。テクノロジーの進化により、農業経営者は土、水、作物の各状態についての現場の情報を自動的に処理できるようになった。IoTには、農場の生産性を変革し、経済効果を高め、収穫量を増やす可能性がある。そのIoTをデータ分析や機械学習と結び付ければ、その能力を最大限に引き出すことができる。
一方、種や苗、水、電気、機械の価格がそれぞれ上がるなど、生産コストが上昇している。そのため、農業関連の産業はリソースの利用効率を上げ、生産量を増やすようプレッシャーを受けている。
特に農地の広さという地理的要素を考えると、データを手作業で集めていては、データの最大限に活用することは難しい。データ収集という点では、現状のテクノロジーが重要な役割を担い始めている。スマートセンサー、インターネット対応のデバイス、アプリケーション、クラウドデータストレージといった洗練された機能が、多種多様なデータを大量に生み出す。こうしたデータが取得、保存、処理され、意思決定支援ツールに送られる。つまり多種多様なデータが企業の意思決定に大きな影響を与えているということだ。
農業業界向けの優れたインテリジェンス
データを正しく分析すれば、農業ビジネスに有意義な価値が付与される。幾つものデータセット(データのまとまり)を組み合わせれば、優れた分析結果(インテリジェンス)を引き出すことができる。
こうして組み合わせたデータが、農業経営者に優れた価値をもたらすことを示すユースケースはたくさんある。例えば、土壌のセンサーや農作物監視システムが収集したデータと気象データとを組み合わせることで、農業経営者はこれまで以上に適切な判断を下し、農作物の収穫量を増やすことができる。センサーと監視システムを自動水やりシステムに接続して、理想的な土壌環境を整え、作物の健全な成長を促し、生産量を最大限に高めている農場も幾つか存在する。
他にも、羊がいる場所をリアルタイムに認識し、体重、血液、心拍数などの生体認証データを保管する家畜監視システムもある。こうしたシステムから得られるデータを使えば、羊の健康状態、治療、繁殖について判断できるようになる。
農業分野でのIoTの制限
スマート農業にまつわる課題の数と種類は多く、農業生産のさまざまなシステムに影響を及ぼす。こうした課題は、IoTを実装時のインフラを制限する。農業が行われる多くの地域は、都市部でサービスを利用する場合に比べて、接続性が悪く、コストも比較的高く、速度も遅い。モバイルデバイスが受信エリアに含まれなければテクノロジー導入の大きな障害になる。農業地域でも都会と同様にインフラにアクセスできるよう、必要な資金の拠出を求める多くの要請が政府に対して行われている。大半の地域では何らかの種類の3G接続や4G接続が用意されているが、接続品質が劣っていることが非常に多い。
農業経営者が自問しているのは「どうすれば必要なときに、必要な場所でデータを入手できるか」だ。さらに高度なセンサーが市場に登場しているのを考えると「こうしたセンサーをどのように使用すれば、販売や意思決定のプロセスを向上できるか」が最大の疑問になる。
農業業界のIoT戦略
簡単のように思えるが、最初の一歩を踏み出すのは大変なことだ。最初の一歩として妥当なのは「大きく考え、小さく始める」という戦略に従うことだ。
IoTがこれまでに例を見ない農業業界を作り上げることを願っている。農業に応用するアイデアを検証しながら、IoTのメリットとデメリットについての知識を深めることが不可欠になる。成功を重ね、失敗から学び、規模を広げて調査を続け、さらなる調査のために強力な技術を確立する。産業IoT市場として精度の高い農業を目指すことで、極めて大きい対価が社会にもたらされるだろう。
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