既存システムのCPUがボトルネックになることも
NVMe SSDへ移行しストレージの世代交代を進めるには?
高性能SSDインタフェースを取り入れるには、入念な計画が必要だ。NVMe(Non-Volatile Memory Express)技術の進化に伴い、どうすれば容易に移行できるかが模索されている。
NVMe(Non-Volatile Memory Express)は、次世代ストレージシステム向け論理デバイスインタフェースとして登場した。前世代のSAS/SATAの仕組みでは不可能だった大幅な性能向上を実現する。NVMe型SSDの登場でSASとSATAは旧設計のインタフェースになった。
SSDの能力を十分に引き出すには、PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)バスに直接接続して、NVMe技術を最大限活用しなければならない。最近、そのことを認識し始めている企業が増えている。
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ネットワークを含めた高速化「NVMoF」
「NVMeへの移行によって、可能な限りCPUに近づけられる」とグローバル規模のIT支援を行うPhoenixNAPのプレジデント、イアン・マッククラーティ氏は説明する。このアプローチでは複数のPCIeバスを使ってレイテンシ低減と速度向上を実現でき、SAS/SATAインタフェースの課題だったボトルネックを解消するという。
移行を進めるには
NVMe型SSDへの移行は、これから何年かの間、徐々に進むとみられる。幸い現在SAS/SATAを利用している企業が直ちにフォークリフトアップグレード(ハードウェアとソフトウェアを一度にまとめてアップグレードすること)する必要はなさそうだ。
「将来に備えて、フラッシュ技術の革新的でスケーリング(拡張)が可能なアーキテクチャを実装すべきだ」
そう説明するのは、ストレージとデータ管理ソフトウェア企業NetAppでデータ管理ソフトウェアである「ONTAP」担当チーフエバンジェリストを務めるジェフ・バクスター氏だ。
「既存のソリューションにもNVMeに対応可能なものがある。例えばNVMe型ストレージを既存システムに直接接続できるものや、HDDもしくはSAS/SATA型のSSDストレージシステムからNVMe型SSDストレージシステムに段階的に拡張、移動できるものなどがある」(バクスター氏)
NVMe型SSDへの移行を開始する前に、まず現在のストレージシステムがNVMeに対応可能かどうかを確認する必要がある。ストレージ企業Western Digitalのナラヤン・ベンカット氏(フラッシュストレージアレイのデータセンターシステム担当バイスプレジデント)は「大規模な再構成やデータ移行を行わずにNVMe型SSDを追加できるかどうか」を確認すべきであり、もしそれが可能なら、SAS/SATA型SSDをNVMe型SSDに交換するだけで、アプリケーションを中断することなく即座に性能を向上させることができるという。
ただし、残念ながら現行のストレージシステムの多くはNVMe型SSDとの互換性を想定した設計になっておらず、シームレスなNVMe SSDサポートに対応していない、と同氏は付け加えた。
互換性の問題
現在のストレージシステムがNVMe互換でない場合、最初からNVMe対応に設計されたストレージシステムにアップグレードするしかない。システムのアップグレードの手間はかかるが、アプリケーションやデータを新しいNVMe対応ストレージシステムに簡単に移行できるメリットがある。
「VMwareなどの仮想化環境なら、数回のクリックだけでアプリケーションやデータとともに仮想マシンを移動でき、簡単に移行できる」とベンカット氏は語る。
フラッシュストレージシステムメーカーKaminarioで最高技術責任者(CTO)を務めるエーヤル・デビッド氏は、移行を考える際にはシステムを考慮したアプローチも重要だと指摘する。
「SAS/SATA型SSDストレージシステムから移行する場合、そのシステムでNVMe型SSDが高い性能を発揮できるのか、確認しておくことが重要だ。多くのシステムでは、移行できたとしても、システムのCPUがボトルネックになってあまり性能が変わらない」と同氏は話す。容量と性能を完全に分離させているスケールアウト(拡張性を持った)システムなら、性能を生かし、適切なパフォーマンスを確保できる可能性があるという。
データ管理システムベンダーのVexataでCTOを務めるスーリヤ・バラナシ氏は、システムを考慮した移行アプローチでは、アプリケーションの整合性を維持し、中心となるアプリケーションの基盤変更を避けることも重要だという。
「例えば、SANなどの既存のネットワーク接続(トポロジー)を流用する方法がある。ネットワークはそのままで、ストレージをNVMe型SSDに変更する。システム構成は変わらないのでアプリケーションやOSでの変更作業は最低限に抑えられる。少ない手間で性能向上を実現できるだろう。NVMeが持つ、マルチパス、ボリューム検出、負荷分散といった機能も活用できる」
データ復旧サービス会社DriveSaversのエンジニアリング担当ディレクターを務めるマイク・カッブ氏は、フレッシュバックアップ戦略を立てることを勧める。ここでいうフレッシュバックアップとは、毎回新しい媒体でバックアップを取る(同じ媒体を使いまわししない)ことだ。
「NVMeで問題が発生した場合にSAS/SATAに戻せるように、移行前のバックアップは上書きせず、必ず新しい媒体を使う。どんな移行でも、用心するに越したことはない」(カッブ氏)
将来に備える
NVMe技術が普及するとともに、耐久性が高くて大容量の低価格SSDの開発が進めば、ホット、ウォーム、コールドのストレージ階層は大きく変わるだろう、とマッククラーティ氏は予想する。
「NVMe over Fabricsは、スケーラブル(拡張可能)で高性能のネットワーク接続ストレージ施策を可能にする」と同氏は話す。PCIeのNVMeインタフェースにも対応しているIntelの「Optane」(「3D XPoint」技術)でストレージの容量や速度とコストはさらに変化し、性能とコストを使い分けるストレージの階層化も変わっていくという。
「NVMeとNVMe over Fabricsを組み合わせれば、容量と性能のバランスを取って柔軟に構成可能なストレージシステムを構築できる」とデビッド氏は付け加えた。
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