まだ成熟していない分散型台帳技術(DLT)
ブロックチェーン技術の実装に役立つ「Unified Rules Model」(URM)とは(2/2 ページ)
オックスフォード大学の「Unified Rules Model(URM)」は、情報ガバナンスの設計に関する学位取得課程で提示されるツールだ。DLTとブロックチェーンの実装の計画には、このURMが役立つ可能性がある。
URMは、複数階層のフレームワークと分類構造を提供する。これにより、ルールの全てのソースを整理して結び付けることができる。そのため運用するソフトウェアコードは全ての関連ルールに完全に準拠するようになる。
パブリック層(Public Layer)には、DLTに格納される記録の構造や、その記録が関連するビジネス運用に影響する公的な法律、規制、解釈(政府機関の発表や判決など)を全て設定する。DLTの支持者の多くは、記録の作成方法や格納方法を変えても、こうした法律や規制の適用範囲は変わらないという事実を見過ごしている。ここで2つの疑問が生まれる。「記録に関連するルールにはどのようなものがあるか」「関連するルールがあるとしたら、そのルールは記録のデジタル版に何を求めるのか」。当然、これらの疑問の答えは、関連するビジネスプロセスに結び付く法域が増えるにつれてさらに複雑になる。
実装層(Implementation Layer)には、企業が自社の業務を管理するために必要なポリシー、手続き、契約、協定を全て設定する。図に示すように、設定内容は大きく2つに分類される。1つはビジネスルールで、主に書面によるポリシーや協定を表す。もう1つは技術ルールで、主に規格や技術固有の制御要件(さまざまなデジタル記録に必要な認証レベルなど)を表す。
DLT(およびほぼ全てのクラウドサービス)については、DLT専用のドキュメントと、DLTの契約、ポリシー、手続きもこの実装層に設定する。ここに設定するものが、事実上、DLTシステムを統制するルールになる。このルールが、数の上でも運用の上でも著しく複雑になる可能性がある。このルールを特定し、理解して、DLTのルールと企業のビジネスルールや技術ルールとの整合性を取ることは驚くほど時間がかかるだろう。だが、これを行わなければ投資全体を危険にさらす恐れがある。
実行層(Execution Layer)にはソフトウェアアプリケーションコード自体を設定する。この層では、ルールが明示的、正確かつ自動的に実行される。DLTはブロックチェーン技術を利用し、拡張する。多くの場合、ビジネスプロセスは冗長で、労力がかかり、セキュリティのリスクに対して脆弱になる。DLTは、こうしたビジネスプロセスを自動化することで、その威力を発揮する。第一に、コードは正しく機能し、正しい結果を生み出す必要があり、URMの上位層の要件にマップされなければならない。第二に、コードが生成する結果の記録は、企業が満たさなければならないコンプライアンスの義務をサポートするという保証が、企業に必要になる。
この2番目の要素が重要になる。企業の統制が直接及ばない範囲にシステムを移す場合は必ず、コンプライアンスを文書化する方法についての強力な保証を協定内で表現しなければならない。メタデータ、操作ログ、アクセス制御ログなどは全て、実行層のコードアセットの重要な成果物になる。
URMは目で見て分かりやすい。だが、URMを、デューディリジェンスを実施するツールとして使用することで、DLTが適合すべきルールの全ポートフォリオをチームが整理するのに役立つ。ルール間の親子関係は、より明確にマップできる。ルールが必要とするかもしれない曖昧さ(「適切なセキュリティ」や「妥当な予防対策」など)は、実装層と実行層の特定のルールに適合させることができる。そうすることで、CIOは、DLTとブロックチェーンの実装を成功裏に完了するために全てのルールが適切であるという確信を高めることができる。
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