GCPも活用、ディープラーニングでぶつかった4つの壁
TensorFlowを独自に学習 無人店舗化を目指すクリーニング店のAI事例(2/3 ページ)
ディープラーニングでぶつかった4つの壁
エンジニアたちも一から勉強している今のタイミングなら、自分でも勝負できる。そう信じて飛び込んだディープラーニングの世界だが、簡単に進んだわけではない。
もしかしたらAI技術による無人店舗を作れるのではないか――。「そんな勘違いをして取り組み始めて、そこからが地獄のようなフェーズでした」と田原氏は振り返る。前例も少なくリソースもない中で「自分が事例になるくらいのつもり」(同氏)で取り組んだ。だが「思った通り、壁にぶち当たりました」と同氏は語る。
田原氏は自身の経験を振り返り、ディープラーニング技術を学ぶ上でぶつかる4つの壁を挙げた。1つ目は「やってみたの壁」。「MNIST」など、ディープラーニング技術を学ぶためのデータセットは提供されており、技術自体を学ぶことはできる。しかし自社のユースケースに即したデータではないため、学んだ技術の具体的な活用法を思い浮かべにくい。プログラミング言語の習得でもぶつかりがちな壁だ。
この壁にぶつかった田原氏は、具体的な目標を立てた。ディープラーニング技術と画像認識技術を使って、エルアンドエーの無人店舗を開くことだ。課題が明確になれば、AIツールの学習に必要なデータの種類も明確になる。
コインロッカー式の無人クリーニングが既に実用化されているが、これは「バックオフィスにコストが結構かかるんです」と田原氏は明かす。ディープラーニング技術や画像認識技術などを駆使し、クラウド環境とソフトウェアだけで無人店舗を実現できれば、バックオフィスやクリーニング店員の教育にかかるコストを抑えられるはずだと同氏は考えた。
2つ目は、「データ収集の壁」。やってみたの壁を乗り越え、自社での活用方法を考えて課題を設定したら、次に取り組むのはデータ収集だ。ディープラーニング技術ではどれだけ多くのデータを教師データにできるかが大きな鍵となる。だが日常業務をこなしつつ自社業務に即したデータを収集しようとすれば現場の負荷が増える。店舗の担当者に負担をかけないデータ収集方法を考える必要がある。
この壁を越えるために田原氏は、店舗のテーブルを数秒置きに撮影する仕組みを自作。同氏は撮影した画像を、テーブルに何も置かれていない画像と、テーブルに洗濯物が置かれている来客中の画像にまず振り分けた。これなら店舗のオペレーションを邪魔することなく、日々学習データを蓄積していける。
3つ目に挙げたのは「機械学習の難しさの壁」。新しい技術を習得する際には必ずぶつかる壁と言ってもよいだろう。自社の課題を明確にし、ユースケースに即したデータを用意して、さて学習させようとAIツールに読み込ませたら、大量のエラーを吐き出したそうだ。これを独力で解決するのは至難の業。田原氏は近くに技術協力者を求めた。
「『福岡 ディープラーニング 教授』などのキーワードで検索して、ヒットした方に片っ端からコンタクトを取りました。そのうちの1人が興味を持ってくださり、相談に乗ってくれました。その方には、今でも1年に一度程度進み具合を報告しています」(田原氏)
これらを乗り越えた後に待ち構えているのが、最後の「実証実験から実用化の壁」だ。田原氏は今まさにこの壁を乗り越えようと努力を重ねているさなかだ。
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