役割自体を見直すことが肝要
デジタルトランスフォーメーションがたどる3つの段階 出遅れた企業が巻き返すには?(2/2 ページ)
ストレージに関する気掛かりな事実
ITの重要性は飛躍的に高まり、その役割もインフラの拡大とともに増大している。データが業績に直接結び付くようになり、IT部門は新しい業務を担わなければならなくなっている。ITの責任者は、現状の責務を果たすのも難しいにもかかわらず、新しい業務を引き受けることになる。このように責務が増えることで、ITストレージ担当者は将来の雇用展望は安泰だと考えるかもしれない。ただし、ESGの実際のデータは、その逆を示している。
調査に参加したストレージ意思決定者のうち、今後もストレージが他とは一線を画す職域としてとどまり、クラウド、CIやHCI、SDSといった新しいテクノロジーが職務に与える影響はないと考えているのはわずか12%だった。つまり、多くのITストレージ担当者は、こうした次世代テクノロジーを脅威に感じていることになる。そのため、ITの重要性は高まっているにもかかわらず、ITを支える担当者は将来を懸念している。この一見矛盾するような2つの傾向の裏には、何があるのだろう。
有力なのは、ITインフラの需要が購入や構築のしきい値を越え始めているという説だ。企業には、ITインフラを構築、スケーリング(拡張)する余裕がない。同様に、これまでのように担当者を確保、増員する余裕もない。そこで、企業は徐々に、SaaS(Software as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)などのサービス、またはCIやHCIなどの管理しやすい製品を購入するようになっている。このようなアプローチを取ると、アーキテクチャの設計、管理、サポート作業の大半がなくなる。つまり、需要は増加しても、ストレージIT業務は減少するという認識が高まっている。これは、ITストレージ担当者にとって何を意味するだろう。
役割を考え直す
突き詰めていくと、ITの役割は変化している。「自分がいなければ仕事が回らない」状態にすれば解雇されないという格言を信じる人もいる。だが、自身が不可欠な存在になればなるほど、今後のキャリアではずっと同じ仕事しか任されない可能性が高くなる。かといって、デジタル変革に抵抗することも、自身の職務を競争上のリスクにさらすことになる。
幸い、デジタルで事業が特徴づけられることで、IT部門にも新しい責務が生まれている。IT部門の責任者にとっては、その新しい責務それぞれが、職務と自身の両方の競争力を高めるチャンスとなる。デジタル変革戦略を最大限活用して、新しい責務を獲得できる3つの分野を紹介しよう。
自動化のエバンジェリストになる
ITは業績をけん引するが、動きが遅いとコストがかかる。手動でのIT作業は高くつき、競争を妨げる恐れがある。手動の作業全てを取りまとめ、できる限り自動化する。ITインフラには自動化に役立つように、API機能が用意されており、セルフサービスで処理できるポータルの役割を用意する重要性が高まっている。さらに「Kubernetes」「Puppet」「Chef」などのアプリケーション開発のオーケストレーションフレームワーク(設定、管理を自動化する仕組み)を導入することで、自動化が加速する。
ワークロードとデータを最大限に理解する
インフラの自動化が進むにつれ、システムの安定稼働とデータの重要性は高まる。最も分かりやすい例は、サイバーセキュリティに関する専門知識の需要増加だ。データの価値が高まると、セキュリティ脅威の量と多様性も高まるためだ。また、企業がマルチクラウドによるインフラ基盤を導入する際には、アプリケーション、データ、インフラがどのように機能、連携するかを理解することが重要になる。
専門性に磨きをかける
IT部門は、事業部門と直接連携してITサービスを最適化し、新しいデジタル事業を提供するための新しい役割を担う必要性を感じるようになっている。新しい役割では、IT部門は事業部門を顧客とする製品開発チームとして行動する。
肝心なのは、ITが変化していることだ。ITの成長分野を道しるべに利用して、IT部門も変わることができる。変わらなければ、時代に取り残される恐れがある。
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