成功企業の実例も紹介
今更聞けない「デジタルトランスフォーメーション」(DX)の主要技術と課題
市場の変化に合わせて、柔軟に企業のビジネスをITで変革させるデジタルトランスフォーメーション。その歴史、本質、技術、実例を紹介する。
「デジタルトランスフォーメーション」(DX)とは、モダンな技術を活用することによって企業内で製品やプロセス、戦略を変革させることをいう。
DXでは、企業内のサプライチェーンやワークフローから、従業員のスキルセットや幅広いレベルのディスカッション、さらには顧客との関係やステークホルダーにとっての価値に至るまで、全てとはいわないまでも、大部分を検証し、つくり替えることが求められる。
DXは、現在、そして将来的にも、顧客の需要に歩調を合わせる企業を支援する。DXでは、技術の進化に伴って常に変化する市場経済の中で、企業が競争力を高めることができる。従って、どんな企業や非営利企業や機関であれ、未来に向けて生き延びようとすればトランスフォーメーションが必要になる。
DXの歴史
企業が成功を収めるためには市場の変化に合わせて順応する必要があり、さもなければ消滅の危機にさらされる。新興技術が自分たちの製品をいかに時代遅れにさせるかを予想できない企業は失敗し、今後も失敗し続ける。
20世紀後半に始まり、21世紀の最初の10年で加速した社会のデジタル化は、多くの企業でDXへの意識に火を付けた。
モバイル技術、人工知能、クラウドコンピューティングなどのデジタルイノベーションは、顧客がいち早く情報を入手する速度を激変させ、翻って顧客が接する企業や機関に対しても製品やサービスの種類や質を変化させている。
主要技術
テクノロジーは企業のデジタル化を支援する。しかし、単独でDXを実現できるアプリケーションや技術は存在しない。
一般的に、企業が変革しなければならないプロセスは複数ある。例えばクラウドコンピューティングでは、企業が必要とするソフトウェアや新機能、アップデート、さらにはデータストレージへのアクセスが高速化され、トランスフォーメーションに求められる機敏な動きが可能になる。
コモディティ化された情報技術のおかげで、企業は、独自のニーズに応える製品や、市場での差別化を支えるプロセスに対し、人材や研究開発費の投資を集中させることが可能になった。
一方で、モバイルプラットフォームは、仕事をいつでもどこにいてもできるようにした。機械学習や人工知能技術を加速させる堅実なデータプログラムは、販売やマーケティング、製品開発といった戦略分野の意思決定に関する、より正確な情報を提供する。
ビジネストランスフォーメーションを加速させる他の技術としては、ブロックチェーン、拡張現実、仮想現実、ソーシャルメディア、モノのインターネット(IoT)などがある。
DXの実例
多くの業界や個々の企業はトランスフォーメーションプロジェクトのただ中にあるか、DX戦略の立案に当たっているか、この概念に苦戦しているかのいずれかの状態にある。
既にデジタルおよびビジネストランスフォーメーションが進行中の企業もある。実例としては、General Electric(GE)が挙げられる。GEは製造業をルーツとして、マシンの継続的なモニターと最適化を実現するIoTプラットフォームサービスへと進出した。
NespressoもDXを成功させた企業の1つだ。スイスのNestle Group傘下で特製コーヒーマシンの製造を手掛ける同社は、クラウドベースの顧客関係管理(CRM)システムを導入し、顧客がオムニチャネル経由でショッピングや顧客サービスを利用できるようにしている。顧客はWebサイトやモバイル端末で同社にアクセスすることも、実店舗を訪れることもできる。Nespressoはそれぞれの顧客の全体像を一目で把握でき(360度ビュー)、さらに多くの市場への進出や売り上げの増大を実現してきた。
DXのもう1つの実例であるNetflixは、郵便を使ったDVDレンタル会社として1997年にスタートした。現在、同社のオンラインビデオストリーミングサービスでは、それぞれの顧客の好みに応じてカスタマイズしたサービスを提供している。
DXの課題
多くの企業は依然として、簡単には入れ替えられない旧式の、いわゆるレガシー技術で苦労している。古い技術の入れ替えに資金を当てることができない、あるいは当てる気がない企業も多い。多くの企業は、経営陣や役員の中で、DXプロジェクトを主導する能力のあるリーダーをなかなか見つけられなかったり、プロジェクトを遂行する能力を併せ持つデジタルやIT担当の人材を確保できなかったりする。
それなりのリソースがある企業でさえも、新しいプロセスや製品のトランスフォーメーションでは課題に直面する。そうした企業は企業内で慎重姿勢を取る複数の社員の意識を変えなければならず、DXプロジェクトを成功させるためには十分な資金と管理職による監督が求められる。例えば最新のサプライチェーン管理技術を導入しなければならない場合、同時にセンサーや機械学習といったIoT機能も採用して、顧客が自社の製品をどう使っているかについての情報を収集する必要もある。
リーダーは常に進化を続け、DXに対して前向きな社風をつくり出す必要がある。古くなった非効率的なプロセスを見極め、それを捨ててもっといいものに入れ替えることに対して誰もが積極的でなければならない。
こうしたさまざまな条件に注目しなければ、プロセスや手順(例えば素材の注文、在庫確認、決済処理など)の効率や効果を向上させることができる最新技術がありながら、企業の動かし方や、ビジネスの創出価値を変革することができずに終わる可能性もある。
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