今は「金塊の上に座っている」ようなもの
実現しないと生き残れない? 企業のデジタル化を成功させる5つの要素とは
CIOは2017年、何を目指しているのだろうか。総括すると、ITの運用モデルの変更、新しい作業方法の導入、IT人材の増強、デジタル化がビジネスに与える最大の影響への真剣な取り組みなどが挙がった。
最高情報責任者(CIO)向けの2017年の展望は、「デジタル化」の一言に集約できる。2017年の課題は、次世代のテクノロジーを使用して、製品、チャネル、オペレーションの転換を図るのに懸かる企業の労力によって決まるだろう。また、IT部門が過去に行ってきた作業は今でも全て残っている。そのため、航海をしながら船を作ることに関する古い格言が今ほど当てはまる時代はないだろう。
本稿では、世界中の何百人ものCIOと対話する中で、2017年におけるCIOの最優先事項について話を聞いた。総括すると、ITの運用モデルの変更、新しい作業方法の導入、IT人材の増強、デジタル化がビジネスに与える最大の影響への真剣な取り組みなど、申し分ない計画が立てられている。以下に2017年のCIO向けの展望を5つに分けて紹介する。
その1:PBR(Plan-Build-Run:計画・策定・実行)モデルの廃止
多くのCIOは2017年の重要課題としてITの運用モデルの変更を挙げている。現在、ほとんどのITグループは、一連のビジネスの優先順位に基づいて計画を立てて、プロジェクトのポートフォリオを作成し、現行の事業活動を管理するように編成されている。このプロジェクトを中心としたモデルは、需要が比較的安定して予測できていたときには上手く機能していた。だが、変化が早くビジネス主導であることが多い世界では、要件が不明瞭で事前に定義するのが難しいデジタルイニシアチブに対してこのモデルは古くて使えなくなっている。また、CIOは、このモデルがアジャイル、DevOps、継続的なデリバリーには低速で応答性が低く柔軟性に欠けると判断している。
2017年には、最大3分の2の企業が、一連の永続的な製品ラインについて、資金調達、開発リソース、継続的な管理サポートを確保するモデルを導入し始めることが予想される。このような製品ラインは、ITサービス、プラットフォームまたは価値ストリームとしても知られているが、企業で最も重要なビジネス機能と連係している。製品ラインまたはサービスの専任マネジャーは、ビジネスの関係者と協力して、完全なライフサイクルを管理している。これには、運用開始、運用中のパフォーマンス管理、運用停止が含まれる。専任マネジャーは資金調達も管理している。これは、CIOにとってデリケートな話題の1つになるかもしれない。ITに割り当てられている予算を、プロジェクトではなく、ビジネス機能に連係したチームに割り当てるよう最高財務責任者(CFO)を説得しなければならないからだ。
その2:融合チームの使用増加
2017年には融合チームが仕事を遂行する重要な方法になるだろう。融合チームは、幅広いITリソースで構成される。また、IT部門、他のビジネス部門、サードパーティーのメンバーで構成されることもある。融合チームには一時的なものもあれば、永続的なものもある。だが、チームメンバーは、組織階層とは異なる系統で報告を行い、重複するタスクで連携し、責任を分担している。アジャイルチームとDevOpsチームは、その好例だ。その他には、技術者とマーケティング担当者で構成されるデジタルマーケティングチームや、IT、サイバーセキュリティ、製品開発、営業の担当者で構成されるデジタル製品チームが挙げられる。
融合チームは増加の一途をたどっている。というのも、テクノロジーイニシアチブは急速に変化し、多くの目的、相互依存、関係者を伴う。そのため、不変の組織構造を定義して、全参加者について考慮することは不可能だ。CIOは、リソースを再割り当して、新しいグループを作成して、さまざまな役割の間で責任を入れ替える作業に追われている。融合チームに必要なのは、多才で融通が利き、変化を進んで受け入れる資質を備えたメンバーだ。全てのITスタッフメンバーが持っているスキルではない。融合チームを結成するための人材、文化、プロセスを保有している企業は成功を収めるが、そうでない企業は後れを取るだろう。
その3:多様な能力と学習機敏性を備えたスタッフの確保
ITチームは必要な人材を確保するべく奮闘している。そのため、特定のスキルと能力に対する需要が毎年急増する。IT運用において急速に変化するテクノロジーと大きな変革により、2017年に話題となるスキルは「多才さ」と「学習の機敏性」の2つであろう。
複数の分野について専門的な技術を持っているか、影響力、関係管理、コミュニケーションなどの能力と技術的な専門知識の両方を応募者に求めるIT職の求人には20%の増加が見られる。新しい知識やスキルを迅速に習得する能力を学習の機敏性というが、この能力の需要も高まっている。最近の求人では、この能力に言及するものが30%増えている。残念なことに、学習の機敏性に長けているのはIT部門スタッフの60%にすぎない。つまり、需要が既に供給を上回っているのが実情だ。
その4:サイバーリスクとコンプライアンスだけでなく、ITのリスク管理強化も
デジタルチャネルを経由する利益が増加し、利益がデータに依存する割合が高くなるにつれて、ITのリスクはバックオフィスに限られた問題ではなくなっている。また、サイバーセキュリティとコンプライアンスにも限定されなくなっている。2016年には、何社もの航空会社や銀行などがテクノロジーの機能停止によって一時的に業務停止状況に追い込まれる事態が発生した。長期的な展望としては、テクノロジーが自社のビジネスモデルにもたらす混乱に適応できなければ、多くの分野の企業がその姿を消すことになるだろう。
この状況に対応すべく、2017年には、ITのリスク管理への関心は高まるだろう。具体的には、テクノロジーがビジネスに及ぼす全てのリスクを特定して評価するアプローチだ。情報セキュリティの脅威とコンプライアンスの問題は、大きく取り沙汰されるものの、他の大きなリスクも増えるだろう。特に増えることが予想されるのは、IT戦略、プロジェクトデリバリー、レガシーシステムのメンテナンス、予算の抑制、ベンダーの実績、データの品質、重要なITスキルの不足に関するリスクだ。
その5:ビジネス全体を対象としたデータ戦略への対応
スマートセンサー、ソーシャルメディア、モバイルなどビッグデータのソースのおかげで、洞察を手に入れることが可能になった。だが、今は金魂の上に座っている状態だ。この洞察は、企業が新しい製品をリリースしたり、カスタマーエクスペリエンスを再構築したり、オペレーションを最適化する目的に使用できる。その結果、企業は、データレイク、分析ツール、視覚化エンジンに投資している。だが、多くの企業は、その価値をあまり見いだすことができていない。足りないのは、情報から価値を引き出す方法を特定する企業全体を対象とした統一されたデータ戦略である。そのため、2017年にはデータ戦略の活性化が見られるだろう。
それから、2017年には最高データ責任者(CDO)が倍増することも見込んでいる。IT部門に所属するCDOもいれば、他の部門に所属するCDOもいるだろう。だが、その中でも有能なCDOがデータ戦略を策定して、データの可能性を伝道するだろう。また、その際、データの所有権を明確にするという報われないタスクに没頭することもないであろう。このようなCDOは、企業全体のデータを分析して価値を引き出すのに必要な社内スタッフの能力育成もサポートすることが予想される。
本稿で紹介した5つのトレンドは、かつてないほど急激な変化によってもたらされたものだ。2017年のCIO向けの展望が変更される不測の変化が起こることは間違いない。だが、柔軟な資質、製品に合ったモデル、リスクとデータを把握して融合チームのメンバーとなり得る多才なスタッフを持つCIOであれば、不測の事態にも対応することができるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握 -
製品資料
[株式会社マクニカ] 「脆弱性総まとめ」解説 被害事例から考える必須の対策ポイント -
製品資料
[Splunk Services Japan合同会社] サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには -
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」完全ガイドブック:メリットから資格取得のポイントまで -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] はじめての「自治体/官公庁入札」 必要な知識がすぐに学べる入門ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
AI基盤は本当に「オンプレ回帰」する? Broadcomの言い分と企業の本音
-
5
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
6
「世界一給与にハングリー」な日本のエンジニアが“雇用の安定”を求める理由
-
7
「Linuxサーバの長期運用とRed Hat Enterprise Linux」に関するアンケート
-
8
「IoT通信環境の構築・運用」に関するアンケート
-
9
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
10
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー