GoogleやAmazonに先を越されないために
Microsoft CEOも賛同、「CIOはデジタル変革でCEOをサポートせよ」
CEOの思考の中核部分を占めるデジタルビジネス革新に、最高情報責任者(CIO)のサポートは不可欠だ。本稿では、2016年10月に開催された「Gartner Symposium/Itxpo」から重要なニュースをお届けする。
デジタル製品とデジタルサービスに関心を向けるCEOが増えている。彼らは、物理的なビジネスとデジタルビジネスの間の境界線を曖昧にして、自社の在り方を根本的に変えようとしている。そんな彼らに必要なのが、最高情報責任者(CIO)のサポートだ。
Gartnerのアナリスト、マーク・ラスキーノ氏は2016年10月17日、同社主催で毎年開催している「Gartner Symposium/ITXpo」でITリーダーたちにアドバイスを送った。同氏は「企業は製品とサービスを従来通り提供するのと並行して、デジタルビジネス革命を進めることを優先しなければならない」と強調し、CIOが過去10年間に理解を深めたテーマについて繰り返し語った。
ラスキーノ氏は、ビジネスの物理的な中核部分をデジタルと融合させたCEOの例として、LEGO GroupのCEOを務めるヨアン・ビー・クヌッドストープ氏の名前を挙げている。LEGO Groupは創業84年になる玩具メーカーだが、映画製作、オンラインゲーム、消費者がデジタルモデルを製作できるサイトの運営にも手を広げている。そんな同社を、クヌッドストープ氏はナイキやスターバックスになぞらえる。言うまでもなく、ナイキもスターバックスも玩具メーカーではない。だが、ナイキは店頭とオンラインストアの両方で顧客がスポーツ衣料品やシューズなどの製品を簡単に探せるようにしている。また、コーヒーチェーンのスターバックスは、モバイル決済システムによって数百万ドルの決済収入を得ている。こうした取り組みこそが、従来の製品の展開を支える力強いデジタルビジネス戦略だといえる。
「これがCEOの思考パターンだ。やってはいけないのは、ビジネスの幅を狭めて従来の事業に固執することである」とラスキーノ氏は語る。
396人のCEOと上級企業幹部を対象にGartnerが最近実施した調査では、最も重要な戦略上の優先事項が「成長」であることが明らかになった。「成長は彼らにとっての生命線だ」と同氏は話す。デジタルビジネスは、「事業の成長」と「顧客、企業、ITに関する戦略の形成」における重要な要素と見なされている。
デジタルビジネス革新の一面
「CEOは、デジタルビジネスが現在の『収益リセッション』を切り抜ける力になると信じている」とラスキーノ氏は話す。2007~2009年にかけ、米国主要企業は9四半期連続でマイナス成長を記録したことがあったが、今はそれ以来最長の減益期に直面している。また、デジタルビジネスの革新は、より厳しく革新的になるデジタルビジネス競争を回避するのにも役立つことが見込まれている。
ラスキーノ氏によると、Domino's Pizza EnterprisesのCEOドン・メイ氏はドローンという新たなテクノロジーの採用を重要な差別化と考えているという。同ピザチェーンは、2016年末までにニュージーランド国内においてドローンによるピザの配達を計画している。
もちろん「小型の飛行物体がピザを宅配できるわけがない」「全ては宣伝のためではないのか」とIT担当者に限らず多くの人々が疑問を抱くだろう。だが、皮肉な考え方をしていては生き残れないというのがラスキーノ氏の見方だ。
「ドローンによるピザの宅配が実現したら、誰もがそのサービスを利用したいと思うだろう。私たちが力を注ぐべきはこのような部分で、非現実的に思える計画を打ち立てなければならない。GoogleやAmazonに先を越される前に、先手を打つのだ」
今や全てがデジタルに
この議論に、MicrosoftのCEOサトヤ・ナデラ氏が加わった。同氏は2016年10月18日の朝、ワシントン州レドモンドから、人でごった返すオーランドのホールに衛星中継を介して語りかけた。当初の予定では、数千人のCIOの前に登場する予定だったが、背中に負ったけがが原因で飛行機に乗ることができなかったため衛星中継を使うことになった。
「小売業者も銀行もメーカーも、今や全てがデジタル企業だ。社内にデジタル機能を構築しなければならないが、それを実現する上でCIOが担う役割は大きい」とナデラ氏は語る。
インディアナポリスにあるOrthoIndy整形外科病院でCIOを務めるショーン・レディントン氏は、このナデラ氏の発言を聞いて「スピード」という言葉を連想したという。
「できるだけ迅速にデジタル化を進めるべきだというのがナデラ氏の見方だと私は解釈している」と同氏は話す。同院の医師は、患者への連絡、病歴の追跡、診断に電子医療記録を使用している。これは正しい方向への第一歩だと語りながらも、同氏はWebとモバイルデバイスでもっと迅速に情報を処理する方法を調べている。
「顧客への対応をさらに良くするために、フロントエンドとバックエンドのタッチポイントをデジタル化する方法について考えている」とレディントン氏は語る。
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