テクノロジーがビジネスで重視される時代
GEのCEOらが「会社にCIOは必要だ」とわざわざ述べる理由
デジタル環境の急激な成長によって、ビジネスでテクノロジーが重視されつつある。それに伴い、CIOに求められる役割が大きく変わってきている。
General Electric(GE)の最高経営責任者(CEO)ジェフ・イメルト氏は、「これまで長く、最高情報責任者(CIO)はあまりにも受動的過ぎた」と話す。「CIOは社内において自分がどれほど重要であるかを認識していない。テーブルに自分の席を要求するような積極的なリーダーになるべきだ。会社はCIOを必要としている」。同氏は、2015年秋、米フロリダ州で開催された、調査会社Gartner主催のシンポジウム「Gartner Symposium」でそのように語った。
世界中でフランチャイズレストランを展開するDunkin' Brand Group(以下「Dunkin'」)のCEO、ナイジェル・トラビス氏も2015年11月、マサチューセッツ州で開かれたCIOおよびITリーダー向けのイベント「Society for Information Management Boston Technology Leadership Summit」で同様のスピーチをした。「CIOは会社の中で、戦略的な役割を担うユニークなポジションに置かれている」と同氏は語る。なぜなら、CIOはテクノロジーを知っており、テクノロジーが今日求められる改革に欠かすことのできないものであるからだ。「われわれは新しい世界にいる。そして、ITはわれわれの先頭にいる」とトラビス氏は基調講演で述べた。
イメルト氏やトラビス氏が言及した新たな状況は、「デジタルビジネス」として知られる。デジタルビジネスは、Gartnerが「デジタル世界と物理世界の融合による新しいビジネスデザインの創造」と定義している。CIOは、その融合された世界を知らない人ではない。しかし、仕事場にせよ、家庭にせよ、デジタル環境の急激な成長は、経営陣とテクノロジー、CIOとの関係に重大な影響をもたらしつつある。
Gartnerの最新のCEO調査によると、回答者400人のうちの25%が、2016年のビジネスの優先順位トップ3に「テクノロジー」を挙げた。この数字は衝撃的とまではいかないが、アナリストのマーク・ラスキノ氏は大いに注目する。「テクノロジーがビジネスの優先順位のトップ3に入るとする回答者が4分の1に上った。われわれの10年にわたる調査の中でも最も高い数値だ」と、同氏はGartner Symposiumで述べている。
CIOとCEOのパートナーシップ
「この統計はCIOにとって重要な意味を持つ」とラスキノ氏は話す。なぜならデジタルビジネスが、CIOとCEOの関係を変化させつつある確かな証拠であるからだ。それは決してERPが登場し導入が進められていた時代の再来ではない。当時のCIOは「特に面白くもなく簡単でもない」仕事のために雇われ、CEOのサポートに悩み、苦しむだけだった。「そのときと、今は違う」とラスキノ氏は語る。
「CIOは、持ち上げようとする岩がどれほど大きくても果敢に挑戦する必要がある。CEOに対して、ERP導入が進められていた時代に期待しながらも提供できなかったサポートを提供すべきだ」とラスキノ氏は言う。「CEOには他に選択肢がない。そして彼らは、今の問題が極めて重要であることを知っているからだ」(ラスキノ氏)
そうしたCIOとCEO間のパートナーシップは存在する。イメルト氏は、GEのCIOであるジム・フォウラー氏と、同じくチーフデジタルオフィサーであるビル・ラー氏を有能な戦略アドバイザーと見ている。
「彼らは製造責任者やエンジニアリング責任者、あるいはサービス責任者以上の熱意で、10億ドル規模のサービス生産性の向上、顧客品質の向上、その他あらゆることを、われわれとともに目指そうとしている。そこが昔と違うところだ」(イメルト氏)
同じようにトラビス氏も、Dunkin'のCIO、ジャック・クレア氏を情報および戦略の最高責任者として指名したときに打ち出した企業戦略を進めるために、クレア氏を信頼しているという。クレア氏は、モバイルオーダーなどのプロジェクトの中心、先導役として期待されている。それらのプロジェクトは、各店舗に最新のテクノロジーを導入し、顧客がDunkin'のモバイルアプリケーションを利用して、店員とやりとりせずに注文できる仕組みを構築するものだ。トラビス氏はモバイルオーダーのプロジェクトを「向こう数年間における単一で最大の取り組み」とする。「顧客はこのシステムによって注文がしやすくなり、われわれは労働コストを削減できるはずだ」とトラビス氏は語る。
競争の激しいアプリケーションの世界では、トラビス氏やイメルト氏以外にも、自販機をデータソースに変えつつあるCoca-Colaやトイレットペーパーなどの紙製品をデジタル対応しようとしているスベンスカ・セルローサなどのCEOが、顧客サービスの向上と競争優位を実現する手段としてテクノロジーを見ている。
こうしたCEOの姿勢は、CIOを有利な立場に置くことになるはずだ。CIOにもたらされたこのチャンスの窓は、恐らく閉じられることはないだろう。「しかし」とラスキノ氏は言う。「私はインターネットバブルを見てきた世代だ。またバブル崩壊が来るとは言わないが、この巨大なチャンスの揺り戻しは訪れると思う。CIOはこのチャンスが過ぎ去らないうちに、最大限に活用すべきだろう」とラスキノ氏は語る。
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