Oracle会長に米議会が喚問状
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
米退役軍人省の大規模刷新で、当初100億ドルだった契約が270億ドル超へ膨張した。8年で導入1割という大失態に米議会はOracle首脳の証言を要求。巨大ITプロジェクトを狂わせた統制不全の教訓に迫る。
米下院退役軍人委員会は、大規模な電子カルテシステムの予算超過を巡る動議を全会一致で可決した。これにより、Oracleでエグゼクティブチェアマン兼CTO(最高技術責任者)を務めるラリー・エリソン氏と同社CEOのマイク・シシリア氏に証言が求められる見通しとなった。
2026年9月2日に開かれた同委員会の監視公聴会では、電子カルテ刷新(EHRM)プログラムを取り上げた。その席上で、システムの費用がなぜ高騰したのかについて疑問の声が相次いだ。
2026年8月、米退役軍人省(VA)は随意契約による期間延長を実施した。Oracleとの契約上限額を100億ドルから270億ドル超へと引き上げている。マキシン・デクスター下院議員はOracle幹部に宣誓証言を要求した。170億ドルの増額や同社の業務実績に加え、退役軍人と納税者が約束通りの成果を得られているかについて説明を求めている。
本記事では、巨大ITプロジェクトを狂わせた統制不全の教訓に迫る。
これはOracleに対する白紙小切手にすぎない
この電子カルテシステム契約は、第1期トランプ政権下で最初に締結された。VAの医療施設と戦争省、米沿岸警備隊、アメリカ海洋大気庁、さらに参加する地域の医療提供機関を接続し、臨床医が退役軍人の全医療履歴を一カ所で確認できるようにする狙いで導入が進められている。
しかし、プログラムは進行が遅れ、予算を超過している。米政府監査院(GAO)は以前から、VAの電子カルテ刷新の取り組みに懸念を示していた。2026年8月時点で、VAはGAOが提示した18件の勧告のうち14件を履行していなかった。これらにはコスト見積もりやスケジュール管理、プログラム運営、ユーザーの定着、満足度、運用テストについての勧告が含まれる。
EHRMプログラムを管轄する技術近代化小委員会で筆頭委員を務めるニッキー・バジンスキー下院議員によると、VAが同プログラムで管理を担当する170の診療所のうち、完了したのは17カ所にとどまる。同氏は導入数の少なさを「ばかげている」と批判した。
VAの最高執行責任者(COO)を務めるポール・ローレンス氏に、バジンスキー氏は次のように述べた。「VAはこの事業を実行するために8年間を費やしてきた。率直に言って、これは単なるコスト超過だ。あなた方はこのプロジェクトを管理できていない。これはOracleに対する白紙小切手にすぎない」
データクレンジングと人員確保の課題も浮上
バーミンガム市のOracleプロジェクトでは、データクレンジングと人員確保の課題が浮上した。監査委員会の議員らは、強固なプロジェクトガバナンスや適切な技術要員の確保、変更管理手順の徹底を求めている。
また、VAのCIOであるカート・デルベン氏は、Oracle Cernerとの契約条件強化によって電子カルテ刷新プロジェクトが正常な軌道に乗るとし、「慎重ながらも楽観的」な見方を示していた。
公聴会でプログラムの責任の所在を問われたローレンス氏は、2025年に自身が職務を引き継ぐまでは別のチームが担当していたと答えた。
バジンスキー氏は、VAが2025年3月までCIOを採用しなかった理由についても疑問を呈した。さらに、Oracleが2年後に再び議会へ追加予算を求めに来るのではないかとただした。ローレンス氏は、Oracleがプロジェクト完了のために追加の資金を求めることはないと主張した。
下院退役軍人委員会の民主党筆頭委員であるマーク・タカノ氏は次のように述べた。「8年間ですでに浪費した100億ドルに加え、コストを自己負担すると以前表明していたエリソン氏の企業に、さらに170億ドルを投げ与えている」
デクスター氏は次のように語った。「100億ドルから約270億ドルに膨らむ可能性がある公金契約を担う企業が、議会の場に出て質問に答えることを拒むなら、当委員会は職責を十分に果たせない。退役軍人には正常に機能する医療記録システムを受ける権利があり、納税者には自らの税金が責任を持って使われているかを知る権利がある。非公開の円卓会議で公の議会監視を代替することはできない。Oracleの首脳陣は本委員会に出席し、この契約について説明責任を果たすべきだ」
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