IT管理者の1つの理想形か
あなたは「Facebookの次期CIO」になれるか? 求人票から分かった“納得の条件”
Facebookが公開している最高情報責任者(CIO)の求人票について、管理職スカウトの専門家がレビューしたところ、重要なポイントが浮かび上がってきた。
Facebookが新しい最高情報責任者(CIO)を探していることは公然の事実だ。同社は2016年4月、現在CIOを務めているティモシー・カンポス氏が、2016年をもってFacebookを退職することを発表済みだ。
この発表をきっかけに予想外の出来事が起こっている。Facebookが自社サイトを利用してCIOの求人票を掲載し、条件や職務内容などを包み隠さず公開したのだ。この投稿は、各社のCIOにとって贈り物といえるだろう。デジタルの変革という壁を乗り越えたFacebookが未来のIT責任者に何を求めているのか、それを確認する機会を得ることができるからだ。
TechTargetは管理職スカウトの専門家3人にFacebookの求人票を確認してもらい、専門家としての見解を求めた。重要なポイントは、Facebookがビジネス技術者を求めているように見えことだ。つまり、ビジネスプロセス管理など従来のCIO職務に精通しながら、戦略的なビジネスリーダーになれる人物を探している。
ハイブリッドCIO
FacebookのCIOの求人票で注目すべき点は幾つかある。その1つは、この求人表から読み取れる限りでは、同社のIT部門が非常に伝統的であることだ。新しいCIOの職務には、「ガバナンス」と「ITセキュリティ戦略の構築と強化」に加え、「ビジネスプロセス強化」を促すことが含まれている。さらに、「ITインフラ」がビジネス要件を満たせるようにすることも該当する。コンサルティング会社Russell Reynolds Associatesでコンサルタントを務めるショーン・バナージ氏によると、これはIT部門の本来の業務を実現するためのものだという。また、これが職務内容に記載されていることに驚きはなかったとも語る。
ただし、Facebookの求人票から現代のデジタルITリーダー像をうかがい知ることができる。条件のセクションに記載がある学位の一覧には、テクノロジーをコアコンポーネントとしたMBA(経営学修士)を含む。テクノロジーに精通したMBAを指定していることは、テクノロジーによってビジネスを推進していくことを示す明確な兆候だとバナージ氏は考えている。「多くの企業は重要な商業手段としてテクノロジーに期待を寄せているはずだ」と同氏は言う。
人材紹介会社Heller Search Associatesで管理職のスカウトを行っているマーサ・ヘラー氏は、FacebookのIT部門が言うところの「プロダクト」のような言葉は最近のIT用語だと指摘する。ヘラー氏は新時代のIT企業のCIOに関する著書『Be the Business:CIOs in the New Era of IT』を執筆するに当たって実施した調査の中で、一部のCIOがIT運用モデルの概念を見直していることを発見したという。その方法は、ビジネスの専門用語を部分的に取り入れることだ。例えば、ERP(Enterprise Resources Planning)をテクノロジーではなく、管理すべきプロダクトだと考える。
ヘラー氏は現代のCIOを表す一例として、Facebookが求人票で「職務上の枠を超えた生産性」の実現に言及している点を強調する。「Facebookの経営陣が従業員の生産性を重視する必要があると感じているなら、それを後押しすることがCIOの職務になる。CIOの役割は絶えず変化しており、アプリケーションを提供するだけにとどまらない」と同氏は話す。
FacebookはCIOに対して、情報管理、インフラ、セキュリティに精通しているだけでなく、企業の戦略やビジョンに貢献するビジネス感覚を持っていることを求めている。この条件が、同社がCIOにふさわしい人物を見つけることを困難にしている。そう語るのは、コンサルティング会社Korn Ferryで管理職のスカウトを行っているクレイグ・スティーブンソン氏だ。「今どきのCEOが求めるCIO像は以前と異なる。現在のCIOのお手本になるのは、デジタル経済において企業が掲げるビジョンの構想と実行を後押しできる人物だ」
人材管理
求人票の職務内容のセクションでは人事部に2回言及しており、これは他のどの部門よりも多い。
- 第1に、新しいCIOには人事部のITニーズを確実に「効率的かつ効果的」に満たすことが要求される
- 第2に、「特に優秀なIT人材を引き寄せてとどまらせる計画の策定と実行」も求められる
人材管理を強調していることはスティーブンソン氏からすれば当然のことである。同氏は、CIO職務の中でも人材管理にますます多くの時間が割かれるようになっている状況を目の当たりにしてきた。「CIOは恐らく職務に使える時間のうち、最大で4分の1をリーダーシップに費やすことになるだろう。これには、ITチームと密接に関わり、チームが同じ方向を向いて進んでいることを確認し、適切な人材を登用することも含まれる」と同氏は言う。この時間の割合は前年と比べて増加しており、スティーブンソン氏はその原因としてデジタル化を挙げる。デジタル化によって、企業は隅々まで変革することになるためだ。
これに対して、バナージ氏はIT部門と人事部の関係性を「極めて重要」だと認識しており、この関係を違った角度から考えている。「IT部門の人材だけではない。多くの場合、採用候補者は情報収集に企業のWebサイトを利用する。では、そのWebサイトを構築、サポート、更新するのは誰だろうか。通常はIT部門が担当し、人事部と協力することも多い」と同氏は指摘する。第一印象が物足りなければ、その採用候補者は他の企業で働くことを考える可能性もある。
同じことは新規採用者にもいえる。新規採用者はWebサイトに掲載されているテクノロジーによって企業を判断する可能性がある。ITツールやリソースが平均以下なら、「『この企業は遅れていて、将来を見据えていない。働くなら先進的な企業だ』といわれるかもしれない」とバナージ氏は話す。
サイバーセキュリティと情報セキュリティ
Facebookの求人票がセキュリティに触れていることは、2人の管理職スカウトの専門家が指摘している。職務内容では、セキュリティに3回言及している。
- 第1に、新しいCIOは「エンタープライズクラスのITセキュリティ戦略を策定および管理」する必要がある
- 第2に、「情報テクノロジーとセキュリティを管理するための実用的な計画を立てる」必要がある
- 第3に、セキュリティを含め、「発展途上のシステム環境に新しいテクノロジーと標準」を導入した経験がなければならない
バナージ氏は、どんなCIOにとってもセキュリティは「キャリアを台無しにするもの」になる恐れがあると考えている。「セキュリティによって、多くの企業の役員会レベルで名が知れ渡ることもあり得る話だ」
デジタルがもたらす複雑さは、ほとんどの企業が理解できない可能性がある。「内部情報セキュリティとサイバー攻撃は同じカテゴリーとして考えられることが少なくない。だが、この2つは大きく異なる。データと分析のようなものだ。これらがひとくくりにして扱われることが多いのは、その方が簡単だからだ」とバナージ氏は説明する。だがデータを活用して実用的な分析機能を生み出して大きな成功を収めた企業なら、この2つが実際には別の機能であること認識しているという。そこに密接な関係性があるとしてもだ。「情報セキュリティは幅広い言葉であるため全てのデータに適用される。だがサイバーセキュリティはデジタルデータに限定される」(バナージ氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
「有線LAN環境」に関するアンケート
-
7
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
8
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
9
積水化学工業が「SAP S/4HANA Cloud」の“全グループ導入”に踏み切った訳
-
10
データセンター事業者が「脱VMware」をした“例のライセンス問題”じゃない理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー