「セキュリティアナリストが不要になる」は本当か
セキュリティの自動化とオーケストレーションは「企業のセキュリティ」をどう変える?(2/2 ページ)
自動応答機能の選択肢
脅威に対する自動的な応答機能を組み込んでいるSAOシステムは多いが、脅威が特定された後のエスカレーションには幾つかの選択肢が生まれる。
最速でリスクを食い止める方法は、自動的に対応するようプログラムされたSAOのサービスを導入することだ。そうすれば脅威を迅速に抑えることができる。ただ、誤検知が起こったりそれに基づいた対処がなされたりした場合に問題が起こる。つまり、結果的には、最も速く回復されるが、それに伴うリスクも最も高くなる。従って、これは緊急度の高いアラートにのみ使用されるべきである。
別の選択肢としては、手動応答がある。セキュリティアナリストが何らかの調査中に問題に遭遇した場合、SAOを手動で実行して、案内される対処法に従って処置をする方法だ。この方法はリスクが低くて済むが、MTTDやMTTRの観点から言えば、長い時間がかかってしまう。
3つ目の選択肢は、このシステムに自動応答時と同様の手順を踏ませるが、実際に処理を行う前に、人手による承認を求めるようにすることである。
これらの応答の選択肢は、アラートの種類や、企業の対処能力に応じて選ぶべきである。
また、これらの選択肢を取ることで、セキュリティチームがインシデントに対する標準的な対処方法を構築する手助けとなる。最終的には詳細なワークフロー管理が可能となるだろう。自動化を標準化する、ということは、インシデントが起きた場合に、定められた流れにそってイベントを起こしていくことを意味する。インシデントに対する応答のプロセスがより円滑になるということである。多くのシステムでは、企業のチケット発行管理システムに基づく応答内容から事例が作成されることになる。
利用中のシステムによっては、特定の要素を収集し、その処理を自動化する必要がある場合もある。このプロセスは、もし人為的なミスを無くせるのであれば、データの整合性維持に役立つだろう。
例えば、エンドポイントにおいてイベントが検知された場合、システムはこのプロセスの一環として処理をする。サイバー犯罪捜査用にメモリのキャプチャーを取ったり、ファイアウォールまたはネットワークへのアクセスを制御する製品を介して、システムをネットワークから隔離したり、運用チームに通知したりする。これら全てを自動化できれば、システムが独立した処理によって支援を行える。SAOを活用することで、企業は現在のセキュリティ投資している金額よりも多くの付加価値が得られるだろう。
SAOでセキュリティアナリスト人材が不要に?
多くのベンダーは、それぞれの製品が新人レベル(エントリーレベル)のセキュリティアナリスト人材に取って代わる、としている。
私見では、SAOがセキュリティアナリストに取り替わることはなく、むしろセキュリティアナリストが現在の役割をこなす補助になると考えている。現在、ベンダーは従来手法でセキュリティアナリスト業務に集中的に取り組んでいるが、決してSAOによってこの業界を完全に無人化できるわけではない。SAOは、既にセキュリティ業界に身を置いている人が能力を向上させ、より巧みに防御や検知ができるようになり、また、エントリーレベルの社員が脅威をより良く理解する助けとなる。
私は、さまざまな面からSAOへの取り組みはSIEMの進化やセキュリティアナリストの代用ではなく、業界の進歩として考えている。
SAOは、セキュリティ業界において話題となっているが、一過性ではなくこの技術が運用チームの業務をより簡単なものにし、企業が被るリスクを抑えられるようにする、というある種のトレンドに沿って進んでほしい、と期待している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
4
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
BMWも導入 78兆円市場に化ける「フィジカルAI」の衝撃
-
9
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
10
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー