Arubaなどが製品を開発
ワイヤレスネットワークを分析して問題を特定 始まっているAIによる自動診断(2/2 ページ)
増加傾向にあるネットワーク分析需要
ただし、より深いレベルの洞察を得るメリットはネットワークの分野だけにとどまらない。企業ネットワークの管理者は、企業文化の変化や、ビジネスとの統合を進める必要性を認識し始めている。Gartnerでリサーチ担当バイスプレジデントを務めるサンジット・ギャンガリ氏によると、強化された分析はこうしたことを後押しするのに役立つという。
例えば、企業がいずれかのオンライン製品の売り上げが下がっていることに気付いたとしよう。その際、ネットワークチームが分析ツールを使用できれば、その低下と特定時間における遅延の急増の相関関係を見つけることができる。ギャンガリ氏はそう説明する。企業はそのようにして得た有意義な情報に基づいて行動できるようになる。「ネットワークを行き交う全てのパケットにはアプリケーションユーザーの膨大な情報が含まれ、こうした情報を収集できる。ネットワークをさらに深く使用することでビジネスに関する洞察がもたらされる。このような洞察は他のメカニズムを使用する他のチームでは得られないだろう」
Schlegel Villagesでは、ネットワークパフォーマンスを徹底的に確認できるかどうかが生死に関わる問題になる恐れがある。同社のIT部門のディレクターを務めるクリス・カード氏はそう語る。Schlegel Villagesは、カナダオンタリオ州で19カ所の長期ケアコミュニティーや高齢者居住地区を運営する企業だ。同社はワイヤレスネットワークをアップグレードし、新しい臨床用アプリケーションを導入している。このアプリケーションを使うことで、4800人の従業員は入居者とやりとりしながら臨床現場でモバイルデバイスを使用して医療記録を更新できるようになる。
Schlegel Villagesはネットワーク用にAruba Networksのアクセスポイントとコントローラーを導入した。PointClickCareの「PointClickCare」電子カルテの導入は2018年半ばまでに完了する見通しだ。「この作業が完了したら、Schlegel Villagesの医療チームは全員がiPadなどのApple製デバイスを使用して、臨床現場からすぐに医療記録にアクセスできるようになる。リアルタイムで情報を更新したり共有したりすることが可能になる」とカード氏は説明する。
本稿執筆時点、Schlegel VillagesはAruba Networksの製品を使用して基本的なワイヤレス管理を行っている。「最終的にはAruba NetInsightのような分析ツールに移行する必要があると考えている。高速で、信頼性の高いワイヤレスネットワークを用意することは高品質なケアを提供する上で不可欠だ。また、より深いレベルの洞察があれば、IT担当者はネットワークの問題が発生している時間と場所を把握しやすくなる」とカード氏は話す。
ネットワーク変革、機械学習、AI
より深いレベルの洞察を得られることは、有線ネットワークとワイヤレスネットワークの両方に起きている変革の一部だとギャンガリ氏は説明する。これまで、企業はネットワークをどちらかといえばユーティリティーのようなものと捉えていた。だが、ネットワークは、全体的なビジネス目標の中で戦略的な要素が高まっている。
「こうしたことが起きているのは、ビジネス自体が変革中であるためだ。デジタルビジネスへと向かう大きな変化が生じている。企業は、収益の維持や拡大をアプリケーションに大きく依存している」とギャンガリ氏は話す。ネットワーク管理者には、ビジネス部門にネットワークの重要性を示すチャンスが巡ってきている。それには、パフォーマンス強化や災害復旧のオプションを提供する分析ツールに投資することだ。機械学習やAIはそうした方向へと向けた手段になると同氏は述べる。
機械学習は、PCでさまざまな機能の実行を可能にするアルゴリズムに基づく。例えば、ネットワークの異常検出、基準となるパフォーマンスの相関付け、動作パターンの照合などの機能だ。ギャンガリ氏によると、ベンダーはこうした機能の開発に投資するようになっているという。
「AIは機械学習を次のレベルに引き上げる野心的な目標だ。その実現には、ネットワークデータに対する理解を深めながら自動化された操作を利用する」(ギャンガリ氏)
分析ツールの包括性が向上している。それでも、こうしたツールを使ってネットワーク全体をまとまりのある形で大規模に可視化するにはまだ数年を要する。Forrester Researchで主席アナリストを務めるアンドレ・カインドネス氏はそのように話す。
カインドネス氏によると、最近のネットワーク管理者は主に、ネットワークパフォーマンスとアクティビティーの監視に従事しているという。監視の中で、過去にさかのぼってネットワークを確認するのに十分なデータを収集しているのであれば、そうした過去のデータを分析に利用することでネットワーク全体をモデル化できる。ポイントは、ネットワークでの出来事を把握できるツールにそうした情報を全て移すことだ。さらに、そのツールでは潜在的な問題を診断してIT管理者に通知するために、先回りして対策を講じられる必要もある。これは非常に複雑な取り組みだ。
その最初の部分について企業の役に立つ可能性があるSaaSベースおよびクラウドベースの監視ツールが利用できるようになっている。そのように説明するカインドネス氏はこう続ける。「ソフトウェア定義のネットワークとインテント(意図)ベースのネットワークが導入されることで、分析ツールは改善されるだろう。これら2つの分野では、ネットワークに対する包括的な視点を提供するために分析が利用される」
「ベンダーと企業はネットワーク分析ツールを改善する必要がある。ほとんどネットワーク管理者は既にネットワークインフラ監視用のツールを使用して、ルーターやスイッチの動作状況の把握に努めている」(ギャンガリ氏)
パケットデータなどの追加ソースを活用し、機械学習とAIを利用してより包括的な診断データを引き出す。そうすることで、以前なら実現しなかったある程度の洗練さがネットワーク分析に上乗せされる。「ネットワークパフォーマンス監視ツールはインフラの正常性を調査できるだけではない。帯域幅を消費しているユーザー、アプリケーションの種類、ネットワーク上の遅延、エンドユーザーの応答時間、遅延の詳細、さらにはビジネスインテリジェンスまで確認できる。非常に深い視点が得られるということだ」とギャンガリ氏は話す。
ネットワークが拡大し、接続するデバイス数が増加するにつれて、データを収集して使用するネットワークパフォーマンスの監視と分析が増えていくことになる。だが、ネットワークチームは、最前線に立ち、こうしたデータから有意義な情報を生み出すには、機械学習やAIといった高度なネットワーク分析ツールを利用するしかない。これらのツールの進化が進めば、ネットワークパフォーマンスを強化する上で分析が大きな役割を果たすようになるだろう。
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