専門家が勧める解決策は?
アクセンチュアも悩んだデジタルトランスフォーメーション「6つの障壁」(2/2 ページ)
3.変革への抵抗
ビシロビッチ氏は「デジタルトランスフォーメーションを実現するには、IT部門は新しいスキルを持った人材を獲得するだけでなく、ビジネス部門とともに仕事のやり方を変えることを受け入れなければならない」と語る。「前に進む意思を持つ必要がある」(ビシロビッチ氏)
IFSのレポートでは、デジタルトランスフォーメーションの障害として「変化への抵抗感」を挙げる回答者の割合が最も高く、全体の42%に達している。
「経営陣がデジタルトランスフォーメーションを強力に後押しすることは、組織が変化を受け入れ、新しい仕事のやり方や考え方を意欲的に学ぶよう導く上で効果的だ」とビシロビッチ氏は語る。だが、経営陣は、デジタルトランスフォーメーションに関する従業員の懸念を敏感に察知し、デジタルトランスフォーメーションの前向きな側面を従業員にアピールする方法も見いだす必要がある。
ビシロビッチ氏によると、Accentureのリーダーは幾つかの一般的なフォーラム(オープンディスカッション、トレーニング、ブラウンバッグセッション<弁当持参のミーティング>など)を利用して、デジタルトランスフォーメーションによって社内で何が起こっているのかについて、全社の従業員が話し合えるようにした。
「経営陣は、従業員の声に耳を傾けた上で、デジタルトランスフォーメーションへの挑戦を呼び掛けなければならない」とビシロビッチ氏は付け加える。
「従業員に思いを話す機会を提供するとともに、新しいやり方を試すよう促せば、バランスの取れた反応が返ってくる」(ビシロビッチ氏)
4.変化ペースの速さ
実績ある役員は「デジタルトランスフォーメーションの障害を克服することとは、組織を変えることだが、それと同時に、変わり続けることができる組織を構築することでもある」と語る。
ビシロビッチ氏は、「ただし、自らがどのようなペースで変わっていくのかを十分検討していない組織は、たちまちお手上げになってしまう」と警告する。それは、デジタル企業へのトランスフォーメーションを成功させようとする取り組みを台無しにするシナリオだ。
クラウドプロバイダーは、企業のIT部門が経験したことのない急速なペースでイノベーションを進めている。そのためにIT部門も社内のユーザーも、絶えず変更に追われる羽目になりかねない。そうなれば、変更のたびに貴重なリソースが費やされ、従業員は新しい機能への適応を何度となく繰り返さなければならないと、ビシロビッチ氏は説明する。
「企業向けにリリースされる変更の量は増える一方だ。従ってIT部門は、それらの新機能をどのようなペースで取り入れられるかを判断しなければならない。CIOは一歩退いて、『新機能の導入に関して、管理策、戦略、方法論を持たなければならない。さもないと、会社に絶えず膨大な量の変更をプッシュすることになってしまう』と言わなければならない」とビシロビッチ氏は語る。
ビシロビッチ氏によると、Accentureは、「N」が最新だとすると、「Nマイナス1」の新しさを維持しているという。
5.ビジネス目標との整合性の欠如
コンサルティング会社SYPartnersのスティーブ・セメルスバーガー社長は、デジタルトランスフォーメーションの最も重大な障害の1つは、IT環境の変革とビジネス目標の整合性の欠如だとの見方を示す。
「CIOは、技術変化の動向についてはうまく説明できることが多い。だが、戦略計画について魅力的なプレゼンテーションをしようとして四苦八苦することもある。計画が技術的にしっかりしているだけでは、ビジネスリーダーの心に響かない」とセメルスバーガー氏は語る。
「ビジネス部門とIT部門を奮起させるほど良くできたデジタルトランスフォーメーションのストーリーがなければ、なかなか取り組みに弾みがつかない。CIOの戦略計画は、主要なビジネス展開とのつながりがないこともある。それでは、計画に見合った資金やリソースが確保できないかもしれない」(セメルスバーガー氏)
セメルスバーガー氏は、成功するCIOは、点と点を結んで全体的なビジョンや計画を作り上げ、それらを売り込むノウハウを持っていると指摘する。
「彼らは魅力的なストーリーを作り、上手に伝える。デジタルトランスフォーメーションの明確な目的とビジョンを定義する。やろうとしていることを、一連の思い切った施策として、分かりやすく印象的に整理する。デジタルトランスフォーメーションを会社の主要な成長目標と結び付ける。人々が取り入れるべき新しい考え方、行動、スキル、チームモデルを言葉で表現し、力強く推進する」とセメルスバーガー氏は付け加える。
6.セキュリティに関する懸念
IFSの調査では、回答した企業の意思決定者の39%が、デジタルトランスフォーメーションの障害として「セキュリティ上の脅威と懸念」を挙げた。この割合は、「変化への抵抗感」に次いで2番目に多い。
ビシロビッチ氏も「セキュリティに関する懸念が、Accentureのデジタルトランスフォーメーションの障害となった」と語る。同社では早い段階から、クラウドへの移行を進めると、脅威のレベルが高まることが認識されていたという。
ビシロビッチ氏はこの問題に対処した。Accentureが掲げていたデジタルトランスフォーメーションの野心的なスケジュールを守るために、まずIT部門とCISO(最高情報セキュリティ責任者)が強力なパートナーシップを築いた上で、新たに導入する技術が自社のセキュリティニーズを満たすことを確認する認証プロセスを設けた、とビシロビッチ氏は語る。Accentureはこの認証プロセスによって「『われわれが利用したいプラットフォームによって、われわれの許容範囲以上のリスクにさらされることはない』という合理的な保証を提供している」と、ビシロビッチ氏は話している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー