オンプレミスからオンプレミスは対象外
「SAP Cloud Platform」統合ツールのメリットとデメリット(2/2 ページ)
SAP Cloud Platformの統合コンポーネント
SAPのツールを選ぶ主なメリットの1つは、充実したエコシステムだ。そう述べるのは、コンサルティング企業Accentureでマネージングディレクターを務めるビツェンツ・クレーメル氏だ。SAP Cloud Platformでは明確に定義された技術アーキテクチャが提供される。それとともに、標準、ガバナンス、再利用可能コードの他、テクノロジーサービスも用意される。「SAP Cloud Platformでは、構築済みのコンポーネントやエコシステムソリューションのライブラリを利用する。それにより、柔軟なアプリケーションをより簡単に作成、組み立て、統合できるようになる」と同氏は説明する。
クラウドには、新しいアプリケーション機能を迅速に試せるという大きなメリットがある。そうすることで、価値をもたらす機能を特定できる。だが、このプロセスはGRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)要件に準拠していなければならない。よく使われるアプローチは、レガシーSAPアプリケーションをクラウドに移行することだ。クラウドで継続的にGRC要件をサポートしながらも、企業は価値をもたらす可能性のあるアプリケーションを使ってイノベーションを実現できる。
「万能なアプローチは存在しない。だが、企業で時代を先取りしたいのであれば、さまざまな基盤との接続や基盤自体の再構築を始めることだ。イノベーションをもたらす仕組みが登場した時点で、その仕組みをすぐに取り入れられるだろう」(クレーメル氏)
クラウドへのERPの拡張
SAP Cloud Platformのメリットは、社内のビジネスプロセスと顧客やサプライヤーが柔軟な方法でつながるように、企業を支援できることだ。ナットやボルトなど、小さな部品の調達サービスを運営しているc-Comを例に挙げよう。同社では、「SAP HANA Cloud Connector」を使用してクラウド基盤を「SAP ERP」と統合する。SAP Cloud Platformを使用して、素材データ、ドキュメント、配送時間、価格情報へのアクセスを改善している。この素材データは、標準素材と顧客専用素材の両方に関わるものだ。SAPの文書形式である「iDoc」とCSV形式で、配達受領書や発注書などの調達に関するドキュメントをやりとりしている。
c-ComでIT部門の責任者を務めるマッティ・マイヤー氏は次のように話す。「SAP Cloud Platformの『Cloud Foundry』サービスを本当に気に入っている。あらゆる種類のソフトウェアと統合するコンポーネントやアプリケーションを開発できるためだ。ユーザー、接続、メッセージの数には制約されない。制限を受けるのはコンピューティングリソースだけだ。そのコンピューティング機能は必要に応じて簡単に分散できる」
マイヤー氏によると、Cloud Foundryはうまく動作するが、他のサービスはまだ初期段階にあるという。例えば、c-Comでは「SAP Cloud Platform Workflow」サービスを使用してさまざまなシステムを会社のプロセスに接続したいと考えている。だが、認証に関してはできることが限られている。メイヤー氏は基本的なワークフローエンジン機能がまだ利用できないことに気付いた。具体的には、メール通知の送信、別のユーザーへのタスクの転送、代理人の設定などだ。「全体的に、SAP Cloud PlatformはまだSAPによる大規模な開発が行われているところのようだ」と同氏は述べる。
SAPのクラウドは、ベンダーのERPシステムやビジネスワークフローシステムを適切に統合する。これはSAPバックエンドを使用する企業にとっては大きなメリットになるとメイヤー氏はいう。「最新のテクノロジーと統合する必要がある場合は、別のツールを利用した方が良いかもしれない。例えば、REST規約を利用するサービス、OAuth2を使ったシステム、SAPの『SAPUI5』以外のさまざまなUI技術と統合する場合だ」
単純さの鍵を握る機械学習
統合の全体図の中に人工知能が入り始めている。SAP Cloud Platform製品マーケティング部門のシニアディレクターを務めるマイケル・ヒル氏は、SAPでは、同社の「Integration Content Advisor」という新規ツールを利用して統合の複雑さに対処している、と語る。
ヒル氏によると、このソフトウェアでは機械学習を使用して統合シナリオを評価するのだという。また、実行中に修正を加えることができる。これにより、さまざまな特定の業界やビジネスシナリオを対象に統合パターンを開発している専門家の経験を、より簡単に生かせるようになる。
「Integration Content AdvisorはSAPへの統合のベストプラクティスになりそうだ。統合に対して機械学習による支援を用意することが次の戦いの場になると考えている」(ヒル氏)
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