生産性と品質向上を実現したIoT
紙容器メーカーがIoT基盤「Predix」を採用、稼働率管理だけじゃない、もう一つの成果
世界大手の紙容器メーカーSig Combiblocは、GE Digitalの産業向けIoTプラットフォーム「Predix」を導入し、IoTセンサーを使用して生産性向上とコスト削減を目指すという。
デジタルトランスフォーメーションは飲料・食品業界でも導入が始まっている。
飲料・食品用紙容器および充填機メーカーであるSig Combiblocグループ(以下、Sig)は、製造設備の稼働時間を最大化し、デジタルプラットフォームを構築するために、GE Digitalの産業向けIoTプラットフォーム「Predix」の導入を決定した。この初期導入は2018年7月を予定している。
Sigは飲料・食品用の無菌紙容器を製造している。紙容器は折りたたんだ状態で顧客に納品する。Sigは飲料や食品を紙容器に充填する機器も製造販売しており、生産ラインの設置サービスも提供している。Sigのシステムは400社以上の顧客の世界各地の工場に採用されているという。これらの工場にある製造設備の監視には、GE DigitalのソフトウェアとIoTセンサーアレイを利用している。Sigは自社の紙容器製造工場にもこのソフトウェアの導入を検討している。
Sigのデジタルトランスフォーメーション担当ディレクター、クリスチャン・アルト氏は、「GE Digitalのシステムは当社のデジタルトランスフォーメーションで重要な役割を果たし、基盤システムとなるだろう」と語る。
製造業におけるデジタルトランスフォーメーション: 稼働率の最適化
製造業におけるデジタルトランスフォーメーションが目指すのは、生産ラインの稼働率を安定化し、生産性と品質を向上させることだ。そのためにGE Digitalは資産管理マネジメントソフトウェアの「Predix Asset Performance Management」(APM)と、フィールドサービス管理システム「Predix ServiceMax」という2つの主要アプリケーションを連携させている。Predix APMは、Sig製の充填機ラインの動作を監視し、人工知能(AI)と予測診断機能を使用して、充填ラインの障害を予測する。障害発生の可能性が高くなることが予測されると、工場管理者は、製造計画への影響とコストを最小限に抑えるよう保守作業の最適な日時を設定できる。
「Sigの顧客は機器の稼働時間と可用性の最適化を追求している」とGE Digital ServiceMax事業部のCEO、スコット・バーグ氏は言う。
障害が予測されると、保守データがPredix APMからPredix ServiceMaxに転送され、このデータに基づいてSigの技術者が該当する設備の対応に当たる。技術者は、APMシステムからの作業指示をPredix ServiceMaxのモバイルアプリで受け取る。このアプリは、作業指示に基づいて保守を実施する技術者のパフォーマンスに関するデータも収集し、Predix APMに送信する。
「この統合システムは現場の技術者の行動を捕捉する。技術者によって作業効率は異なる。これは、データがPredix APMからServiceMaxに還流する閉ループサービスモデルだ」と同氏は語る。
Predixソフトウェアが提供するエンドツーエンドプラットフォーム
アルト氏によると、Sigはまず全ての顧客にPredix APMとPredix ServiceMaxを組み合わせたデジタルサービスの提供を開始し、その後、Sigの工場でPredix APMとPredix ServiceMaxを展開するデジタル生産フェーズを開始するという。これは自動化と分析によりコスト効果と生産性を向上させることを目的としている。
アルト氏は、Sigの「コネクテッドパック」(インターネット経由で情報のやり取りができる商品パッケージ)と、「コネクテッドアセット」(産業用IoT技術を組み込んだ充填ライン機器などを指す、Sig製の製造機器関連用語)をつなぐデジタルエンドツーエンドのプラットフォームを視野に入れている。コネクテッドパックでは、紙容器に印刷したQRコードを使用して、スクラップ率などの情報を収集することにより工場の効率を向上させるという。
Sigは、紙容器だけでなく、あらゆる種類の食品や飲料の包装に向けて事業拡大を図っている。
さらに、Predix APMシステムを利用して、最終的には生産段階でのコンテナの追跡を可能にすることをもくろむ。アルト氏によるとAPMには梱包材を追跡する機能はまだないが、いずれは、梱包材に貼り付けるスリーブに埋め込んだQRコードを使用して生産データを監視するようになるという。
システムの入れ替え
GE Digitalのシステム導入に先立って、Sigは工場の充填ラインと中央制御システムの間に双方向リンクを設置した。Predixソフトウェア導入により、充填ラインの監視システムとサービス管理システムの統合が実現する。
Predix APMを既存の充填ラインの監視システムと入れ替える一方で、「SAP UI Development Toolkit for HTML5」(SAPUI5)とInnosoftのツールをベースにしたSigのグローバルサービス管理システムをPredix ServiceMaxに入れ替える。アルト氏によると、SAPUI5はチケット発行アプリケーションに使用し、Innosoftはスケジュール管理・発送コンソールなどに使用してきたという。
GE Digitalプロジェクトには2つのPredixソフトウェアコンポーネントが含まれており、Sigではこの導入によりシステム全体を統合できると考えている。
バーグ氏は、「顧客は、複数の問題を同時に解決することを理想としていた。2つの問題を2つのアプリで個別に解決することは考えなかった。Sigのチームも、アプリケーションの統合を望んでおらず、デジタルトランスフォーメーション全体を、単一のプロジェクトとして計画している」と言う。
同社の製造部門におけるデジタルトランスフォーメーションの初期導入は、2019年1月にはグローバル展開につながっていく予定だ。
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