企業利用も本格化
ARスマートグラス製品紹介 Microsoft HoloLens、Epson Moverioなどの特徴は?(2/2 ページ)
Microsoft HoloLens
Microsoftは自社のスマートグラス技術をどのように差別化しているのだろうか。Microsoft HoloLensの広報担当者であるジョエル・ガンダーソン氏は「Microsoft HoloLensは世界初の独立型ホログラフィックコンピュータだ。Windows 10で動作し、接続が一切必要ない。つまり、配線や電話回線、PCへの接続が必要ないということだ。ホログラムは物理的な環境に映し出すことができ、これを使えば自分にしか見えない世界を見られる」と語る。
HoloLensはIntel 32ビットのアーキテクチャを特徴とし、特注のMicrosoftホログラフィック処理ユニットを備える。「この特注の半導体デバイスがセンサーから送られてくる大量のデータを毎秒、効率的に処理している。結果として、HoloLensはジェスチャーや利用者が何を見ているかを把握し、リアルタイムに利用者の周りの世界を描き出す」とガンダーソン氏は付け加えた。
Windows Mixed Realityは、HoloLensやその仲間のデバイスが3次元空間で物理的な世界とデジタルの世界を組み合わせることを可能にするOS要素の名前だ。これらの要素にはヘッドマウントディスプレイデバイスドライバーモデルや複合現実API、認識API、ミドルウェア、複合現実シェル、そして、全ての実装コンポーネント間で共通して使われるクラウドサービスなどが含まれる。「複数のハードウェア製造業者からさまざまなヘッドセットが出ているが、当社は複合現実エコシステムを共有体験や相互運用を可能にする没入型のプラットフォームへ統合する予定だ。当社は、誰もが十分な機能を備えた複合現実体験を体験できるべきだと考えている」(ガンダーソン氏)
Microsoft HoloLensは、開発者や営利団体、デザイナー、クリエイターによって既に幅広く使用されている。最も注目される用途の1つとしては、NASAの科学者が画像のホログラム(Mars Roverが提供)を使用して火星を探索するといったものだ。うまくいけば、実際に火星の表面を歩いているかのように感じられることになる。このような体験は、これまでは実現不可能だった。
Epson Moverio
プリンタ同様、Epsonの持つ豊富な専門知識と市場での存在感が結集したものといえば、プロジェクターだ。現在ではフォームファクター(サイズ)がずっと小さくなり、ディスプレイ機能としてスマートグラス「Epson Moverio」の両側に埋め込まれている。Epsonの親会社である日本のセイコーエプソンは、精密マイクロマニュファクチャリングの特許を幾つか所有しており、これがARディスプレイを開発するに当たって非常に役立っている。
EpsonでARソリューションのプロダクトマネジャーを務めるマイケル・レイヴァ氏は「たくさんのAR技術を当社のスマートグラスに埋め込んでいる。このカテゴリーへの関心が高まっているが、頭の動きを追跡するためのセンサー技術や、周りの環境を感知し物体を認識するためのカメラ、さらに、必要となるAR計算や処理を行う高出力のモバイルプロセッサも開発する必要があると当社は実感している。しかし、当社のスマートグラスの目玉となるのはディスプレイだ。われわれは市場で最高のディスプレイを開発していると自負している。ディスプレイの開発に当たっては、特注の半導体回路であるOLED(有機発光ダイオード)を使用している」と語る。
レイヴァ氏によれば、ARのために完全に透明な画面をレンダリングできることが極めて重要だ。「有機ELを利用して投影すれば真っ黒にレンダリングできる。つまり、光を無くすことが可能だということだ。ARの利用においては、デジタルデータや情報、3Dホログラム、人の目に入るものは全て自然に見えること、そして、画面上にある他の部分の表示に支障を来さないようにすることが非常に重要だ。有機ELはこれを実現する」(レイヴァ氏)。
Epsonはスマートグラスのスタイル賞を今はまだ勝ち取れないだろうとレイヴァ氏は迷うことなく指摘した。「美やスタイルの観点から、当社は配線を廃し、バッテリーとプロセッサを内蔵させたオフボードコントローラーを開発したいと思っている。しかし、当社の企業顧客は、デザインよりも機能の方が重要だという。仕事の間にまず切れることのないバッテリーが必要されており、これを実現するには適したサイズのバッテリーが必要になる。バッテリーやプロセッサをヘッドセットに組み込むことを検討してきたが、どちらも発熱してしまう。発熱は嫌がられるし、バッテリーの駆動時間も十分ではない」(レイヴァ氏)。
一方で、Epsonがスマートグラス技術に着手して以来、スマートグラスはその機能が向上し、プロセッサも高性能になった。その上、重量も当初の重さの3分の1にまで軽くなってきた。「これからの5年の間に、一対の度付きメガネのサイズまで小型化する。それが皆の目標だ」とレイヴァ氏は語る。
現在、Epsonのスマートグラスにとって最も大きな市場となっているのが商業用ドローン飛行市場と企業向けの市場だ。商業用の市場では、博物館やテーマパーク、スタジアムなどに注力する。
Vuzix M300 ARスマートグラス
Vuzixのスマートグラスに備わっているAR技術はドローンに対応するわけではなく、現実世界でデジタルオブジェクトを操作できるものでもない。Vuzixで広報ディレクターを務めるマット・マーゴリス氏は「当社のスマートグラスやカメラを使えば、ユーザーは自分の周りの現実世界を拡張できる」と語る。
Vuzixは自社内でウェアラブルスマートグラスを軽量化することに重点を置き、差別化を図りつつある。「当社の主力製品であるM300は、保護メガネあるいは医療用ヘッドバンド、もしくは既存のメガネとともに着用でき、工業用ヘルメットにも取り付け可能だ」(マーゴリス氏)。
企業の顧客はVuzixのスマートグラスに搭載されたカメラを使用してQRコードを読み取る。すると、画面上に情報が重ねて表示される。スマートグラスを装着すると、貨物の積載指示情報がリアルタイムに見え、貨物を運搬する飛行機は、1回のフライトで15分以内に折り返し飛行できる。「物流では、顧客は当社のスマートグラスを使用してピッキングリストをスキャンしている。スマートグラス着用者は配送先や配送量、商品の詳細などを扱うピッキング工程を補助するデジタル情報を見ることができる」とマーゴリスは付け加えた。
CES 2018でVuzixは、Vuzix Bladeスマートグラス技術を公開した。これが次世代光学導波管型スマートグラスであり、企業や顧客へ全く新しいスマートグラスを提供することとなる。「これらは驚くほど見た目に違和感がなく、軽量なスマートグラスだ」とマーゴリス氏は述べる。
一般消費者に対しては、Vuzixと同社のパートナー企業であるCyber Timezが「Cyber Eyez」と呼ばれるソフトウェアアプリケーションをM300用に開発した。これを使えば、目の不自由な人がインターネットに接続しなくてもメールを読んだり、買い物をしたり、通貨を確認したりできるようになる。
「真の意味で、不自然さがなく着用できるおしゃれなARスマートグラスが登場すれば、スマートフォンはポケットに入れたまま、手に何も持たなくてもAR体験ができる新しい世界がやってくる」とマーゴリス氏は語った。
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