形だけではなく接続方法、通信方式にも注目
徹底解説:SSDで評判の4つのフォームファクター 最適な利用方法は?(2/2 ページ)
M.2
mSATAが登場した数年後の2013年に「M.2」フォームファクターが誕生した。より小型のSSDで、mSATAドライブを上回るパフォーマンスを備える。データの保存量も多い。この新しいフォームファクターは“エムドットツー”と発音する。これは、SATAとPCIeのインタフェースコネクターに加えてUSB 3.0にも対応する。AHCIプロトコルまたはNon-Volatile Memory Express(NVMe)プロトコルのいずれかを利用できる。
PCIeコネクターはSATAなどの古いテクノロジーよりも遅延が少なく、転送速度が向上している。PCIeではバスごとに専用の接続があるため、帯域幅を求めて競う必要がない。このインタフェースは物理的な占有面積も小さい。
NVMeプロトコルは、ホストとなるソフトウェアからNVMeサブシステムへの通信を可能にする。また、PCIeコネクターを使用したSSD用に最適化されている。NVMeは、旧式のストレージプロトコルにある多数の制約に対処しながら、パフォーマンスとスループットを大幅に高めている。
mSATAドライブとは異なり、M.2ドライブは縦横の長さの組み合わせを複数サポートする。22ミリ×60ミリや22ミリ×80ミリといった具合だ。NVMeが使用されたPCIeベースのM.2ドライブではPCIeレーンを4レーンまでサポートする。そのため、SATAやmSATAドライブの6Gbpsという上限を超えることができる。M.2フォームファクターは本来ノートPC、Ultrabook、タブレットをターゲットにしていた。だが、一部のデスクトップPCにも搭載されるようになっている。
M.2ドライブはPCIの高速性能を生かすように設計されており、mSATAの代わりと見なされることが多い。mSATA SSDが大量に出回っているのは相変わらずだが、小型市場ではほとんどの関心がM.2ドライブに移っている。遅延を抑え、IOPS(1秒当たりの処理数)が向上して、消費電力を減らせるためだ。
PCIe
「PCIe」フォームファクターベースのSSDは、SSDのパフォーマンスを最大限に引き出すために、PCIeインタフェースコネクターとNVMeプロトコルを利用する。PCIeドライブはPCIe拡張スロットを使ってマザーボードに直接接続する。PCI拡張スロットは、データ転送レーンを1レーンから32レーンまで拡張可能だ。ドライブで使用するレーン数を増やすほどパフォーマンスは向上する。
PCIe SSDは4つの主要フォームファクターの中で最もコストが高い。だが、最も高速だ。SATAドライブ、Serial Attached SCSI(SAS)ドライブやファイバーチャネル(FC)ドライブをパフォーマンスで上回る。最近までPCIeドライブは企業での導入を主なターゲットにしていた。だが、この状況は変わってきており、一般消費者向け市場にも進出している。
PCIeドライブはデータ転送速度を大幅に引き上げる「ポイントツーポイントアーキテクチャ」を採用して、遅延を減らしている。各PCIeドライブは固有の接続経路でマザーボードに直接接続される。この方法では複数のドライブが同じバスを共有する必要がない。
PCIeドライブはM.2ドライブよりも大型になる。そのため、各カードに搭載できるチップ数は多くなる。それでも冷却用の空間は十分ある。このサイズだと小型デバイスよりもPCやサーバの方が適している。だが、それはずっと多くの容量をサポートできるということでもある。一部のSSDは既に8TBを超えており、今後さらに容量は増えるだろう。一方、M.2ドライブはつい最近になって1TBの壁を突破したところだ。
PCIeドライブの課題の1つはNVMeプロトコルが直接接続型ドライブに限られることだ。そのため、分散型ストレージを主に利用している企業ではNVMeドライブのメリットをほとんど生かせない可能性がある。だが「NVMe over Fabrics」(NVMe-oF)規格が最近登場した。これにより、イーサネット、InfiniBand、FCなどのネットワークファブリック間でNVMeのメリットを利用できるようになる。NVMe-oFプロトコルではメッセージベースの通信を使用し、PCやネットワーク接続型ドライブ間でデータを転送する。そのため、組織は所有するデータセンターでSSDのメリットを十分に引き出せるようになる。
SSDフォームファクターの今後
SSDは動きの激しい市場だ。新たなイノベーションが日々起きている。フォームファクターの進化は続くことになるだろう。インタフェースコネクターとそれをサポートするプロトコルも同様だ。本稿で取り上げたフォームファクターのバリエーションとなる他のSSDフォームファクターも存在する。また、全く異なるフォームファクターもある。
例えば、一部のベンダーは主に企業市場向けにU.2ドライブを提供している。これにはM.2ドライブを上回るメリットが多数備わる。それでも、大半のSSDでは2.5型SATA、mSATA、M.2、PCIeのフォームファクターが引き続き使用されることになる。だが、何かが新たに登場するのは時間の問題でしかない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー