ストレス解消やパフォーマンス向上に有効
Googleも実践する瞑想法「マインドフルネス」 その効果と注意点を解説
従業員のストレス軽減やパフォーマンス向上につながるという「マインドフルネス」。その実践のこつや関連技術の活用法、注意点を詳しく紹介する。
心を落ち着かせるための仏教の瞑想(めいそう)法である「マインドフルネス」。従業員の生産性を高め、ストレスを軽減し、リーダーのパフォーマンスを向上させる方法として、企業の間で人気を博している。
人事部門は、マインドフルネスの実践によるストレス軽減やパフォーマンス向上といった効果をアピールすることで、マインドフルネスプログラムへの支持を獲得している。ITツールはマインドフルネスに役立つ。ただし企業は、ITツールがエンドユーザーの実践の邪魔にならないように注意する必要がある。
シリコンバレー近郊で最近開催されたマインドフルネス関連イベント「Mindful Workplace Summit」では、関係各社がマインドフルネスプログラムを成功させるこつを詳しく紹介した。
「ITベンダーはマインドフルネスプログラムのアーリーアダプターだ」と、Mindful Workplace Summitの共同創設者で、共同ディレクターを務めるエリック・フォービス氏は語る。「ベンダーには、従業員が職場でこうしたことに取り組むことを認めるオープンさがある」(フォービス氏)
Googleは、マインドフルネス技術と関連プログラムの導入をいち早く始めた企業の一例だ。同社がマインドフルネスプログラムによる従業員のパフォーマンスやエンゲージメント(会社に自発的に貢献したいという意欲)の向上に成功した後、同社からWisdom Labsなど、マインドフルネス関連の幾つかのスタートアップ(創業間もない企業)がスピンオフし、eラーニングを含むマインドフルネストレーニング手段の開発を手掛けるようになった。
Wisdom Labsの研究をまとめた報告書によると、従業員の精神的回復力や思いやりを示す指標は、従業員がマインドフルネストレーニングを受けると、18%上昇するという。同社は病気や治療などの状況判断に用いる「血液バイオマーカー」の調査も開始している。血液バイオマーカーでは、マインドフルネストレーニングにより、怒りの沈静化や免疫の改善に関連する遺伝子発現レベルの上昇が認められている。「決定的なつながりを特定するには、血液バイオマーカーのデータをもっと大量に集める必要がある。それでも、われわれはこの初期傾向に意を強くしている」。Wisdom Labsの最高サイエンス責任者を務めるパーニート・パル氏は、こう述べる。
こうした結果を得るには、人事マネジャーの協力を得て、首尾一貫したマインドフルネスプログラムを開発する必要がある。「マインドフルネスを導入するには、単にワークショップへの参加、動画の視聴、関連する読書をするだけでは足りない」(パル氏)
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健全な職場環境を支えるITツール
マインドフルネス技術の効果を引き出す
ヘッドバンド型脳波計を開発するInteraXonは、2014年に消費者向け製品として「Muse」をリリースした。個人が勤務先のマインドフルネスプログラムにMuseを取り入れ始めると、企業向けのビジネスグループを立ち上げた。Museの企業市場への進出は、企業でスポーツチケットに代わる報奨品として採用されたことで弾みがついた。
企業へのMuseの売り込みは「われわれにとって新しい試みだ」と、InteraXonのパフォーマンスおよびウェルネスプログラム担当の営業責任者、ベン・ナチマニ氏は語る。「技術的な角度からの瞑想の教育は、企業からの反響が良い。われわれは瞑想に関するフィードバックや結果のデータを提供できるからだ」(ナチマニ氏)
リアルタイムのフィードバックは、呼吸の数を数えるといった特定のマインドフルネステクニックが、他のテクニックより効果的かどうかに従業員が気付くのに役立つ。「フィードバックを参考にしてやり方を調整すれば、マインドフルネスを効果的に実践できる」とナチマニ氏は説明する。
多くのきっかけを作る
組織内において、賢明さが求められる職場環境を作り、長期的な文化の変革に焦点を当てることが重要だと、パル氏は語る。このアプローチには「マインドフルネスを、企業における職業生活の一つの在り方とする」という考え方を含む。
例えばWisdom Labsは従業員やリーダーに対して、個人やチームのレベルで行動を変えるさまざまなきっかけを提供している。そのプログラムには対面やWebセミナー(ウェビナー)によるレクチャーに加え、マインドフルネスのデジタルツールが組み合わされている。半日のワークショップとフォローアップウェビナー、デジタルアプリを利用できるラボでの長時間学習といった具合だ。
企業の人事マネジャーは、職場向けのコンテンツでプログラムを差別化できると、パル氏は指摘する。「それは従業員にとって、就業時間を通じて実践を続け、仕事のさまざまな場面(ミーティングや会話、食事、歩いての移動など)で実践を応用するための非常に効果的な方法になる」
マインドフルネスの社内アピール
人事マネジャーは、パフォーマンスの向上や健康面のメリットに焦点を当てることで、マインドフルネスプログラムをアピールできる。
経営陣は、パフォーマンスに関するアピールに反応する可能性が高い。一方で多くの従業員は、ストレス軽減効果に反応しそうだ。「業種や企業によって文化はさまざまだ」と、マインドフルネス企業eMindfulの最高デジタル責任者、ゼブ・スイサ氏は語る。健康への効果に焦点を当てることは、保険会社や医療業界にとって重要だ。
どの組織も唯一無二の存在であり、組織内でメッセージを発信する際は、その文化に合わせた発信をする必要があると、パル氏は指摘する。マインドフルネスにオープンな組織もあれば、特定の問題を解決する効果(ストレスからの回復、感情の認識、効果的なリーダーシップなど)に敏感に反応する組織もある。「結局のところ、マインドフルネスプログラムが積極的に支持される可能性が高いのは、組織の文化や価値のコンテキスト(文脈)を踏まえて実践される場合だ」(パル氏)
技術と実践のバランス
全てのマインドフルネス技術やアプリケーションが効果を発揮するとは限らないが、かなりのものが有益だ。「大抵のものがそうであるように、これらは薬にも毒にもなる」。マインドフルネストレーニングを手掛けるEmpowerment Holdingsのダワ・ターチン・フィリップスCEOは、こう述べる。効果が得られるかどうかは、アプリケーション自体の完成度と、そのユーザーのスキルに左右される。
「技術を利用したマインドフルネスプログラムの恩恵を受ける人は多い」と、フィリップス氏は主張する。録音された瞑想のガイダンスを聞いたり、オンラインコースに参加したり、メールでリマインダーを受信したりといった具合だ。
マインドフルネス技術は、それ自体に気を取られて、かえって邪魔になることもある。「われわれが『気を紛らしたい』『現実逃避したい』といった、自分に深く染み付いた欲求をきちんと自覚しないと、マインドフルネスを生み出すアプリケーションを使うことが逆効果になることがある」と、フィリップス氏は注意を促す。
結局のところ、マインドフルネスは実践あるのみだ。一人一人が自分で実践しなければならない。技術はその助けになる。だが時間を割いて最後まで実践できるかどうかは「あくまで本人次第だ」(フォービス氏)。
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