「不機嫌な職場」よりも「ご機嫌な職場」で
社員のストレスを軽減するユニークな福利厚生7選 電子メールや会議の廃止も(1/2 ページ)
多くの人はストレスにさいなまれている。その主な理由は仕事への不安だ。従業員が幸せを感じて働き、転職しないようにするために、雇用者側が実施している福利厚生の対策を紹介する。
ムンクの有名な絵画「叫び」では、男性とも女性ともいえない人物が両手で耳をふさぎおののいている様を描いている。これこそ「不安」という感情を鮮明に描いたもので、不安は現代アメリカ人のほとんどと切り離すことのできない感情だ。
従業員のストレスは特に問題だ。非営利団体American Institute of Stressによると、実際に「仕事はアメリカ人の成人にとって、飛び抜けて大きなストレスの原因であるが、ここ数十年で徐々に増えてきている」ということが多くの研究によって証明されているという。American Psychological Association(アメリカ心理学会)は、「Stress in America(アメリカにおけるストレス)」の2017年調査においてアメリカ人は、暴力や犯罪が原因のストレス(51%)よりも、仕事からくるストレス(61%)や、お金にまつわるストレス(62%)に悩まされていることを発見した。さらに、給与処理および人材サービスベンダーであるPaychexの2017年調査報告によると、60%を超えるアメリカ人労働者が、平均して1週間の仕事日のうち3日以上ストレスを感じていると回答している。
「二次的なストレス」というものも存在するという。Selby Jennings North America(注1)の重役で統括者であるオリバー・クーク氏によると、この二次的なストレスは他の人がストレスに苦しんでいるところを見たときに感じるのだという。数多くの研究によってこのストレスの伝染効果が実証されてきた。学術誌『Psychoneuroendocrinology』の2014年7月号に掲載された調査結果によると、ある研究では、被験者の26%において、他の人がストレスでイライラしているところを見ただけで、コルチゾール(ストレスを受けると分泌量が増加するホルモン)レベルの上昇が見られたという。
※注1:銀行や金融業界にサービスを提供する世界的な人材あっせん企業であるPhaidon Internationalのサービスブランドの1つ。
良いニュースとしては、多くの雇用者が従業員のストレス対策に取り組んでいることが挙げられる。「雇用者は、従業員のストレスを緩和することをかつてないほど重視している」と、Virgin Pulse Institute(注2)の医務部長兼社長のラジーブ・クマール氏は語った。「最適な仕事場を提供し、成果を上げやすい文化を育み、最適な人材を獲得するために、企業は仕事場に関わるストレスをまず明らかにし、管理・軽減する必要がある」と彼は言う。
※注2:従業員エンゲージメントおよび健康増進用のプラットフォームを提供している企業Virgin Pulseの研究部門。
ストレス管理を含む従業員の健康増進プログラムへの投資は、企業にとって非常に大きな価値がある。Virgin Pulseの顧客企業から集計したデータによると、ストレス管理を含む健康増進プログラムのおかげで、49%の企業が従業員の生産性が高まったと報告している。また、46%の企業がそれらのプログラムを実施した結果として従業員の仕事へのやりがいがより増したと報告している。Virgin Pulseの顧客企業のデータによると、医療費の請求も平均で13.4%減少したということだ。
自社で従業員のストレスを軽減できる方法を考える手助けをするために、一部の企業が採用しているクリエイティブな戦略を7つ紹介しよう。
1.電子メールや会議を廃止
電子メールや会議は、これらがなければ生産性を上げられると考えられるほど、特に大きな妨げになり得るものであり、この妨げは従業員ストレスの主要な原因になり得る――134人の従業員を抱える個人向け金融Webサイト運営企業oMelhorTrato.comのCEO兼共同創業者であるクリスチャン・レネラ氏は語った。
レネラ氏の会社では、2014年の4月から電子メールと会議を禁止にした。「4カ月ごとに実施される内部調査の結果によると、電子メールや会議の廃止によって従業員の生産性が21.4%向上しただけではなく、従業員のストレスも47.1%減少した」とレネラ氏は言う。「数時間、中断なく仕事に集中できるようにすることがストレスを可能な限り最小化し、良い仕事をするための鍵となる」と彼は付け加えた。
レネラ氏の会社では、電子メールや会議の代わりに、従業員一人一人およびチームが取り組んでいるプロジェクトのリストや、それぞれのプロジェクトの状態、納期までの時間を表示する、カスタマイズされたプロジェクト管理プラットフォームを構築した。さらに、レネラ氏の会社の従業員は1日に3回(具体的には、午前8時から午前8時30分、正午12時から午後12時30分、午後4時30分から午後5時)の事前に決められた時間帯に「Slack」で互いにコミュニケーションを取ることが可能だ。「このスケジュールで進めると、従業員は毎日、中断なく完全に作業に集中できる時間帯が2つできる」と彼は言う。
2.金銭的な困窮に関する従業員のストレスを軽減
従業員は金銭的な問題によってストレスを受けることがあるということが分かったので、oMelhorTrato.comはクレジットカードや住宅ローンの支払いを滞納している従業員に手を差し伸べてきたという。同社は、従業員の代わりに必要な支払いを肩代わりし、利子を取らずに従業員の給与からその支払い分を天引きする、とレネラは言う。「従業員を外的な不安から解放し、仕事に専念してもらい、作業にやりがいを感じられるようにしたい」と彼は説明した。レネラ氏は、この戦略によって同社は従業員の定着率を61.4%から88.2%まで上昇させたと語る。
3.従業員を休暇に招待
ソフトウェアコンサルティング会社DevFactoは年に1度、従業員とその配偶者110人を全額会社負担の休暇に招待する、と同社のCEOであるクリス・イスキエルド氏は言う。
同社の休暇は「仕事に関わるストレスを緩和し、チームワークを高める目的がある」とイスキエルド氏は言う。「従業員同士が、単なる同僚ではなく、友人と働いているように感じられるようにするために、共通体験を持てる場を提供したかった」と彼は付け加えた。この休暇は、従業員の業績に対する報奨としての効果もある。「会社の経営が金銭的に豊かになるにつれて、休暇はより長く、念入りなものになり得る」と彼は言う。
DevFactoは2012年から会社規模の休暇を提供している。直近のイベントは、2017年10月に実施したメキシコ合衆国カンクンへの社員旅行だ。従業員はこれらの旅行に参加することを勧められるが、必ずしも参加する必要はなく、同社の旅行には参加せずに各自で休暇を取ることも依然として可能だとイスキエルド氏は説明した。直近のメキシコ旅行には従業員の約90%が参加した。
この社員旅行に要する費用は、当然ながら安いものではない。直近のメキシコ旅行では、およそ2万ドルを要したとイスキエルド氏は言う。彼はこの社員旅行にはこれだけの費用を費やす価値があったと考えている。「当社はコンサルティング会社であるため、従業員は知的財産と同じだ。この社員旅行によって従業員は幸福を感じ、自社にもっと貢献しようと思うようになる」(イスキエルド氏)。ストレスや不満、またはその他の理由で退職する従業員の代わりの人材を獲得するために高い費用がかかることを考慮すれば、社員旅行への投資はその価値があると彼は言う。
DevFactoは、何よりもまず従業員の幸福度を調査するために、TINYpulseの従業員エンゲージメントソフトウェアを使用している(この調査はDevFactoの従業員に対して、特にストレスについて尋ねるものではない)。調査結果によると、メキシコ旅行前の平均幸福度のスコアは10点満点で7.5点だった。「2017年10月の旅行後は、平均幸福度のスコアは8点だった」とイスキエルド氏は言い、「大きな飛躍」だと彼は感じている。彼は、過去の経験から、この幸福度のスコアは数カ月間、8点辺りを維持すると予想している。
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