ワークライフバランス重視で議論
iPhoneも機能搭載へ、企業は働き過ぎ防止で社員のスマホ利用状況を監視すべき?
今日の従業員の多くは、iPhoneなどのスマートフォンを使って仕事関連の電子メールなどのコミュニケーションを就業時間後も行うようになっている。企業は、その利用状況のモニタリングをすべきだろうか。
モバイルデバイスのおかげで、どこでも簡単にさまざまな用事がこなせるようになった。
車に乗りたければ「Uber」を呼び、スナックが必要なら「Grubhub」に注文し、母親に連絡したいときはテキストメッセージを送る。スマートフォンやタブレットにより、仕事もどこでも簡単にできるようになった。昼休みも、帰宅の車中も、就業時間後も、バカンスでもだ。この新しいテクノロジー時代の現実は、充実したワークライフバランスを求めるほとんどの人々の願いと真っ向から対立する。
「どこにでも仕事を持っていけるなら、仕事から解放される時間が本当にあるのだろうか」。これは多くの従業員が今、直面している問題であり、企業のIT部門、テクノロジーベンダー、さらには政府も注目するようになっている。
フランスでは2017年に、従業員が電子メールの送信や返信を行えない時間帯を設けるよう一部の企業に義務付ける法律を施行した。ニューヨークの市会議員は2018年3月に、同様の法案を市議会に提出した。「Moment」や「QualityTime」のように、個人が自分のモバイルデバイスの使用状況をモニタリングできる一連の新しいアプリも登場している。
だが、時には、ちょっとしたプッシュ通知を見ただけで、すっかり仕事に引き戻されてしまうこともある。われわれにはどうにもならない。
では、IT部門は手助けができるだろうか。あるいは、手助けをすべきだろうか。
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EMMについて詳しく
iOS 12搭載の「スクリーンタイム」とは
一部の企業は、就業時間後も仕事をするという従業員の習慣を制限するための人事ポリシーを導入している。しかし、特に米国では、個々の企業に対し、従業員のモバイルデバイスの使い方を管理するよう求める大きな機運は生じていない。企業は、健康増進プログラムを開発したり、健康メニューを導入したり、従業員の健康に役立つ情報をソーシャルネットワークで発信することを奨励したりしている。それでも、スマートフォンの利用制限は、大きなテーマとして浮上していない。各種の調査が、「スマートフォンの利用が、とりわけ仕事関連のストレスの要因として、いかにメンタルヘルスや身体の健康に有害か」を示しているにもかかわらずだ。
AppleやGoogleのような大手モバイルベンダーは現在、ユーザーが自分のモバイルデバイスの使い方をうまく管理できるよう支援策を講じている。Appleが2018年秋にリリースする「iOS 12」で新たに提供されるダッシュボード「スクリーンタイム」は、「ユーザーが各アプリをどれだけ利用しているか」「ソーシャルネットワーキングなど、特定のアクティビティーにどれだけの時間を費やしているか」「アプリから受信する通知の数はどれだけか」といったレポートを表示する。また、「ダウンタイム」という新しい設定項目では、ユーザーは、特定のアプリと通話機能のみを利用できる時間帯を構成できる。Googleの最新OS「Android 9 Pie」も同様のレポート機能を提供し、ユーザーはアプリごとに利用時間の上限を設定できる。
こうした機能は現在、「Facebook中毒の克服」といった派手な目標を掲げて宣伝されており、消費者をターゲットとしているようだ。だが、こうした機能は企業で利用される可能性がある。エンタープライズモビリティー管理(EMM)ツールに登録されたiOSデバイスやAndroidデバイスについては、IT管理者は、使用状況をモニタリングしたり、ユーザーに利用時間の上限指定を義務付けるポリシーを設定したりできるようになる。あなたの会社に、「午後5時以降は、従業員は電子メールを1回だけチェックでき、電子メールを使える時間は最大10分間」というルールがあるとしよう。新しいOSのこうした機能を利用すれば、IT部門は、従業員によるルールの順守状況の追跡や、ルールの強制を行える。
一方で、プライバシーは1つの複雑なファクターだ。プライバシーに関しては、さまざまな角度から詳しい検討が加えられており、ユーザーは仕事のデータと個人のデータの両方についてプライバシーを重視し、要求する。そのため、企業が従業員の個々のモバイルデバイスについて、使用状況のモニタリングに関与することは、困難になる可能性がある。オフィス外でのモニタリングについては特にそうだ。
デジタル社会における従業員の健康と幸福が掛かっているだけに、IT担当者は、従業員がモバイル環境でバランスの取れた働き方ができるように、企業としてどのような支援が可能なのかについて、考え始める時だ。
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