NVMeとの違いから普及の可能性まで
NVMe-oFの気になる5つの疑問
パフォーマンス向上を実現させる「NVM Express over Fabrics」(NVMe-oF)の導入が増えている。だがこれは、単なる一時的流行だろうか。それとも標準仕様として定着する日が来るのだろうか。
データストレージの業界は常に進化しており、絶えず変化するニーズに合わせた製品開発をしている。その中には過ぎ去るトレンドもあれば、ストレージテクノロジーを大きく進化させる足掛かりとなるトレンドもある。
NVMe-oFは、そんなストレージテクノロジーの中でも近年大きな話題を集めている。だが、果たして今後定着するだろうか。SSDが台頭していることを考えれば、SSDテクノロジーを念頭に置いて設計されたストレージプロトコルがストレージ市場で人気を集めるのは理にかなっている。NVMeはSCSIプロトコルの代わりとして、HDDよりも高速で高いパフォーマンスを持つストレージメディアとして設計されている。
既定のフラッシュメディアが、SATAとSASベースのSSDからNVMeベースのSSDに置き換わるだろう、というのがストレージ業界の認識だ。ここで「NVMe-oFはNVMeと同じ方向に向かうのか」「そもそもNVMeとNVMe-oFは何が違うのか」「NVMe-oFは使えるのか」という疑問が浮かび上がる。
ここからは、そうしたNVMe-oFテクノロジーに関する疑問に答えていく。
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「NVMe-oF」が解決する課題とは
NVMeとNVMe-oFの違い
NVMe-oFはNVMeと全く異なる製品というわけではなく、NVMeテクノロジーの自然な進化と考える必要がある。「over Fabrics」(oF)への拡張は、NVMeテクノロジーとイーサネットやファイバーチャネルなどのストレージネットワークの統合を意味する。NVMe-oFは、NVMeを大規模なスケールアウト環境で使用したいと考えている組織でよく使用されるNVMe導入オプションだ。
NVMe-oFは高いパフォーマンスが必要な状況に対応でき、高価なフラッシュストレージが持つ価値を、組織のストレージネットワークに拡張する。管理上の問題や、ネットワーク運用チームに必要なスキルなど、懸念材料もあるがメリットは明らかだ。
NVMe-oFが向かう先
標準プロトコルになる前のNVMeは「高いパフォーマンスが求められる最新のフラッシュドライブに対する、興味深い応急措置」という存在だった。NVMeプロトコルは、フラッシュドライブの高いレベルのI/O操作をネットワーク上で維持する。
NVMeテクノロジーが進化を遂げた結果、変化するパフォーマンスのニーズに対処する次のステップが「ファブリックへの拡張」なのは理にかなったことだった。NVMeのファブリックは、1つのストレージクラスタ内で全てのモジュールに接続する。NVMeストレージはそれぞれのモジュールにファブリック経由で素早くアクセスできる。このため、NVMe-oFテクノロジーは長期的に使用されるはずだ。
NVMe-oFが解決する問題
NVMeテクノロジーは、HDDを念頭に置いて開発されたiSCSIプロトコルの弱点に対処するために考案された。目的は、SCSIを高速フラッシュストレージと組み合わせると頻繁にボトルネックが生じる問題を解決することだった。NVMe-oFはNVMeの一歩先を進み、SCSIに関連する待機時間やパフォーマンスの問題を解決する他、大規模ネットワークで強力な接続性を実現する。
NVMe-oFはリモートダイレクトメモリアクセス(RDMA)とファイバーチャネルのどちらとでも使用することが可能だ。RDMAでは、NVMe-oFは待機時間の短縮とデータ転送速度の高速化を実現できる。またファイバーチャネルと併用する場合は、スイッチの簡単なアップグレードだけで、組織に既に導入されているテクノロジーにNVMe-oFを導入することができる。
ストレージへの影響
ここで、NVMeからNVMe-oFへの拡張がストレージ業界にとって意味することを考えてみたい。フラッシュテクノロジーがストレージに変革をもたらしたように、NVMe-oFは業界に一石を投じることになるだろう。NVMe-oFのメリットを最大限に活用するためには、共有ストレージのアーキテクチャを変化させる必要がある。ストレージベンダーは自社製品を新しいストレージアーキテクチャに適応させる必要が出てくる。具体的にはパフォーマンスの最適化を考慮に入れること、そして従来のプロトコルを最新のNVMeプロトコルに切り替えることが必要だ。柔軟性の高いソフトウェア定義ストレージ(SDS)を導入しているベンダーは、こうした変化を組み込むのは比較的簡単だ。また、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)事業を展開するベンダーもこのテクノロジーでメリットを得られる可能性がある。
またNVMe-oFは、ストレージにおける最新のイノベーションの1つ、そして市場が今後も発展し続ける印として注目を浴びている。
NVMe-oF普及の下地は整ったか
主要ITの進化と同様、最大の疑問は「近い将来NVMe-oFが広く普及するか否か」だ。NVMeテクノロジーはフラッシュストレージを念頭に置いて開発されてはいるが、フラッシュのみを考慮して設計されているわけではないので、時代の変化と足並みをそろえて状況に適応するはずだ。
ストレージ業界のベンダーは、ゆっくりとではあるが確実にNVMe-oF準拠の製品を提供し始めている。IBMはここのところ、フラッシュストレージ製品にNVMe-oFのサポートを提供することに尽力している。またMicron Technologyは同社の「SolidScale」アーキテクチャにNVMe-oFを組み込んでおり、NVMe-oFの市場展開に大きな波が来ることを予想している。NVMe-oFはまだ広く普及するまでには至っていないかもしれないが、市場に台頭するのはほぼ避けられないだろう。
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