博士号を持つメンバーは後でいい
データサイエンスチームに必要な“9つのプロフェッショナル”
データサイエンス分野は、企業がデジタル経済で成功を収めるのに不可欠な要素になっている。本稿では、掛けた費用に見合う価値を得るためのデータサイエンスチーム編成方法を考える。
機械学習のためにデータサイエンスチームを編成する場合、博士号を持つメンバーを引き込むことに気を取られがちだ。データ駆動型のデジタル経済で競争を勝ち抜くために必要な、他のデータサイエンススキルを育成することがなおざりにされている。
機械学習には高度で特殊なデータサイエンススキルが重要だ。だが、そうしたスキルが、データサイエンス導入の妨げになることもある。これはキャシー・コツィル氏の見解だ。同氏は、Googleのチーフデシジョンサイエンティストで、Googleの分析プログラムを設計し、統計、意思決定、機械学習について1万5000人を超えるGoogleの従業員を教育してきた経験を持つ。データに基づく組織の意思決定を民主化する提言をしている。
CIO(最高情報責任者)はデータサイエンスプログラムの導入に必要な役割の種類について考えを広げる必要がある。コツィル氏は、サンフランシスコで開催されたデータサイエンスのカンファレンス「Rev Data Science Leaders Summit」でそのように語った。
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データサイエンスに必要な9つの役割
「答えが1つ以上ある重要な決定に関わることなら、データサイエンティストを参加させる必要がある」(コツィル氏)
だが、データ分析には、情報チャートの作成、さまざまなアルゴリズムのテスト、適切な意思決定など、他のタスクも関係する。
こうしたタスクには、全く異なるスキルセットを持つメンバーをデータサイエンスチームに取り込み、対処させるのが最善だ。
データサイエンス研究には検討すべきさまざまな役割がある。その各役割にはそれぞれ最も適した特性がある。多くの企業はこうしたデータサイエンスの幾つかの役割に適切な人材を確保している。だが、データサイエンスの特定の役割には、不適切なスキルやモチベーションを持つ人材を割り当てている場合も少なくない。こうしたミスマッチがあると、企業全体の動きが遅くなり、他の社員のやる気を失わせることになりかねない。そのため、データサイエンスの研究から最大限の成果を引き出すには、CIOがこれらの役割の人材確保を慎重に検討することが重要だ。
コツィル氏は、データサイエンスに必要な役割と、企業がよりインテリジェントにビジネス上の決定を下せるように各役割が果たす職務を以下のようにまとめている。
データエンジニア
大規模な分析に必要なデータを取得するスキルと能力を備えた人材。
初級アナリスト
さまざまなツールを使ってデータの詳細と、その関係を分析する意欲を持った人材。企業内の全員が候補になる。データサイエンティストにとっては「誰でも初級アナリストになれる」という事実は認めたがらないとコツィル氏は指摘する。だが、社内の多くのメンバーが初歩的な分析をするようになれば、長期的にはデータサイエンティストの価値は上がる。
熟練アナリスト
初級アナリストとは異なり、データセットを素早く検索できるスキルが必要だ。この役割に、ソフトウェアエンジニアや物事に細かい人材を配置するのは望ましくない。作業のペースが遅すぎるためだ。
「熟練のソフトウェアエンジニアは物事を美しく仕上げるだろう。だが、データセットにはあまり注目しない」とコツィル氏は話す。求めるのは「雑でも、データを中心に物事進める人材」だ。雑に、しかし迅速に作成されたコードに不満を抱きがちなソフトウェア開発者を、熟練アナリストから遠ざけておくよう注意が必要だ。
統計学者
議論を落ち着かせる人材。例えば20個以上の異なる理由を挙げて、最新理論が事実と合致しないことを説明できる人材を指す。この役割はチームのモチベーションや興奮を奪いってしまいかねない。だが、重要な決断を下すために、結論を安全な方向に導くには重要な役割でもある。
機械学習エンジニア
研究者ではなく、アルゴリズムを構築する人材。どちらかといえば、AI(人工知能)に重点を置くコンピュータプログラマーで、見込みのありそうな結果を判断するために、さまざまなソフトウェアを使って複数のデータセットを扱うのに長けている。最適なアルゴリズムを求めてペースダウンしてしまうような完璧主義者は、この役割には向いていない。
優れた機械学習エンジニアとは、目的にとらわれずに、何でも素早く試してみる人材だというのがコツィル氏の見解だ。「完璧主義者は、完璧な結果を目指してしまう」と同氏は話している。
データサイテンティスト
統計の十分な教育を受け、機械学習も得意とする専門家。費用が高くつく傾向があるため、データサイエンティストは戦略的に使うようコツィル氏は推奨する。
データサイエンスマネジャー
ある日目覚めたら、最終利益を得るために何か違うことをしたい、と決めて行動できるデータサイエンティストのこと。こうした人材が、ビジネスの意思決定を下す側と、ビッグデータのデータサイエンスを結び付ける。「こうした人材を見つけたら、決して手放してはならない」とコツィル氏は話す。
品質専門家
下した決定を評価できるソーシャルサイエンティスト。この役割は、問題を提起の手助けをする。意思決定者が「データサイエンスを使って解決できる問題」を考えるためには重要な役割だ。他の役割よりも適切に経営管理の教育を受けている方が望ましい。
データサイエンス研究者
データサイエンスと機械学習のアルゴリズムをカスタマイズ、作成するスキルを持った人材。データサイエンス研究者は早い段階からチームに参加させることはない。「チームに博士号を持つ研究者を集めようとする企業が多過ぎる。こうした人材は研究がしたいのであって、ビジネス上の問題を解決したいのではない。この役割の採用が必要になるのは、ほんの数例だけだ」(コツィル氏)
データサイエンス研究プロジェクトの優先順位
データサイエンス研究チームの立ち上げを目指しているCIOは、データサイエンスプロジェクトに優先順位を付けて割り当てる戦略を立案する。
優先順位を決めるには、ビジネスの最前線で活動するマネジャーの参加が必要だ。この人材が、データサイエンスプロジェクトで追及する価値があることを決定できる。
長い目で見れば、最も貴重なスキルは、ビジネス上の意思決定者と他の役割とのギャップを埋める方法を学ぶことにある。実利的にこれを実施するには、統計学、神経科学、心理学、経済管理、機械学習の教育が必要だとコツィル氏は話す。
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