キーワードは「イレージャーコーディング」
ストレージのRAID離れ オブジェクトストレージの人気が高まる理由は?(2/3 ページ)
RAIDのストレージ構成要素
オブジェクトストレージへの移行はRAIDのみに関連しているわけではない。RAIDの基礎となるデータアーキテクチャのブロックストレージにも関連する。ブロックストレージでは、ファイルを個別のデータブロックに分割し、それぞれに固有のアドレスを割り当てる。このデータ構造が小さくなるほど、ストレージ管理システムは可能な限り効率が高い方法でデータブロックを保存できるようになる。
このストレージブロックにアクセスするため、サーバではファイバーチャネル(FC)、「Fibre Channel over Ethernet」(FCoE)、iSCSIなどの通信プロトコルが使用される。ブロック自体に構成情報(メタデータ)は含まれない。ストレージの割り当て方やデータの保存場所を決めるのはストレージ管理システムの役割になる。
ブロックストレージは主にSAN(Storage Area Network)構成で使用され、この構成にはRAIDアレイが含まれることが多い。ブロックストレージは広く導入され、理解が進んでいるテクノロジーだ。
高いスループットと低いレイテンシ(待ち時間)が必要なアプリケーションに適している。ブロックストレージは、ファイルストレージの制限事項のほとんどに対処する。ファイルストレージは、基本的なストレージテクノロジーで、メタデータとディレクトリを使用してファイルを編成する。ファイルストレージはシンプルで導入も簡単だが、その階層的な性質のせいで負荷(オーバーヘッド)が増える。そして、含まれているファイルやディレクトリが増えるほど、オーバーヘッドも右肩上がりで増加する。
ブロックストレージの方がファイルストレージよりも柔軟性が高く、適切に実行できる。だが一方で、導入と保守が複雑になり、コストも上がる。これらの問題はRAIDの実装によってさらに悪化する恐れもある。加えてブロックストレージにはメタデータが含まれない。つまり、検索することも、特定の種類の高度な分析に使用することも不可能だ。また、大量のデータ需要を満たすのに必要なレベルに拡張することもできない。さらに、ストレージとアプリケーションの距離が遠ざかれば、システムの遅延も大きくなる。
このような制限事項があるとしても、高速入出力を必要とするアプリケーションでは相変わらずブロックストレージが利用されている。例えば、データベース管理システムでは、ブロックストレージを使用するのが一般的だ。メールサーバや仮想化ソフトウェアでも、変動するシステムの稼働状況に対処するためにブロックストレージがよく利用される。当然、こうしたシステムではRAIDを活用してパフォーマンスを向上させ、データを保護することが多い。
オブジェクトストレージの利点
オブジェクトストレージは、ブロックストレージとは大きく異なる方法でデータストレージに対応している。ファイルを未加工のブロックに分割するのではなく、アプリケーションの要件を満たすようにカスタマイズ可能な拡張メタデータとともにファイルを保持する。そのデータとメタデータは共通のアドレス空間(ストレージプール)を共有する個別のオブジェクトとして保存される。
保管場所を問わない
各オブジェクトは作成時に一意IDが割り当てられる。そのオブジェクトは保管場所を問わない。ローカルサーバにも、地球の裏側にあるクラウドベースのデータセンターにも保存できる。オブジェクトへのアクセスを求めるアプリケーションはオブジェクトのIDのみ指定すればよい。オブジェクトの場所がどこにあってもそれは変わらない。アプリケーションはHTTPベースの「REST API」を経由してオブジェクトに接続し、「GET」「PUT」「DELETE」などの基本呼び出しを使用する。
理論上は無限に拡張
データ保護にイレージャーコーディングを使用すれば、オブジェクトストレージはRAIDとブロックストレージの代替になり、はるかにシンプルで柔軟性も高い。分散データプールは、地理的な境界線をまたいで大量の非構造化データを格納できる。オブジェクトは複数のドライブに複製でき、必要に応じていつでもどこにでもドライブを追加できる。オブジェクトストレージの拡張とは、その配置場所がどこであれ、ストレージクラスタにノードを追加するという話でしかない。つまり、理論上は無限に拡張できるといえる。
コスト効率が良い
オブジェクトストレージには、データとメタデータの両方が格納されるメリットもある。メタデータは、アプリケーション固有の属性を備えるようにカスタマイズできる。さらにRAIDとブロックストレージよりもコスト効率が優れている。RAIDとブロックストレージは昔から導入と保守のコストが高かった。
少ないオーバーヘッド
オブジェクトストレージのオブジェクトは共通のアドレス空間を共有する。そのため、ブロックストレージとRAIDに付いて回る複雑さやオーバーヘッドがないこともあり、簡単にストレージを管理できる。ドライブの障害やデータの破損からデータを保護することに関してもオブジェクトストレージの方が優れている。オブジェクトはセカンダーリシステムに必要な数だけ簡単に複製でき、オーバーヘッドが増えることもない。オブジェクトストレージでは保存されたデータを保護するためにコーディングも使用でき、それに伴うオーバーヘッドもRAIDより少ない。
こうしたメリットがあるにもかかわらず、残念ながらオブジェクトストレージは企業の全ての問題に対処できない。RAIDの有無を問わず、パフォーマンスに関しては相変わらずブロックストレージが勝つ。データベースや仮想デスクトップなど、高度なランダムアクセス入出力を必要とするアプリケーションでは特に、ブロックストレージが優位になる。
その理由はオブジェクトストレージではオブジェクトのデータを更新する必要がある場合、オブジェクト全体を書き換えなければならないためだ。これは、データを頻繁に変更する場合は特にそうだが、パフォーマンスに影響する可能性がある。
メタデータが含まれていることで、オーバーヘッドが増える恐れもある。そうなれば遅延の増加につながる。ブロックストレージからオブジェクトストレージに移行すると、アプリケーションの更新が必要となる。API経由でオブジェクトにアクセスしなければならないためだ。その点についても認識しておく必要がある。
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