企業の存続に関わる後継者問題
「社内で7人のCEO候補者を確保」、企業が常に考えるべき後継者計画とは?(2/2 ページ)
重要な職務への配置から決定する
変化は常に起こっている。どの人材が新しいスキルを学び、新しい技術を駆使し、その他の変化に対応する必要があるのかを把握できることが望ましい。
「これまで職務を問題なく遂行できたからといって、今後も問題なく職務を遂行できるとは限らない」とマクゴワン氏は言う。この言葉は、新しい職務に昇進した人は新しい仕事をするに当たって新しいスキルが必要になるという考えと、鍵となる職務の人選は会社の方針次第だという考えの両方を意味している。
それが確立されたら、サクセッションプランにおいてどの職務の人材を対象にするか、人事部門と経営幹部が関わって決める必要がある。マクゴワン氏が指摘したように、どの職務を中核的な職務と考えるかは、サクセッションプラン戦略をこれまでどの程度実施してきたかに大きく関わる。まずはトップとなる人材の確保から始めるべきだろう。
リーダー層の育成と人材管理を実施するExecutive Velocityの創業者であるベス・ミラー氏は中堅中小企業に対して取り組みを行っている。「サクセッションプランは企業内のリーダーシップのパイプラインを構築する。そのため、まずはCEOを確保することが先決だ」とミラー氏は言う。
大企業や中堅中小企業の両方の業界を見ているマクゴワン氏もCEO確保を勧めている。同氏は「自社内に7人のCEO候補者を確保しておくことが理想的だ」と言う。
現在の人材の能力理想とのギャップをはっきりさせる
企業のサクセッションプランにおいて重要なことは、企業の中核となる業務を遂行できる従業員を特定し、その従業員の強みや成長分野を見極めることだ。ただ単純に業務を遂行できる人を選ばないようにしたい。外部からの人材の採用には高いコストとモチベーションに関わる副次的な影響が伴うため、一般的には内部からの人材登用を優先した方がいい。しかし、現在の従業員では将来的に必要となる職務をこなすことができない場合やこれまでにない多様性を取り入れる、といった点も考慮すべきだ。
「企業はポテンシャルを秘めた非常に意欲的な労働者を探している。新しい体験に興味を示し、洞察を持ち、問題解決が得意で、高いコミュニケーションスキルを持つ人材だ」(タウンロウ氏)
「学習能力が重要だ」とミラー氏は言う。中堅中小企業は内部登用するにせよ外部から採用するにせよ、新規採用者を実務に当たらせるまでに90日も余裕はない。学習能力が高く、率先して物事に取り組める人材を求めると語る。
サクセッションプランを手助けするためのソフトウェアを提供しているベンダーもある。SuccessFactorsやWorkdayなどモジュールを提供するものもあるが、専門家によると、企業は簡素な仕組みの管理ツールを使う傾向があるという。
理由の一つは、ERPや人的資源管理システムなどの従来のソフトウェアとは違い、サクセッションプランは長期的で「変容するもの」であり「問題が起きた時に解決すればよい」と後回しにするのが簡単に思えることにだとタウンロウ氏は言う。
マクゴワン氏は、通常年に1~2回開催するサクセッションプランの会議で企業や人事部のリーダーが使用できる評価ツールとして「9ブロック」を挙げた。これを使用すれば、従業員の会社に対する現在の貢献度や今後の貢献度を評価できる。また、ギャップを特定するためにも使える。
フェイマン氏によると「BASKET手法」もサクセッションプランツールとして使用できるということだ。特定の職務に当たる従業員が行動、態度、スキル、知識、専門知識、才能などの面で必要なものは何か、さまざまな従業員がこれらの職務にどのように対応しているか、従業員のギャップは何かを評価するモデルだ。
タウンロウ氏によると、ベルビンのチームロール理論(belbin team roles)もサクセッションプラン戦略を実施するために使用できるツールだという。これを使えば、仕事ぶりに関する9つの観点から従業員の強みや弱みを特定できる。
さらに別のツールとして検討できるのが、従業員の評価に上司だけでなく複数の従業員の視点を用いる360度評価がある。このツールの支持者はこれを使えば、従業員のポテンシャルや改善が必要な部分の評価をより客観的に実施できる。
サクセッション管理プランを作成し結果を評価する
所定の職務に適切な人材を見つけるためには従業員の意見を聞くことが極めて重要であると専門家はいう。従業員の目指すキャリアを知るためには、上司との会議や非公式な形式張らない会議、その他の人材開発ソフトウェアを使うなどさまざまな方法がある。
その情報をサクセッション管理評価とあわせて利用すれば計画の作成に使用できる。次に期待する職務が例えば現場担当者かCEOかによって大きく変わる。現場担当者になりたければ比較的容易に対処できるが、CEOならば、リーダーシップに適した訓練を受けると同時に、経験不足のギャップを埋める仕事をしなければならない。
フェイマン氏はシミュレーションが役立つこともあると語る。同氏はビール流通のゲームを例に挙げた。このゲームは「ブルウィップ効果」(※注)などのサプライチェーン管理の鍵となる原則を実際に体験できる体験型シミュレーションゲームだ。
※注:小売店など末端での小さな需要変動が、その源泉となる卸しやメーカーにさかのぼって大きく影響する現象。むちのしなりのように影響が大きくなるためブルウィップ(むち)と呼ばれる。
ミラー氏は従業員に職域の枠を超えたグループを作らせ、新製品を開発するために協働させることを勧めている。タウンロウ氏は従業員が現在の職務から次の職務に真の意味で移りやすくなるように成長できる環境を与えることが鍵だ、と語る。
人材管理や採用、学習、人材開発、そしてサクセッションプランに関わる各部門は、従業員のギャップを埋めるのに適した訓練を作り出したり、鍵となる職務を担うに当たって必要であると認識された人材の採用をしたりするなどのサクセッションプランのサポート計画を調整するためにしっかりとコミュニケーションを取ることが必要だ。
サクセッションプラン戦略の途中や定期的な間隔で、その戦略が成功しているかを評価することも極めて重要だ。成長を評価する最良の方法は、従業員が特定のプログラム言語をコーディングできるかどうか、というような簡単なものではないため、その都度調整が必要だ。
効果的なサクセッションプラン戦略は一度立案したら終わりというものではない。必要な注意を怠っていると問題が起こる可能性が非常に大きい。
「従業員への報酬として成長の機会を与える必要がある。従業員はスキルを取得すれば好きな時に好きな部署へ容易に異動できるようになり、企業にとってメリットになるだろう。それはこれまでも、そしてこれからも重要な要素となる」(フェイマン氏)
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