新たなIT花形職種になるか
IAMエンジニアの役割と適性について
IAMエンジニアが求められている。それも身近なところで。だが、社内外のエンジニア候補者には、IAMを理解するだけにはとどまらない多くの訓練が必要になる。
IDおよびアクセス管理(IAM)がセキュリティ戦略にとって不可欠になりつつある。そのため、企業は優秀なIDエンジニアに目を光らせておかなければならない。この役割を担うスタッフを獲得するためにIT部門が取れる手段は幾つか存在する。
モバイルデバイスが従業員の新たなアクセスポイントになっている。同時にモバイルデバイスは企業データ流出の新たな経路にもなる。そのため、IAMがますます重要になる。だが、労働者市場には高いスキルを備えたIAMエンジニアの候補者が依然不足している。そのため、企業はIT部門の既存スタッフを教育するか、セキュリティの一般的な知識を有するエンジニアを採用してIAMの専門知識を習得させるほうが適切かもしれない。これは2018年6月に開催された「Identiverse」カンファレンスでの専門家の発言だ。
Deutsche Bankのアクセス証明サービス部門のディレクターを務めるオラフ・グレーヴェ氏はセッションで「エンジニアを採用する際は、一般的なITスキルと役割に注目する。IAMの全てに精通した希少な候補者の出現を待つのではなく、一般的スキルと役割を有する人材を必要な水準まで引き上げる」と語った。
IAM労働者市場の展望
金融テクノロジー企業DST SystemsでIAM関連のシニアセキュリティアーキテクトを務めるデイブ・シールズ氏がカンファレンスのプレゼンテーションで行った発言によると、2017年のIAM職の募集増加は目覚ましく、IAMエンジニア職の空席はボストン地域で約1500、ワシントンDC地域で4800、シリコンバレーで3320に達するという。
最近米オクラホマ大学でIT部門の管理ディレクター職に就き、IAMを担当するようになったシールズ氏は、「ついに、IAM職がキャリアを成長させるポジションだと見なされる状況になった。このポジションに対して企業が打てる手はたくさんある」と話す。
ただし、この役割に就けるほどのIAMスキルを既に備えた人材の数は不足している。周囲を探してもそのような人材はなかなか見つからない。そこで、IT部門は既存のスタッフにIAMについて教育することになる。だが、それには適切な人材選びが重要になる。
「見つけるべき最高のエンジニアは、仕事内容が一変することを恐れない人材だ。社内にはシステムに精通し、それまで不可能だったことを成し遂げたシステム管理者がいるかもしれない。そうした人材に声をかけてみる」(シールズ氏)。
同氏によると、IAMエンジニアは変化に適応力のある柔軟性を備え、他人には聞きづらいことを進んで質問する性格も必要だという。他にも、創造力、ビジネスの仕組みや利用するテクノロジーを理解する能力などの資質も求められる。
「見つけたいのは、『私ならもっと上手にやれる』と口に出す人材だ。簡単には教えることができないことは幾つかある」(シールズ氏)。
IAMとセキュリティの密接な関連性
Deutsche Bankが編成しているIAMチームは、既存のITスタッフと社外から雇用したスタッフで構成されている。このIAMチームは編成後にIAMスキルの教育を受けている。スタッフの教育には大きく4つの段階がある。まずは、IAMの基本トレーニング、次にベンダー固有の教育、そしてCISSP、その後、会議、ランチミーティング、最新のベンダートレーニングによって継続的な学習機会が続いていく。
「スタッフが適切なリソースにアクセスできるようにする必要がある。当社は、成長を続ける人材を求めている」(グレーヴェ氏)。
専門家によると、IAMエンジニアの候補者には、全般的なセキュリティスキルが特に重要になるという。Ping Identityのシニアテクニカルアーキテクトを務めるサラ・スクエア氏は、ID管理について教育を受ける前に、セキュリティに関する重要な仕様や標準について学んだという。
「仕事をしながらの教育が多くなる。教育は、セキュリティ分野全体に関する知識をしっかりと固める必要があることを認識することから始める」(スクエア氏)。
こうした理由から、スクエア氏は、SalesforceのID製品管理担当バイスプレジデントのイアン・グレーザー氏と共に、IAMプロフェッショナル向けのコミュニティーIDProを設立した。IDProは、2017年の『Identiverse』(当時の『Cloud Identity Summit』)で設立が発表された。現在はIAMエンジニアに必須の知識体系をまとめており、将来は資格認定を計画しているとスクエア氏は話す。
「担当する人材は、IAMだけでなく、セキュリティについても深く理解していることが非常に重要だ」(グレーヴェ氏)。
また、企業でのIAMプロフェッショナルの所属先を決めることも大切だ。運用部門なのか、開発部門なのか、セキュリティ部門なのか。
「この役割の所属先に悩む企業は多い。個人的見解としては、ITセキュリティチームしかないと考えている」(シールズ氏)。
Deutsche Bankのグレーヴェ氏のチームは、相当額の予算を扱う最高セキュリティ責任者の下で業務にあたっているという。IBMでハイブリッドクラウド部門のバイスプレジデントと最高情報セキュリティ責任者を兼任するヘザー・ヒントン氏によると、IBMのチームは社内のID管理作業を、従業員のアクセス権に関与する人事部門などのグループと密接に連携して実施しているという。
「(企業は)サイロ化を減らす方法を考え出す必要がある」(ヒントン氏)
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