「Amazon SageMaker」「Cloud AutoML」を解説
機械学習を使いやすくするAWSとGoogleのクラウドサービス、その利点は
機械学習はデータサイエンスのスキルを必要とする複雑なテクノロジーだ。Amazon、グーグルなどのクラウドプロバイダーはAIをもっと使いやすいものにすることを目指しているが、まだ改善の余地もある。
パブリッククラウドプロバイダーは、AIと機械学習のためのサービスを市場に投入し続けている。こうしたクラウドプロバイダーによると、極めて経験の少ない開発者でもそのテクノロジーを利用できるようにするためだという。こうしたサービスは機械学習アプリを作成するための学習時間を短縮する一方で、まだ成長の余地もある。
Amazon Web Services(AWS)の「Amazon SageMaker」とGoogleの「Cloud AutoML」の2つも、ベンダーが多数のAI専門家やデータサイエンティストを用意しなくても使用できると主張する機械学習サービスだ。
Cloud AutoMLはグラフィカルインタフェースを備え、オブジェクト認識モデルや画像検出モデルをユーザーが簡単にトレーニングできる。このサービスは、機械学習システムを立ち上げて稼働させるのに必要とされていた、従来の多くの要件を取り除く。具体的にはデータの手動セットアップ、モデルトレーニングプロセス、アプリケーションへの導入などが不要になる。Googleの「Cloud AutoML Natural Language」を介して、フロントエンドで自然言語処理を使用する機能も提供される。
クラウドプロバイダーが認識する人材格差
Amazon SageMakerは、AWSクラウドプラットフォームへの導入に加えて、学習モデルとその関連データの開発速度を上げるもう1つのMachine Learning as a Service(MLaaS)ツールだ。
Cloud AutoMLと同様、Amazon SageMakerでも使いやすさが重視される。このサービスはProject Jupyterの「Jupyter Notebook」との統合などの機能が利用できる。この機能で、機械学習エンジンの支えとなるデータソースに素早くアクセスできる。Amazon SageMakerには、AWSプラットフォームを用いた大規模データセットに最適化された、すぐに使えるアルゴリズムも用意されている。
従来、定番の機械学習システムの問題は、システムを効果的に使用するために、その方法を熟知していなければならないことだ。テクノロジーが複雑になると、それだけ多くのミスが生まれる恐れがある。異なる種類の機械学習処理に同じアルゴリズムを使用したり、データ異常値を効率的に見つけられなかったりするようなミスだ。
こうした課題は主として、データアナリティクス人材や、ビッグデータや機械学習のスキルを持った人材の不足から生まれる。これは単純に、これらの分野にある程度の経験がない企業は、機械学習用のデータを適切に準備したり、アルゴリズムを開発したり、学習モデルを構築して導入することができないことを意味する。
このような状況に対処するため、AWSとGoogleは学習にかかる時間の短縮を目指すようになっている。Amazon SageMakerやCloud AutoMLのような機械学習サービスは、一般ユーザーと開発者の両方を引き付ける可能性が高い。その理由は例えば次のように幾つか存在する。
- エラーの可能性の低減
これらの製品は、機械学習ベースのシステムをセットアップして使用するというプロセス全体でユーザーをガイドする。それによってエラーの数が減る。このことは、物足りないサンドボックス環境を補って余りある。これらのサービスが用意するサンドボックス環境には、もっと多くの経験を必要とする他の一部の機械学習ツールに比べると制約がある。
- テクノロジーの利用可能性の拡大
GUIのおかげで誰もがPCを簡単に使えるようになった。それと同様、Amazon SageMakerやCloud AutoMLのようなサービスは、通常ならこうしたテクノロジーを使おうとしないユーザーにも機械学習の使用を広めるだろう。
- 生産性の向上
これらのサービスは機械学習システムを作成するのに必要な時間を短縮する。そのため、開発者がより迅速に動けるようになり、最も関心のあること、つまり、アプリケーションの構築に専念できるようになる。
クラウドサービスは完璧ではない
これらのクラウドベースのAIサービスはまだ簡単なものではない。開発者は、相変わらず一部の機械学習の概念について基礎を理解していることが求められる。例えば既存のデータからモデルを構築する方法などだ。
とはいえAmazon SageMakerやCloud AutoMLのようなサービスは今後数年にわたって進化を続けていくだろう。開発者やユーザーを遠ざける機械学習の複雑さを簡略にするベンダーのアプローチについても同様だ。いつかは、シンプル過ぎず複雑過ぎることもない、満足できる落としどころが見つかるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー