Microsoftに聞いてみた
Windows Virtual Desktopが実現する「純正仮想デスクトップサービス」とは何か
「Windows Virtual Desktop」は「Microsoft Azure」で動作するMicrosoft純正の仮想デスクトップサービスだ。このサービスの登場により、DaaS(Desktop as a Service)市場に波紋が広がると予想される。
Microsoftは2018年9月、同社の純正DaaS(Desktop as a Service)である「Windows Virtual Desktop」を発表した。パブリックプレビューは2018年末までに開始する予定だ。これにより「Windows 10」と「Windows 7」の完全な仮想デスクトップを利用できるようになる。「Active Directory」などの製品とデータを連携できる利点があり「Microsoft Azure」(以下、Azure)の利用促進にもつながるだろう。
だがWindows Virtual Desktopは他の競合サービスとどこが違うのか。Microsoftのパートナー企業はどんな影響を受けるか。プライベートクラウドやAzureに仮想デスクトップの展開サービスを提供するNerdioのCEO、ワディム・ウラジミルスキー氏に話を聞いた。
MicrosoftのDaaS提供について
ウラジミルスキー氏 MicrosoftはAzure上で「正規の仮想デスクトップ」を許可することになる。本当の意味でデスクトップOSを利用できるようになるといえる。なぜならば、このサービスはサーバOSを使ってデスクトップ環境を再現するのではなく、Windows 10を実行する本物のデスクトップが利用できるためだ。
マルチテナント機能を備えた1台のWindows 10マシンで複数のユーザーが物理デスクトップデバイス同様のWindowsデスクトップを利用できることになる。
競合製品はどのような影響を受けるか?
ウラジミルスキー氏 既存の市場にとって大きな脅威になるだろう。DaaSの「Amazon WorkSpaces」を提供するAWSのような大手も、小規模なベンダーも、強力な差別化と付加価値が必要になる。例えば、特殊なコンプライアンス機能や、セキュリティの多層化、マネージドサービス(管理業務のアウトソーシングサービス)などを検討する必要があるだろう。
潜在顧客にとってMicrosoftのDaaSサービスの魅力は何か
ウラジミルスキー氏 Azureを基盤とする点が最大の差別化要因だ。ホスティングの場所とグローバル展開も利点になる。世界各地に拠点を持つ組織がプライベートクラウドでホスティングする場合、通常はその組織が所有する1つのデータセンターに、遠方のユーザーも近くのユーザーもアクセスする。
エンドユーザーの操作性はどこから接続するかによって大きく左右される。Azureなら多数のローカルリージョン(地域)があり、ユーザーに近い場所から仮想デスクトップを提供できる。最も近くにあるAzureに接続してデスクトップを使うことができればユーザーエクスペリエンスは向上する。
AWSのAmazon WorkSpacesのように他社の仮想デスクトップサービスは、サーバOSを実行することでデスクトップのように見える環境をマルチテナントで提供している。Windows Virtual Desktopはそれらとは違い、サーバOSではなくWindows 10を実行する。サーバOSの場合はアプリケーションの互換性の問題が発生する可能性があるが、Windows 10ならその問題は発生しない。
また、プライベートクラウド型のデスクトップホスティングサービスを提供しているベンダーの場合、OSにはWindows 10を使用していても、基本的には専用のハードウェアを使用するため、ある程度のユーザー数がないと費用対効果を確保できない。
Azureのようなマルチテナントホスティング環境を利用できるようになれば、コストをかなり抑えられる。Microsoftは最小ユーザー数のしきい値を設定しないため、規模の小さい企業も利用できる。
MicrosoftのDaaSが市場で不利になる要因があるとしたら何か
ウラジミルスキー氏 大規模展開では実際の導入とプロビジョニング(リソース調整)、管理のプロセスが複雑になる。ライセンスやOSの観点では全てがそろっていても、Azureに詳しい担当者がいない企業には複雑さが難点になり得る。
導入や管理を簡単にするツールを用意しておくことが重要だ。ユーザー数の増減に応じた自動スケーリング(拡張)でコストを最適化できるようにすることも必要だろう。
Windows Virtual DesktopはMicrosoftのパートナーにどのような影響を及ぼすか
ウラジミルスキー氏 ホスティング以外に付加できる機能はいろいろあり、Windows Virtual Desktopの登場で実現可能になるものも少なくない。だが、Azureを利用してOSをホスティングできるようになっても、パートナーが提供できる付加価値はいくらでもあるだろう。
Citrix Systemsは「Citrix Cloud」のホスティング基盤に既にAzureを採用している。Citrix Systemsは企業向け機能を拡充し、画像転送技術であるアクセラレーター、プロプライエタリICA(Independent Computing Architecture)とHDXプロトコル、他にもプロファイル管理、アプリケーションレイヤーリング(階層化)などを追加する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー