ERPの概念と基本的な要素とは?
いまさら聞けないERPシステムの基礎知識、導入形態やコンポーネントを理解する(2/2 ページ)
ERPシステムの核となるコンポーネント
ERPシステムを選択する前に、コンポーネントの核となるセットを検討しておきたい。こうしたコンポーネントはモジュールとも呼ばれ、ERPシステムの機能領域に重点を置いたパーツを指す。ここからは、一般的に核になると考えられるコンポーネントを取り上げる。ただし、この分類はベンダーによって異なることがある。
財務
企業は販売や業務の情報を全て単一の財務システムに集約し、記録、追跡することを考えている。ERPシステムの財務コンポーネントは、総勘定元帳、売掛金元帳、買掛金元帳、給与システムを一元管理する形で、この機能を提供する。
財務分析レポートや仮説シナリオのモデリングの機能を求める企業もある。こうした機能も、多くのERPシステムが提供している。
人事
ERPシステムは、従業員の労働時間や業績評価を追跡でき、給付金や人材育成、社員教育の管理もできる一元管理型の人事コンポーネントを提供する。
企業の間では、人事コンポーネントを利用して市場で新しい人材を採用し、後継者育成計画を立て、従業員のコンプライアンス(法令順守)の問題を管理する動きも広がっている。
購買
ERPシステムの購買コンポーネントは、発注書の発行やベンダー管理、支払いなどの調達プロセスを合理化する。発注や支払いの承認を企業の適切な意思決定者に自動的に振り分ける機能もある。
ビジネスインテリジェンス
企業はデータ分析をもっと活用し、ビジネスに関する情報を評価して判断を下したいと考えている。このプロセスを容易にするため、ERPベンダーはダッシュボードやデザイン済みのレポートを用意し、企業が自社の販売や運用を評価するためのメトリクス(測定基準)分析機能とガイドラインを提供している。ERPシステムのデータを使ってデータマイニングを実行し、カスタマイズしたレポートを作成することもできる。
CRM
ERPシステムのCRM(顧客情報管理)コンポーネントは、企業の顧客対応部門が利用できる一元管理型の顧客情報リポジトリだ。このリポジトリには、見込み客や顧客、パートナー企業とやりとりした情報が含まれる。マーケティングや営業、サービスなど顧客と接触する部門によるやりとりを全て追跡し、全従業員が同じ情報を利用できるようにする。CRMコンポーネントには、営業担当者のレポート作成やマーケティング支援などの機能が含まれる。
製造業向けERPコンポーネント
以下に挙げるのはERPシステムの中核ではあるが、どちらかというと製造業向けのコンポーネントだ。ERPシステムを選ぶ際に以下のコンポーネントも検討するとよい。
サプライチェーン管理
社内の業務だけでなく、原材料、在庫、備品など、サプライチェーンのビジネスパートナーや商品サプライヤーの業務を網羅するERPシステムもある。サプライチェーン管理のコンポーネントは、社内外の業務や製造プロセスへの可視性を提供する。こうした可視性を切望する企業は少なくない。
製品の構成や設計を絶えず改訂している企業には、特定のERPコンポーネントが役に立つ。このような企業は、製品改訂の全段階での製品情報を格納する製品ライフサイクル管理コンポーネントを活用して、現在扱っているさまざまなバージョンの製品を追跡/管理できる。
流通/倉庫管理
流通と倉庫管理のERPシステムは自動化の仕組みを取り入れ、顧客対応の営業チームが顧客の見積もりや注文をバックオフィスの在庫管理、調達、会計システムに直接結び付けられるようにしている。これにより、注文の完了と商品の供給がタイムリーに進む。
流通業務用ERPシステムでは包括的な倉庫管理機能が重要になる。この機能は、サプライチェーンの要件を満たすように、倉庫の在庫を最適化する。流通と倉庫管理のコンポーネントは、全ての倉庫にある在庫の動き全体を把握する機能を提供する。複数の場所に点在する倉庫を管理する企業は、このようなコンポーネントを使い、必要に応じて複数の倉庫間で在庫を調整することで在庫管理を効率化する。
在庫管理
在庫管理コンポーネントは、在庫のストックと消費を最適化し、在庫予測を手動でも自動でも実行できるようにする。企業は、個々のパーツやアセンブリ(組み立て工程)ごとに個別の発注ポリシーを設定できる。在庫の例外や供給過剰状態の可能性に関するレポートを発行し、複数の場所の在庫を追跡することも可能だ。
こうした在庫管理コンポーネントはスタンドアロン形式で運用できる。物流、出荷、請求などの機能を持つ他のコンポーネントやシステムに接続し、データをやりとりすることも可能だ。多くの在庫管理コンポーネントは、バーコードや最小在庫管理単位(SKU)の管理機能に加え、センサーやハンディーモバイルデバイスなど、他の倉庫テクノロジーとの連携も可能にしている。
サービス管理ERPのコンポーネント
サービス業や単発のプロジェクトを実施する企業がERPシステムを選ぶ場合、こうした企業の特定のニーズに応える追加のコンポーネントがある。例えば、次のようなコンポーネントだ。
サービス管理
サービス管理コンポーネントは、専門サービスの最適化、追跡、管理を提供する。こうしたコンポーネントをそろえたERPシステムは、フィールドサービスなどの専門サービスを提供する企業で利用される傾向がある。顧客の満足度レベルやサービスレベル契約(SLA)の保証、契約の履行の評価も可能だ。
サービス指向のERPシステムは、プロスペクティング(見込み客の送出)や契約の締結、サポートの提供、アップセリング(より高額なサービスの契約への誘導)といった、顧客との関係の全段階にわたって、顧客との接触を自動追跡する。これによりサービスチームの全員が、顧客との関係や顧客との交流履歴を一元的に把握でき、エンドツーエンドのサービス全体で生産性の高い共同作業を促進できる。
単発プロジェクトの管理
ERPシステムのプロジェクト管理コンポーネントでは、包括的なプロジェクト管理が可能だ。これには、プロジェクトやプロジェクトリソースのスケジュール、入札、契約といった複数段階からなるWork Breakdown Structures(WBS:作業分解図)が含まれる。
単発プロジェクト管理コンポーネントは、資金、在庫、資材、労働力など、プロジェクトでリソースがどのぐらい使われたかを可視化する。プロジェクトのライフサイクルを通じて、正確かつタイムリーにプロジェクト費用を請求することも可能になる。企業はプロジェクトを運営しながら収益性を追跡し、利益を管理できる。こうしたコンポーネントを利用することで、管理者は重要業績評価指標(KPI)を満たすようにプロジェクトを運用しやすくなる。
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