Google「Cloud Vision API」は何が可能か
コカ・コーラはどこで飲まれているのか? Twitter画像と「Vision API」で特定
日本コカ・コーラは、人工知能(AI)技術を用いたGoogleの画像認識サービス「Cloud Vision API」を活用し、消費者の行動を分析するプロジェクトを実施した。実際に利用して分かった、AI技術の得意不得意とは。
日本コカ・コーラは2017年、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)にアップロードされている画像から、人工知能(AI)技術で消費者の「コカ・コーラ」の消費シーンを特定する試験的な取り組みを実施した。利用したAIツールは、Googleの機械学習済みモデルをベースにした画像認識サービス「Cloud Vision API」だ。取り組みの結果「ペットのいる空間でコカ・コーラを飲む」「山登りの時にコカ・コーラを飲む」などの、同社がこれまでに把握していなかった消費シーンを発見した。AI技術を用いて新しい消費シーンを掘り起こす同社の取り組みについて、同社経営戦略部門・ナレッジ アンド インサイツ ディレクターの小林康二氏の話を基に紹介する。
日本コカ・コーラが現在、消費者心理の理解に使っている手法は、消費者へのアンケートや、SNSに投稿された「#コカ・コーラ」というハッシュタグが入ったテキストの収集などが中心だ。ただし実際のところコカ・コーラ関連のハッシュタグを使った投稿には、キャンペーンやプロモーション用のツイートが少なくない。消費者心理の把握を目的にハッシュタグを分析しても、消費者の実態を十分に反映できていない、偏った分析結果が出る懸念があった。
今回の分析のベースは、SNSに投稿された、コカ・コーラのロゴ画像が写りこんだ写真だ。日本コカ・コーラは分析対象のSNSを選定するために、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた世代)を対象に「Facebook」「Instagram」「Twitter」の各SNSの印象を聞き取り調査した。その結果、Twitterは投稿から消費者の本音が見えやすく、消費シーンがリアルタイムで投稿されることが多いという特徴を見いだした。この調査結果から、コカ・コーラの飲用シーンを生活者視点で調査するのに適していると考え、Twitterへの投稿画像を基に分析を開始した。
数千億枚の画像からコカ・コーラの飲用場面を抽出
日本コカ・コーラが今回の分析に用いたツールはVision APIと、ブレインパッドが提供するソーシャルメディア分析SaaS(Software as a Service)の「ForSight」(開発:Crimson Hexagon)だ。
ForSightのロゴサーチ機能を用いて、過去約3年間のTwitterへの投稿画像数千億枚から、コカ・コーラのロゴ付き画像を約7万点抽出した。ロゴが斜めだったり、欠けていたりする状態でも抽出できたが、自動販売機の画像や街中のコカ・コーラの広告など、消費シーンとは無関係な画像も少なくなかった。
7万点の画像から消費シーンに関係のある画像を抽出するために、画像に写りこんだものに関連する語句を付与してラベリングする、Vision APIのラベル検出機能を利用した。こうして抽出した画像の中から「広告」「グッズ」「自販機」などのラベルが付与された画像を除くことで、消費者の飲用シーンだと推測できる画像を約4万枚抽出した。
画像に写ったコカ・コーラがどのような場面で消費されているかを、Vision APIが付けたラベルから特定するために、意味の近いラベル同士をグループ化して分類する階層クラスタリングと、画像に付与されたラベル同士の関係をネットワーク図にする共起ネットワークという2つのデータ分析手法を用いて、ラベル同士の関係性をひも付けた(写真1)。
AI技術には何ができ、何ができなかったのか
画像に写った場面の意味理解に関しては、Vision APIは人間の理解力や推察力には及ばなかったという。例えばポップコーンと2杯のコカ・コーラが写っている写真(写真2)であれば、Vision APIは「おやつにポップコーンを食べながらコカ・コーラを飲んでいる写真」と解釈する。人間であれば同じ写真に写り込む「映画の半券」「座席の一部の形状」という断片的な要素を加味し「2人で映画館に来ている」という解釈ができる。「AI技術は膨大な数の画像の抽出と分類に向いている。現状では消費シーンや心理の推察にはマンパワーが必要」(小林氏)
小林氏は今回の取り組みを踏まえ「今までの手法で取りこぼしていた消費シーンや消費者心理を再考し、最終的にはキャンペーンや商品開発への活用への活用につなげたい」と展望を語る。
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