オープンソースの活用も有効
機械学習プラットフォームをどう選ぶ? 検討したい技術要素を説明(2/2 ページ)
統合、使いやすさ、管理に関する特性
他のシステムとの連携可否や、使いやすさ、ワークフローのシンプルさも機械学習プラットフォームを評価する際のポイントになる。連携の点では、機械学習プラットフォームのAPIを調査する。機械学習プラットフォームを他のシステムと連携させて活用したい企業は少なくないだろう。この場合、簡単に連携できることが不可欠だ。
使いやすさやワークフローについて検討する際は、機械学習プラットフォームに次のような要素を備えているかどうかを検討するとよい。直観的かつグラフィカルなインタフェースを有しているか、構造化データや非構造化データを分析するために複数のユーザーが同時に視覚的なインタフェースを利用できるか、複数のユーザーが同時にデータへアクセスできるか、スキルセットが異なる多様な人材が利用できるか、などだ。
機械学習では機械学習モデルの作成が肝心だ。これには開発者やデータサイエンティストが、機械学習モデルをあらゆる規模で、迅速かつ簡単に構築、トレーニング、導入できるかどうかが重要だ。機械学習モデルの作成やトレーニングを迅速かつ簡単に進められない場合は、開発者やデータサイエンティストに機械学習プラットフォームの導入が歓迎されない可能性がある。それでは生産性が低下してしまう。
円滑なワークフローを構築するには、コンテナの活用も欠かせない。検討している機械学習プラットフォームはオープンソースのコンテナと連携できるだろうか。まずはオープンソースのコンテナを使用し、機械学習モデルをテストしてから、実際に機械学習モデルのトレーニング、導入に移行する企業もある。また関係者間で共有したり再利用したりする環境を作るため、開発や運用のワークロードをコンテナで実行することを選ぶケースもある。
データのセキュリティやプライバシー確保、リソース監視、ガバナンスなどは、機械学習プラットフォームが備えるべき重要な管理機能だ。検討している機械学習プラットフォームが、データ保護やID管理においてどのような対策を用意しているかを調査しなければならない。さまざまなユーザーが機械学習モデルを共有し、共同で作業する環境ではこれはとくに重要な機能だ。
クラウドベースの機械学習プラットフォームを検討する場合は、顧客のデータを確実に保護できるセキュリティ機能を備えているかどうかを確認する必要がある。
管理機能においては、機械学習プラットフォームの管理コンソールでアプリケーションやデータを一元管理できるかどうかも重要だ。
オープンソースのオプションとリソース
機械学習のコンポーネントとして活用できる可能性がある、さまざまなオープンソースのリソースが存在する。プログラミング言語、ライブラリ、視覚化ツール、データ管理ツール、フレームワークなどだ。以下で、そのうちの一部を紹介しよう。
「R」 :統計学に関する計算やグラフィックス向けのオープンソースプログラミング言語。データ分析用ソフトウェアを開発するために、統計学者やデータマイニングの専門家が幅広く使用している。
「Python」:Python Software Foundationが管理するオープンソースのプログラミング言語。Web開発、計算科学、数値計算、ソフトウェア開発などの用途で利用される。
「Deeplearning4j」:「Java」やJava仮想マシン向けに記述されたディープラーニングに関するプログラミングのライブラリ。ディープラーニングに関連する幅広いアルゴリズムが参照できる。
「H20」:H2O.aiが開発したオープンソースの機械学習プラットフォーム。勾配ブースティング、一般化線形モデルといった広く普及している機械学習のアルゴリズムをサポートしている。
「D3.js」:データに基づきドキュメントを操作するための「JavaScript」ライブラリ。特に、Webブラウザで動的かつ対話型のデータ視覚化を実現するために使用される。
「Plotly」:オープンソースソフトウェアのJavaScriptライブラリ。財務、工学、科学向けの、洗練されたチャートをJavaScriptで作成することに活用できる。
「Jupyter」:ライブコード、組み込み型の視覚化機能、説明用テキストを1つの場所から実行できるWebアプリケーション。オープンソースプロジェクトProject Jupyterによって作成された。Project Jupyterは、対話型のデータサイエンスを全てのプログラミング言語で実現することをその目的としている。
「Apache Zeppelin」:「SQL」や「Scala」などを使い、対話型データ解析などを可能にするWebベースのノートブック。データの収集、分析、視覚化、コラボレーションなどに利用できる。
「Apache Spark」:オープンソースのクラスタコンピューティングフレームワーク。暗黙のデータ並列性とフォールトトレランスを備える。クラスタ全体に対してプログラミングするためのインタフェースがある。SQLや機械学習用の「MLlib」などのライブラリも支えている。
「Apache Hadoop」:クラスタ間における大規模データセットの分散処理を、シンプルなプログラミングモデルを使用して実現するフレームワーク。ローカル環境で、単一のサーバから数千台のPCまで拡張できる。
「TensorFlow」:パフォーマンスの高い数値計算用のオープンソースソフトウェアライブラリ。さまざまなプラットフォーム、デスクトップ、サーバクラスタ、モバイルデバイスで容易に計算を導入できる柔軟性がある。機械学習やディープラーニングにも活用できる。
「Spark MLlib」:機械学習パイプラインの作成と調整を支援するオープンソースソフトウェアパッケージ。機械学習アルゴリズムのAPIを標準化し、複数のアルゴリズムを組み合わせて1つのパイプラインやワークフローを作りやすくしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
4
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
5
「朝8時にバッチが終わらない」データ爆発の危機をJPX総研はどう乗り越えたか
-
6
「IBM iはDXのボトルネック」は誤解 意外と知らない今風モダナイズの効果
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
AIの導入効果はどう測る? DMM.comのエンジニア組織に学ぶ効果検証のノウハウ
-
9
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー