モバイルとWindowsのアプリをシームレスに
仮想デスクトップが次に目指すのは「レガシーなWindowsアプリとの融合」
仮想デスクトップのユーザーが、アプリの機能を最大限に引き出せる形でそのアプリを開くことができれば理想的だ。実現のためにすべきことは何か。
タブレットやスマートフォンといった最新のデバイスは、レガシーWindowsアプリケーションをベースにしたアプリケーションを搭載していることがある。大抵は、Windowsへの結び付きが強く、本当の意味でモバイル対応しているとはいえない。
何が問題かというと、ほとんどのVDI(仮想デスクトップインフラ)製品ではユーザーが使うデバイス(エンドポイント)のネイティブアプリケーション機能を活用できない点だ。ユーザーの生産性を高めるためには、レガシーWindowsアプリケーションと、エンドポイントのネイティブアプリケーションを機能統合する必要がある。
ローカルアプリケーションと仮想アプリケーションの間を移動できる機能をVDIに持たせることができれば、モバイルワーカーの効率性は向上するだろう。
現実的な問題とは
例えばユーザーがiPhoneを使っていると仮定する。
このユーザーがアクセスするWindowsベースの会計システムには、請求書のコピーを参照できるモバイル版アプリケーションが存在しない。決済するためには、ユーザーは仮想デスクトップを通じてそのアプリケーションにアクセスする。だがiPhoneの仮想デスクトップで複数のPDF文書を参照するのは大変だ。
わざわざ仮想デスクトップ経由で請求書を開くよりも、ピンチ操作によるズームや2本指のスクロールに対応したモバイル版の「Adobe Acrobat Reader」を使ってPDFを参照できる方がユーザーにはありがたい。ユーザーが自分のモバイルデバイスで文書に署名して、会計システムにそれを保存する権限を付与できればさらに良い。
モバイル版アプリケーションの選択肢が存在しない場合、その逆も重要になる。ユーザーがレガシーWindowsアプリケーションへのリンクをクリックしたら、仮想デスクトップでアプリケーションを開ける必要がある。アプリケーションを起動する際のルール(コンテキスト)は重要だ。もしそのリンクを特定の顧客に送信する場合、そのWindowsアプリは、あたかも仮想デスクトップがリンクを起動するような形で、そのエンドポイントの仮想デスクトップで実行されなければならない。
この方法で仮想デスクトップ内からローカルアプリケーションを起動する先例はある。Citrix Systemsの仮想デスクトップ「Virtual Apps」には「Local App Access」という機能があり、仮想デスクトップから、そのCitrixデスクトップを実行しているWindowsマシンへ、ファイルタイプの関連付けを受け渡すことができる。つまり、エンドポイント上のアプリケーションは、このデスクトップからファイルを直接開くことができ、ローカルアプリケーションはデスクトップ上に重なったように見える。
このツールを使ってWindowsアプリケーションを仮想デスクトップへ送り込む方法は理にかなう。だが、タッチベースのアプリケーションで同じことをしてもうまくいかない。タッチベースのアプリは、仮想デスクトップに詰め込むよりも、デバイスの標準的なUI、すなわち「単一のアプリに全画面」というUIを維持する必要がある。
他に適切なケース
コンテキストを認識してアプリを開く方法は、タッチ式のモバイルデバイス以外にも使える。仮想デスクトップに機能を受け渡すことのできる非専用クライアントデバイスでも利用可能だ。
例えばユーザーが移動中に仮想デスクトップを使い、社内のWebアプリケーションにノートPCからアクセスする場合だ。移動中は仮想デスクトップ経由で問題ないが、もしノートPCが社内のネットワークに接続していれば、仮想デスクトップ内のブラウザよりも、ローカルブラウザの方が使いやすいはずだ。同様に、ローカルにインストールした「Microsoft Office」の方が、仮想デスクトップよりもパフォーマンスに優れる。
ローカルアプリケーションをもつエンドポイントがどんなものであれ、仮想デスクトップに組み込むことは可能だ。ただこれは、エンドポイントのアプリケーションと完全に同じでなくてもいい。例えばモバイルバンキングアプリは、Webベースアプリに比べてずっと使いやすいことがある。スマートフォンで実行されている仮想デスクトップ内のWebブラウザを開くのではなく、ユーザーのスマートフォン上でモバイルアプリを起動することができれば、その方が理想的だ。
エンドポイントをベースとするアプリの起動は、タブレットやスマートフォンのように、そのエンドポイントがキーボードやマウスを持たない場合に最も役に立つ。
キーボードやマウスを持たないデバイスを使ってWindowsデスクトップにアクセスするユーザーは、そのエクスペリエンスが最適ではないと知っている。だが、依然としてレガシーWindowsアプリケーションが必要とされる状況は、今後何年も変わらないだろう。開発者が全ての中核的なビジネスアプリケーションをモバイルに優しく作り替えるために時間をかけるとは思えない。
問題への対応
ユーザーがモバイルアプリとレガシーWindowsアプリの間でシームレスに切り替えられることが不可欠だ。自分の意図する形でアプリケーションを使えるユーザーが増えるほど、エクスペリエンスは向上し、生産性は高まる。
それを実現するためにVDI製品は、例えばモバイルデバイスが会社のネットワークに接続されているかいないかを見極めてアクセス権を決定するといった、ポリシーのフレームワークを統合する必要がある。
さらに、コンテキスト認識型のアプリ起動を実現するツールは、デバイス特有の機能を認識しなければならない。例えばキーボードとトラックパッドを搭載したGoogleのAndroidタブレットは、iPhoneとは大きく異なる機能を備えている。
VDI製品はまた、一貫したユーザー設定を維持できるようにする必要がある。自分のデバイスでAdobe Acrobat Readerを使うことを好むユーザーがいる一方で、その同僚は「Windows Reader」を使いたいと思うかもしれない。
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