拡張現実との連携も
AI技術はどこまで普及? 先進「7業界」の人気事例を一挙紹介
さまざまな業界でAI技術の活用が広がっている。AI技術を使うと業務がどのように変わるのだろうか。また、どのような業務がAI技術の活用に適しているのか。各業界に広がるそのユースケースを紹介する。
AI(人工知能)技術の活用事例が豊富に出てきている。AI技術の普及が急速に進んだため、AI技術が使用されているとは気付かずに製品やサービスを使っていることは珍しくない。
何か特定の製品に関して、インターネットでメッセンジャーを使った会話をした経験はあるだろうか。その場合、基本的な問い合わせに対して自動的に回答を送るチャットbotと会話していた可能性が高い。こうしたカスタマーサービス用のチャットbotや仮想アシスタントは、AI技術が使われている事例のごく一部にすぎない。
スパムフィルター、自動運転、「IBM Watson」などはAI技術が使用されている代表的な事例だ。現在はこういった特定のユースケースの枠を超えて、人々が日常的に使用するアプリケーションにも機械学習のようなAI技術の要素が取り入れられるようになってきた。例えば電子メール、通販サイトのレコメンデーションエンジン、動画ストリーミングサービスなどがそうだ。
そこで本記事では、さまざまな業界でAI技術が使用されている例として、7つの人気ユースケースを紹介する。
AR(拡張現実)を使った自動車修理
英国にあるVolkswagenの修理工場では、自動車修理の作業にAR(拡張現実)を取り入れている。商用ワゴン車製造ラインで従事する技術者は、目と耳の機能を補助してくれるAR用のヘッドセットを装着する。AI技術の助けを借りて、複雑な問題を解決するためだ。音声で起動するこのARヘッドセットは、高精細カメラとマイク、スピーカーを搭載している。
この工場で従事する技術者はARヘッドセットを使った自動車修理のメリットを実感している。遠隔地にいる主任技術者が、現場で技術者が直面している問題を解決するために助言してくれる。Volkswagenでサービス業務マネジャーを務めるポール・アンダーソン氏によれば、「技術者は主任技術者がそばにいるように感じ、安心感を持つ」のだという。現場の技術者が主任技術者と直接的なコミュニケーションを取れるため、Volkswagenは出張時間と経費が削減できている。
ARは自動車ディーラーのショールームでも使われている。2016年、Bentley Motorsは自動車のないショールームを開設した。カメラ、センサー、キオスク端末を使い、あらゆる角度から実物大の自動車のイメージを映し出す。購入を検討している来店客は、さまざまな色や機能を指定して仮想の自動車を作り出せる。
ジャーナリズムで活用、AI技術によるファクトチェック
ジャーナリズムにおけるAI技術の活用は、ここ数年の潮流となっている。有名メディアとしては、Washington Postがロボット記者を活用している。同社は2016年にリオデジャネイロで開かれた夏季五輪でロボット記者「Heliograf」をデビューさせた。その際、Heliografは800本以上の記事を自律的に出稿したという。同様に、Yahoo Sportsは高校と大学スポーツの取材を支援するために、AI技術を利用してきた。ReutersはAI技術を使ってTwitterのフィードをモニタリングし、速報ニュースの生成に生かしている。
AI技術の研究が進むことで、ジャーナリズムにおけるAI技術の活用がさらに広がりつつある。GoogleとFacebookは、フェイクニュースを検知するためのアルゴリズムを使おうとしている。画像認識技術は、加工された画像を検知したり、物体や人や場所の正確性を特定したりできる地点まで来ている。だが現時点で、「フェイクニュース」を正確に洗い出すだけの能力までは達していない。
治療効果を改善する医療現場のAI技術
医療現場では複数のユースケースが生まれている。例えばAI技術によるメッセージングシステムは一般化し、意識されることさえなくなった。診察予約の確認や受診記録の参照といった用途にAI技術が使われ、患者のエクスペリエンスを向上させた。医療機関のFlagler Hospitalは、機械学習ソフトウェアを使って肺炎などの治療に役立てている。Flagler Hospitalは機械学習ソフトウェアが導き出した情報を使い、治療のロードマップを作成した。その結果、肺炎患者の再入院率を2.9%から0.4%へと減少させた。
こうした医療現場におけるAI技術の活用事例は、全体のうちのごく一部だ。Hewlett Packard Enterprise(HPE)傘下のAruba Networksによれば、医療現場におけるAI技術の応用は、向こう10年で現在よりも格段に進む見通しだ。ウェアラブルデバイスや診療記録の管理ツールなど、医療現場で使用されるあらゆるものに進化が起こる可能性がある。
旅行などサービス業界における活用事例
旅行業界でAI技術の活用事例を見付けることは容易だ。Amazon.comのスマートスピーカー「Amazon Echo」には、ホテル向けにカスタマイズしたモデル「Alexa for Hospitality」がある。これを使い、宿泊客はアラームを設定したり、客室清掃を頼んだり、客室内のスマートデバイスを操作したりできる。一部のホテルでは、さらにロボットを使って客室に追加のタオルや枕を届けさせる実験も実施している。
旅行やレストランでの食事によく出掛ける人なら、サービス業における顧客サービスには課題が山積していることを知っているだろう。AI技術を実装したツールが顧客サービスの課題にも対処できる。例えば、カスタマーサービス担当者に代わって、チャットbotが24時間体制で顧客からの問い合わせに応対可能だ。また顧客が旅行を計画する初期の段階においても、AI技術の活用事例が見られる。例えば顧客が条件に沿った航空券や宿泊プランをWebサイトで探し、予約するプロセスなどにAI技術が使用されている。
人事の採用活動を支援
就職活動や採用面接は、求職者が苦労するだけでなく、雇用側も苦慮している。人事業務において、AI技術は人事部門が有力な候補者を見つけ出し、合理的な採用活動を実現する助けになっている。例えばAI技術を使うことで、企業はある特定の職種の求人に関連が深い人材の情報を、より多く効率的に収集できる。そして候補者を絞り込み、自社のニーズに最も適した人材を見極める。
人事部門でAI技術を使うもう一つのメリットは、面接官の先入観を排除できる可能性があることだ。面接官が求職者と面接する際、例えばその求職者が何年も前に嫌な思いをさせられた相手を思い出させるといった理由で、無意識にその相手に対して不快感を持つ可能性がある。人事に特化したロボットであれば、相手と共通の趣味があるとか、同じ大学の出身とかいった個人的な理由を合否の判断に交えることはない。
カスタマーサービスで満足度向上を実現
カスタマーサービスで活用されるAI技術は、仮想アシスタントやチャットbotなどさまざまな形で登場している。企業は音声分析、感情分析、文字分析や、自然言語処理といったAI技術を、カスタマーエクスペリエンス向上のためカスタマーサービスに導入している。コールセンターに音声分析を導入すれば、担当者が顧客にメッセージをどう伝え、顧客がそれをどう受け止めたかが判断できる。また特定の製品に関する顧客の不満を見つけ出す助けにもなる。
Googleは最近、AI技術を活用してカスタマーサービス市場に参入した。Google Cloudの「Contact Center AI」は、仮想エージェントや通話分析の機能を備えている。Cisco SystemsやGenesysなどがContact Center AIを導入している。仮想エージェントは顧客からの一般的な質問への回答に活用できる機能を備えている。エージェント支援システムはナレッジベースをスキャンし、人間の担当者が顧客への回答内容を素早く見つけるための支援機能を備えている。
手堅い投資に導く銀行業界の事例
銀行業界でもAI技術の活用事例は増えている。インターネットで簡単な金融取引を済ませた経験がある人は、チャットbotの支援を受けた可能性が高い。銀行業界では顧客に対する新しい商品やサービスの情報伝達のために、会話エージェントが使われている事例もある。
銀行におけるAI技術の活用は、カスタマーサービスの枠を超えて広がっている。例えばシンガポールのDBS Bankは、資産管理担当の求職者をふるい分けるためにAI技術を使っている。またコンプライアンスを徹底するためにAI技術を活用している銀行もある他、融資するかどうかを判断する際、従来の信用情報に加えてより多くのデータを収集するためにAI技術を活用している事例もある。
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