大企業向けから中小企業向けまで
いまさら聞けないSAPのERP 5大製品の特徴と最新動向をおさらい(2/2 ページ)
SAP Business One
SAP Business Oneは中小企業向けのSAPのERPスイートだ。オンプレミスかクラウドに導入できる。最大350人の従業員を抱える企業を対象としており、SAP HANAプラットフォームと「Microsoft SQL Server」プラットフォームの両方で運用される。そのため、企業にはソフトウェアを運用するオプションが多くなっている。SAP Business Oneには「SAP Crystal Reports for Business One」が組み込まれており、これはレポート生成やその他の分析活動に役立つ。さらに、出張中の営業チームやその他のビジネスユーザー用にモバイルアクセスも用意されている。ただし、それにはリアルタイム分析とレポートが使用可能になっていることが条件になる。
中核のSAP ERPシステムモジュールには、管理、財務、CRM、販売と買掛金勘定、購買と売掛金勘定、取引先、銀行、在庫管理、リソース管理、生産、資材所要量計画、サービス、人事、プロジェクト管理、レポートなどが含まれる。SAP Business Oneは44カ国のローカライズと28言語をサポートする。
このスイートには、顧客のニーズや要件、国、言語に応じて500を超えるサードパーティーサービスが組み込まれている。企業はサードパーティーのアドオン、「SAP Business One Studio」、SDKを使うことで業界や業務に合わせてソフトウェアをカスタマイズできる。
他にSAP Business Oneに統合されるものとして、ダッシュボード、モバイルアプリケーション、自動見積もり、発注、請求書などを作成できる機能がある。系列会社を本社と統合する機能や、マスターデータやトランザクションを複数の導入間で自動複製する機能も備えている。これは最近買収や合併を行った企業の役に立つだろう。
SAPはメジャーアップデートを年に1回リリースする。これにはSAP ERPシステムの新しいモジュールや機能、モジュール強化、バグ修正などが含まれる。同社はメジャーアップデートの間にパッチアップグレードもリリースしており、これは通常2、3カ月ごとに行われる。
本稿執筆時点での最新リリースは「SAP Business One 9.3 PL05」だ。このリリースではGDPRサポート、ユーザーグループ管理、プロジェクト管理、生産、原価計算、マルチブランチ機能、分析が強化されている。SAPは「SAP Business One Service」モバイルアプリもリリースした。このアプリではサポートチームがオンラインとオフラインでサービスチケットを確認し、解決できるようになっている。
SAP Business Oneは企業ごとに細かくカスタマイズできる。そのため、価格モデルもカスタマイズ可能になっている。ライセンスには「プロフェッショナル」と「リミテッド」の2種類がある。プロフェッショナルライセンスでは全てのSAP ERPシステムモジュールのフル機能が提供される。リミテッドライセンスでは流通や財務の機能が制限される。
価格表には、間接アクセスユーザーとHANAエンジンという追加のオプションもある。前者はサードパーティーサービスを介してSAP Business Oneに接続するユーザーを指す。後者は64GBのメモリごとに価格が設定される。
顧客はライセンスを2つの方法で購入できる。永続ライセンスは買い取り方式だ。HANAエンジンは含まれておらず、別途購入しなければならない。クラウドライセンスはユーザー単位の月額サブスクリプションで、HANAエンジンが含まれる。
SAPは顧客にERPトレーニングサービスやコンサルティングサービスを直接は提供していない。ただし、SAPチャネルパートナーが製品を販売しており、多くの場合はサービスオプションも用意している。
SAPはSAP Business OneのMicrosoft SQL評価バージョンを31日間無料で利用できるようにしている。カスタムデモやコンサルティングもチャネルパートナーを通じて提供している。
SAP Business ByDesign
SAP Business ByDesignは、中堅企業向け市場を対象としたSAPのSaaS ERPスイートだ。従業員が250~1500人の企業に適している。ただし、SAPでは従業員が20人しかいない企業や1万人もの社員を抱える企業にも、SAP Business ByDesignの導入をサポートしている。製品の中核ERPモジュールには以下のようなものがある。
- 財務
- CRM
- 人事
- プロジェクト管理
- 調達
- サプライチェーン管理
企業は1つの機能領域から開始し、後から完全なスイートへと拡張できる。APIを含む組み込みの統合を他のSAPクラウド製品から利用することも可能だ。例えば、SAP Concur、SAP SuccessFactors、SAP Ariba、「SAP Analytics」「SAP Integrated Business Planning」などに加え、Microsoftの「Microsoft Office 365」からも利用できる。また、データプロバイダーの補完的製品、ユニファイドコミュニケーションシステム、その他のサードパーティーの拡張機能やデータソースへのAPI経由の接続も提供される。
SAP Business ByDesignには、専門サービス、製造、卸売り販売、公共部門(北米のみ)を対象とする業界固有の機能も用意されている。このソフトウェアは10言語にローカライズされている。
2018年後半時点では、「SAP Business ByDesign 1808」が最新リリースになる。このリリースでは、ロール定義の概要ページに洞察を組み込めるようになっている。例えば、プロジェクトマネジャーは、請求が行われていない期間や費用を確認し、しきい値に達していたり超えていたりする場合にアラートを受け取ることが可能だ。SAPでは全てのプロセスに対する分析を構築している。また、500を越える標準レポート、組み込みのKPI、「Microsoft Excel」との統合も用意している。そのため、企業は可能な限り迅速にデータに対してレポートと分析を実行できる。
SAPは年4回ソフトウェアの更新をリリースする。今後の変更を明らかにする開発ロードマップも公開している。SAP Business ByDesignの価格は、ユーザーの種類やユーザー数に基づく月額サブスクリプションモデルで設定される。パブリッククラウドかプライベートクラウドオプションでの導入が可能で、SAP ERPシステムトレーニングをパートナー経由で利用できる。SAPは購入を考える顧客に対して試用版を提供している。
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