レガシーデータへの対処がポイント
ビジネス変革プロジェクトを成功させる 「短期的解決策」と「長期的解決策」
ビジネス変革には強固なデータ基盤が必要だ。本稿では、データ品質に関する問題の短期的解決策と、データ品質向上に向けた長期的アプローチの基礎を専門家が紹介する。
データ基盤の整っていない企業のCIO(最高情報責任者)が大掛かりなビジネス改善を実施することは、果たして可能だろうか。
答えは明らかに「できない」だ。しかも、IT部門の抱える問題の大半と同様に解決が難しい。
現在、ビジネス変革プロジェクトを進めているCIOが手を焼いているのは恐らくレガシーシステムだろう。こうしたシステムは、かつて最先端と見なされていた。そして、以前CIOが従うことを求められていたデータ管理のレガシーな手法は、当時ベストプラクティスと考えられていた。
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こうしたベストプラクティスの多くは、その場しのぎの手法にすぎなかったことが時間によって証明されている。その証拠に、企業にはレガシーアプリケーションとそれに関連するデータベースが非常に多く存在しており、大掛かりなビジネス変革の足かせになっている。ほぼ全ての企業では質の悪いデータが問題になっている。ビジネスユーザーはレポートに含まれるデータの質や完全性、流通について信頼できない状態だ。
このように企業データへの信頼性が低い状況で、ビジネスマネジャーやスタッフがビジネス変革プロジェクトを立ち上げ、信頼できる結果を導き出すにはどうすればよいだろう。
信頼できる結果を出すには
ビジョンが明確な企業は、ビジネス変革プロジェクトの最初のステップとして、細部まで業務と同期できる「柔軟なテクノロジー環境」を作り上げることを目指している。
テクノロジーを利用すれば、業務や作業の流れにおける複雑さを緩和できる。業務を合理化して効率を高め、誤りの率や効率をチェックするためのパフォーマンス監視の導入もできる。さらに、業務に関する高度な考え方を適用することも、品質管理手法の一つ「シックスシグマ」によるパフォーマンスチェックを導入することも、顧客とやりとりする新しい方法を生み出すことも可能だ。しかもほとんどの仕事が、最新のビジネスプロセス管理ソフトウェアや「ロボティックプロセスオートメーション」(RPA)、AI(人工知能)テクノロジーによって自動化できる。
だが、ビジネスモデルの変革をサポートするIT部門の能力を最大限に引き出すには、現状にテクノロジーを継ぎ足すのではなく、新しいテクノロジーアーキテクチャに移行することを検討しなくてはならない。これは複雑なエンジニアリングを伴う上、ビジネス変革の経験、創造性、さらには革新への意欲を必要とするが、不可能ではない。むしろ、やらなければならないことだ。こうしたIT変革が、ビジネス変革プロジェクトを成功に導く基盤になる。
レガシーデータを修正するプロセス
ただし、ITインフラの迅速な変更ができなければ、ビジネス設計の最適な見直しは失敗に終わる運命にある。さらにデータの質が悪ければ、ビジネスの新しい設計も、柔軟な新しいITインフラも制限を受け、最悪の場合は失敗する。少なくとも、発行したレポートのデータソースや、アルゴリズムをトレーニングするデータなどに不備があっても分からない。社外の情報に誤りがあるかどうかも分からない。データが不完全だったり古過ぎたりして価値がほとんどないことも知る由はない。
では、どのような対策を取れば良いのだろう。
従来のやり方でレガシーデータを整理するのには、数千万ドルものコストと数年という時間がかかる。こうした進め方は事実上不可能だ。だが、短期的解決策はある。
まずはプロセスに目を向け、設計を見直すプロセス内の全てのデータを特定し、どのレガシーデータがいつ、どこで必要になるかを判断する。次のステップでは「レコードのソース」(基となるデータ)を特定する。使う必要があるデータは、一定のサイクルで取り出し、結合して一時的なデータベースを形成する。これにより、真のリアルタイムアクセスにはならないとしても、ほぼリアルタイムで「使えるデータ」へのアクセスが可能になる。新しいアプリケーションはこの一時データベースにアクセスしてレポートを作成する。業務からのフィードバックは一定のサイクルでリリースし、レガシーアプリケーションを更新するために送り返す。
これはあくまでも一時的な解決策だ。だが、問題やニーズ、現在の業務で必要とされるサポートについてデータサイエンティストが理解できるメリットがある。他の永続的なステップを定義し、実行に移すことも可能だ。
次に、重要なデータを整理し、その中から重要度の低いデータを全て取り除く計画を立てる。取り除いたデータはアーカイブする。データアーキテクトは、全ての重要な情報に対し、データの整理に必要なことを定義できなければならない。このために役立つのがデータクレンジングツールで、調査会社Gartnerによるとレガシーデータの品質向上をサポートする優れた製品は数多く存在するという。例えばInformatica、SAS Institute、SAP、IBM、Oracle、Syscord SASなどのベンダーが提供している。
長期ビジョン
概念実証プロジェクトが成功したら、自社で機能するアプローチを作成し、レガシーデータを整理する数年がかりのロードマップと投資計画の基礎を構築できるようになる。これが正真正銘のビジネス変革プロジェクトになり、正式な目標や予定とつき合わせて管理できるようになる。
こうすれば、高度なデータ管理手法でデータクレンジングを実行しつつ、新しい業務とそこで利用されるアプリケーションを進化させられる。これは数カ月で終わる作業ではなく簡単でもない。だが、質の悪いデータで意思決定を下し、処理エラーの可能性を高め、顧客に誤ったデータを提供することを避けるために、ビジネスとITの両方を最優先にできる。もちろん全てのビジネス変革プロジェクトがそうであるように、業務とIT運用を変えるためには、幹部が深く関わること、そしてデータ管理が顧客サービスに与える影響を根本から理解することが必要になる。
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