AIやIoTなど次世代を見ているか判別が必要
「クラウド化をするならERPベンダーを替えるべき」理由とは(1/2 ページ)
レガシーであるERPをクラウドバージョンへとすぐに移行する必要はない。それよりも移行の道筋を全体的に見直す方がいいだろう。
大半の企業はERPシステムを長期間利用する。統計では約8年と推定されている。ERPをクラウドに移行するのであれば、そのために必要な取り組みを考え、自社の現在のニーズだけでなく、将来のビジョンにも基づいて慎重に計画する必要がある。
テクノロジーアドバイザリー企業のTechVentive創立者ブライアン・ソマー氏は、昔ながらのERPベンダーのクラウドサービスに関する問題について手厳しく語る。同氏は「自社のクライアントには、レガシーERPベンダーの利用を見直す」ことを勧めている。最新のクラウドサービスがAI(人工知能)機能やIoT(モノのインターネット)機能を組み込み、今後数年にわたって必要になる機能を提供しているためだ。
「企業は新しいベンダーを調べる必要がある。自社と比べてみて、競争相手が新しいテクノロジーをどのように利用しているかを考えてみるべきだ。もし競争相手が、IoTとAIを活用して自社の機器が常に稼働を続けるようにしているのなら、自社も同じように活用できなければ、市場から追い落とされる」(ソマー氏)
集約とカスタマイズを重ねたERPシステムを手放すのは確かに難しい。業務部門のリーダーは、ERPを業務の中心と考えていて、取引と運用のデータが全てそこに存在するためだ。だが、ビジネスニーズは変化している。データが存在するのは社内のみではなくなっているとソマー氏は指摘する。
「今後は、企業の社屋以外にも膨大な量の情報が存在するようになる。古い時代に設計されたシステムではなく、新しい時代に向けて設計されたシステムが必要だ。また、何が利用できるかに注意を向ける必要がある。新しく登場するベンダーに目を向ける。旧式の使い古された製品を販売し続ける昔ながらのベンダーにこだわってはいけない」(ソマー氏)
クラウドERPの検討事項
企業はコストの高さから大手ERPベンダーの利用を続けることに疑問を感じている。その上、戦略的ニーズを満たすことができず、機敏性に欠けることに不満も抱いている。
TechTargetの「IT Priorities 2018 Survey」(2018年のIT優先度調査)は、北米企業で働くIT幹部、マネジャー、アナリスト、エンジニアを対象にした調査をまとめたものだ。この調査では、回答者の39%が自社のERPシステムを導入またはアップグレードする計画があると答えた。調査では、クラウドにERPを導入する予定だとしたのは回答者の29%で、オンプレミスにビジネスアプリケーションを導入予定としていたのは10%にとどまった。
ここ数年クラウドが広がりを見せているが、中小企業はクラウドについて、複雑なITシステムに投資することなくビジネスアプリケーションを立ち上げる近道と考えている。これに対し、複数の相互接続されたシステムを利用する大規模企業は、クラウドへの移行を、こうしたシステム間の結び付きを解きほぐし、コストを削減する手段と考えている。だが、どちらが考えるメリットも、実際には、ERPのクラウド移行に当てはまらない。
もしもSaaS(Software as a Service)アプリケーションがオンプレミスソフトウェアよりも安価だとしたら、以前からオンプレミス型ERPを提供してきたMicrosoft、Oracle、SAPなどのベンダーは、顧客をクラウドに導こうとはしないだろう。ERPをクラウドへ移行するだけでコストは数百万ドル、期間は5~7年かかり、月額のクラウドサブスクリプションのコストはオンプレミスでERPを運用するコストも上回る可能性がある。
中小企業は自社と取引があるベンダーのERPクラウドオプションを調べてみる必要がある。シングルテナントか、それともマルチテナントと永続的なバージョン保証を提供するクラウドERPなのかを見極める。マルチテナントなクラウドERPといえば「FinancialForce」「Sage Intacct」「Oracle NetSuite」「Workday」などがある
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
5
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
6
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
7
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
8
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
-
9
AI完全自律化はわずか9% 日本は「進化に追い付けない経営陣」が足かせに
-
10
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー